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女子大生もろとも崩落…監視カメラには何が? ジャカルタ証券取引所

事故があったジャカルタ証券取引所=2018年1月15日
事故があったジャカルタ証券取引所=2018年1月15日 出典: ロイター

目次

 インドネシアの首都ジャカルタにある証券取引所で1月15日、ビルの中2階が落下して75人が重軽傷を負いました。被害にあったのは見学に来ていた女子大学生ら。いったい何が起きたのか…監視カメラの映像には、一度、引き返そうとする姿が写っていました。(朝日新聞国際報道部)

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突然抜け落ちた床 建物本体には影響なし

 発生時の様子を監視カメラがとらえていました。

 朝日新聞の古谷祐伸・ジャカルタ支局長が関係者から入手した映像によると、およそ50人ほどの女子大生が中2階の廊下を歩いています。

 ところが、先頭を歩いている人たちが途中でなぜか引き返し、数十人が密集。直後、廊下を支えていた吊り具もろとも、床が1階に落下しました。


ビルの外で救助を受ける事故の被害者=2018年1月15日
ビルの外で救助を受ける事故の被害者=2018年1月15日 出典: ロイター

 警察が事故原因を調査中ですが、会見や初期調査などから以下のことがわかっています。

・壊れたのは廊下だけ、建物本体に影響はなかった

・この廊下は柱で下から支えるのではなく、天井から吊って支えている

・廊下は幅2メートル、長さ30メートルほどで、1階からの高さは6メートル

・廊下は1平方メートルあたり500キロ(約8人)まで載せられる設計

ジャカルタ証券取引所の事故が起きなかった方のビルで、崩落したものと同じ構造の中2階を調べる警察=2018年1月16日
ジャカルタ証券取引所の事故が起きなかった方のビルで、崩落したものと同じ構造の中2階を調べる警察=2018年1月16日
出典: ロイター

 設計の数字だけを見れば、一度に50人が載っても耐えられるはず。

 インドネシア公共事業省は、廊下を支えていた吊り具が壊れた、ボルトがゆるんでいたなど、複合的な原因が考えられるとみています。

 ビルの安全検査は昨年5月に行われたのが最後だったということです。

お祈りをしようとして道に迷い、引き返す

ジャカルタ証券取引所の建物=2016年6月23日
ジャカルタ証券取引所の建物=2016年6月23日 出典: ロイター

 証券取引所の広報担当によると、監視カメラに写っていた女性たちは、スマトラ島南部パレンバンにある大学の学生。

 午後2時から見学を始めるはずが、予定よりも早い正午前に建物に着いてしまったため、まずは礼拝をしようとビル内のお祈りスペースを探していました。

 ところが、慣れない建物で道に迷ってしまったそうです。映像で女性たちが引き返していたのは、そのためでした。

 インドネシアは、人口約2億6千万人の9割近くをイスラム教徒が占めます。イスラム教(スンニ派)は1日5回の礼拝をする決まりで、そのうち1回は正午すぎに行うことになっています。

現場はジャカルタ中心地 2000年にはテロ

自動車爆弾によるテロがあったジャカルタ証券取引所の地下駐車場=2000年9月14日
自動車爆弾によるテロがあったジャカルタ証券取引所の地下駐車場=2000年9月14日 出典: ロイター

 証券取引所は1990年代後半に完成。30階超のタワー2棟からなり、高級ホテルやショッピングモールなどが立ち並ぶジャカルタ中心部の目抜き通り「スディルマン通り」に面しています。

 2000年9月には、自動車爆弾が爆発するテロがこのビルの地下駐車場であり、10人以上が死亡しました。今回の事故で、当時を思いだした人も多かったようです。

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