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2018年01月04日

「覚悟して選んだ」専業主婦、でも…「女性活躍」にざわつく焦燥感

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近所の公園で長男のブランコを押す真由美さん=福島県

近所の公園で長男のブランコを押す真由美さん=福島県

 かつて「男は仕事、女は主婦」が理想とされた時代がありましたが、平成では、専業主婦の価値観も変わりました。結婚・出産を機に専業主婦になった元「バリキャリ」(バリバリのキャリアウーマン)の女性は、子育てに喜びを感じながらも、「社会の波に乗っていない」と不安を抱えています。「女性活躍」の波が押し寄せるなか、「現状にもやもやする」専業主婦のリアルを探りました。(朝日新聞記者・本間沙織)


専業主婦世帯と共働き世帯の推移

専業主婦世帯と共働き世帯の推移

「覚悟したはずだった」のに焦燥感

 福島県の真由美さん(34)は、会社員の夫と2歳になった長男の3人暮らし。結婚を機に専業主婦になったとき、覚悟したはずだった。それなのに、長男の寝顔を見ながら、自分の存在価値を確かめたくなる夜がある。

 大学を卒業した後、大手証券会社の専門職などで働いた。だが、遠距離恋愛の末に結婚した夫の仕事は激務で、毎年のように転勤がある。「一緒にいたい」という思いが勝り、仕事を辞めて家庭に入った。

 いまは、一日のほとんどの時間を長男と過ごす。スイミングにリトミックといった習い事に、公園や児童館と、2人で一緒にいるのは楽しい。だけど、いつも不安と隣り合わせだ。

 「息子が成長したとき、自分には何が残っているんだろう」

自分のキャリアも築きたい

 仕事をしていたころは、為替の動きを注視し、日々の社会の動向に目を光らせて情報の最先端に触れていた。そんな日々は遠くなった。いまの生活は「社会の波に乗っていない」と感じる。

 以前のように社会の一員であることを認識し、自分のキャリアを築きたいと思う。専門性を生かして、やりがいの持てる仕事に就きたいけれど、夫が転勤するたびに転職することはできない。でも、ブランクが長くなるほど仕事を見つけづらくなる。そう思うと、焦燥感に駆られる。

近所の公園で、長男の好きなキャラクターを木の棒で描く真由美さん=福島県

近所の公園で、長男の好きなキャラクターを木の棒で描く真由美さん=福島県

働き始めるママ友

 東京都の佑子さん(32)は、かつて金融機関で働いていた。早朝から夜まで仕事に明け暮れ、やりがいを感じていた。でも、周囲に子育て中の社員はほとんどいなかった。

 5年前に結婚したのを機に転職。その会社も、妊娠中に入院が長引いて退職した。

 いま、長女は4歳になった。ひらがなを覚え、ピアノで曲も弾けるようになった。それなのに、自分は何も変わっていない。

 ほとんどの友人は、子どもが1歳になると保育園に預けて働き始めた。長女が幼稚園に入ると、パートに出るママ友が増えた。周りはみんな、機会をみつけて働こうとしているように感じる。

働きたいけど「自分に負担」

 働きたいと思うことはある。娘にやりたいことが出来たときに、我慢させたくない。それにお小遣いだって欲しい。いま、自分が必要なものは独身時代の貯金を切り崩して買っている。働けば、懐は楽になるのではないだろうか。

 少し前、「働いてみたい」と夫に相談してみた。夫は残業が多く、休日も出勤する。夫からは「申し訳ないけれど、働いても家のことはお手伝いぐらいしかできないよ」と返された。遠方に住む両親には頼れない。

 「仕事をしたら自分に負担がかかるのは目に見えている」

幼稚園で顔の描き方を習ってきた娘が、夕食後に書いてくれた似顔絵。覚えたてのひらがなで「おかあさん」と書き加えた

幼稚園で顔の描き方を習ってきた娘が、夕食後に書いてくれた似顔絵。覚えたてのひらがなで「おかあさん」と書き加えた

「働いている人だけが偉いのかな」

 もやもやした気持ちになったときは、同じような境遇のママ友と話して気を晴らすことにしている。夫も「たまには気分転換しておいで」と言ってくれるけれど、結局家事が後回しになるだけと思うと、存分に楽しめない。

 周囲からは「楽でいいね」としばしば言われるけれど、自分なりには忙しい。朝はお弁当を持たせて幼稚園まで送る。掃除と洗濯、買い物や料理を終えると、あっという間に午後1時半のお迎えの時間になる。その後、ピアノや体操教室といった習い事に向かわなければならない。ほぼ毎日、娘と夕方まで近くの公園で遊ぶのだって、体力を消耗する。

 かつて、平日は仕事に励み、休日に切り替えるということもできた。専業主婦としてのいまは、24時間365日営業。終わりが見えない。

 周りに頼れる人がいなかったり、子どもが小さかったり。働きたい気持ちがあっても実現しにくい環境の人もいる。「働いている人だけが偉いのかな」。「女性活躍」のかけ声のもと、みんなが一つの方向を目指そうとする風潮に、疑問を感じている。

連載「平成家族」

この記事は朝日新聞社とYahoo!ニュースの共同企画による連載記事です。結婚・子育て・専業主婦…新しい価値観と古い制度の狭間にある「平成家族」をテーマに、1月1日から1月9日まで公開します。
【1日配信】「代理婚活」花盛り 「親が探した相手」を受け入れる子の気持ち
【1日配信】日本の家族、ようやく「変わり目」 税や社会保障、多様な実態合わず
【2日配信】「イクメン」を褒められても…減った給料、消えない後ろめたさ
【3日配信】退社時間早まったのに「足が家に向かない」 増える「フラリーマン」
【4日配信】「覚悟して選んだ」専業主婦、でも…「女性活躍」にざわつく焦燥感
【4日配信】「主婦の友」の盛衰から見る専業主婦論 「家庭か仕事か」3度論争も
【5日配信】「専業主婦も輝ける」 女性活躍への疑問「家族を支えているのは私」
【6日配信】非正規シングル女性、収入12万円の「充実」と「取り残され感」
【7日配信】「家族破綻のリスク」 無職の弟支えきれず、仕送り終了通告した兄
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【8日配信】「4人以上産んだ女性」発言 違和感抱く女性ががっかりしたこと
【9日配信】親の呪縛から逃れたい… 断絶を選んだ娘、罪悪感と安堵と

産め圧力・男性不妊・タワマン保活……多様化する「平成家族」の風景
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【子どもがいない人生】出産年齢を「15~49歳」、2000年以降の合計特殊出生率を「1.40」として推計すると、子どもを持たない女性は3割にのぼる
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