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マクロン大統領、総スカンを食ったフランス国民への「挑発的発言」
世界で去年あったあのニュース、今どうなってるの? 華々しくデビューしたフランスのマクロン大統領は一転して苦境におちいり、ドイツはじっくりと与党の連立交渉を続けました。イギリスのEU離脱やスペイン・カタルーニャの独立をめぐる交渉は今年が正念場です。(朝日新聞国際報道部・神田大介)
国民投票の結果、EU(欧州連合)から離脱することが決まっているイギリス。2017年3月、正式に離脱をEUに通知しました。
いまは離脱を巡る条件をEUと交渉中です。これまでにイギリスがEUに「精算金」として総額5兆円超を支払うことなどが決まりました。離脱後の貿易をどうするかなど、交渉は2018年に本番を迎えます。厳しいやりとりになりそうです。
なお、実際の離脱は2019年3月の予定となっています。
2017年5月にあったフランスの大統領選で当選し、39歳という若さとそのイケメンぶり、そして25歳年上の奥さまが注目を集めたマクロン氏。
アメリカのトランプ大統領が6月、地球温暖化に世界が団結して取り組むパリ協定から離脱すると、「ヨーロッパはアメリカの代わりを務めたい」と演説。新しいリーダーの登場に期待が集まりました。
ところが、実はその後、フランスでは支持率が急落。5月に66%あった支持率は、11月には44%まで落ち込んでいます。高い失業率や財政赤字を改善しようと国民に痛みを伴う政策を進め、しかも、「怠け者にはくみしない」などと挑発的な発言を連発したことが反発を呼んだようです。
2018年は具体的な結果を出せるかどうかが問われます。
スペイン北西部、バルセロナを中心とするカタルーニャ自治州は10月、独立を問う住民投票をしました。
中央政府はこれを認めず、警官隊と住民が衝突。投票率は4割程度でしたが、結果は独立を支持する票が9割以上を占め、州議会は独立を決議しました。
これを認めない中央政府は、州議会を解散。さらに、独立運動を率いてきた州政府幹部の逮捕状を請求しました。幹部らはベルギーに逃亡しています。
そんななか、12月21日に州議会の再選挙が行われました。独立派は勢いを失ったという予想をくつがえし、議会の過半数を獲得。再び独立運動に勢いが戻っています。2018年は、中央政府がカタルーニャ側にどれだけ譲歩できるかが焦点になりそうです。
ドイツでは2017年9月に総選挙があり、メルケル首相の与党が最大勢力を維持しましたが、大きく議席を減らしました。
それまで連立を組んでいた党が、やはり議席を大きく減らした責任を取って与党からの離脱を表明。メルケル氏は11月までかけて別の政党と政策のすりあわせをしましたが、折り合いませんでした。
一時は再選挙も視野に入れていましたが、結局、もともと連立を組んでいた党と再び交渉を始めることが決定。再交渉は1月に始まり、主な政策で基本合意を結びました
順調に交渉が進んだとしても、政権の発足は3月になるとみられています。ただし、4日に発表された世論調査によると、この連立を否定的に見る人の割合は52%に達し、肯定的な45%を上回ってしまいました。交渉の行方は波乱含みです。
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