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愛好家が採点の国も 村田諒太の世界戦でわかったジャッジの「緩さ」

世界ボクシング協会(WBA)のミドル級新チャンピオンになった村田諒太選手。世界戦ではジャッジの質もクローズアップされた
世界ボクシング協会(WBA)のミドル級新チャンピオンになった村田諒太選手。世界戦ではジャッジの質もクローズアップされた 出典: 朝日新聞

目次

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 世界ボクシング協会(WBA)のミドル級新チャンピオンになった村田諒太選手(31=帝拳)の世界戦を巡っては、採点をするジャッジの問題がクローズアップされました。どうやら、ジャッジの質に問題があるようです。(朝日新聞東京本社スポーツ部・伊藤雅哉)

今回のタイトルマッチの採点表。判定でも村田選手が3-0で勝っていた
今回のタイトルマッチの採点表。判定でも村田選手が3-0で勝っていた

ダウン奪うも判定負け

 村田選手が5月に挑んだ世界ボクシング協会(WBA)ミドル級王座決定戦では、「不可解な判定」によってアッサン・エンダム選手(フランス)に敗れました。

 4回に右ストレートでエンダム選手をダウンさせ、圧倒していたようにも見えたのですが、2-1の判定でエンダム選手がチャンピオンになったのです。

 ボクシングの世界では、判定を巡る騒動がたびたび起こります。世界タイトル戦では、基本的に中立国から派遣されたジャッジ3人が採点します。問題は、どんな人がジャッジをやるのか、です。

5月の王座決定戦で攻めたてる村田選手(左)
5月の王座決定戦で攻めたてる村田選手(左) 出典: 朝日新聞

 日本ボクシングコミッション(JBC)顧問で、世界戦のレフェリーやジャッジを100試合以上経験した森田健さん(82)は言います。

 「日本やメキシコでは国内の試合から経験させ、ジャッジを育てます。我々の時代は『世界戦を裁くには10年かかる』と言われました。ただ、そうではない国があるのです」

 森田さんによると、ボクシング愛好家の大学教授や、体育系の上級の公務員が、名誉職としてジャッジを務める国があるそうです。「素人とは言わないけど、専門家とも言えない人がいる」と森田さん。だから議論を呼ぶのです。

5月の王座決定戦で「不可解な判定」で敗れた村田選手
5月の王座決定戦で「不可解な判定」で敗れた村田選手 出典: 朝日新聞

採点基準に地域差も

 世界の大半のジャッジは相手にダメージを与えるクリーンヒット(有効打)を重視して採点しますが、中には軽いパンチでも手数を評価する人もいて、採点基準にばらつきがあります。

 地域差もあるそうで、現役レフェリーの福地勇治さん(57)は「米国でもニューヨークなど東海岸は手数派、ビッグマッチの開催が多いラスベガスを含む西海岸はクリーンヒット派が多い。アジアも各国で違う」と話します。

 5月の試合で、村田選手は明らかに有効打で上回りましたが、2人のジャッジはエンダム選手の手数を支持しました。7月にも、フィリピンの英雄マニー・パッキャオ選手が豪州で判定負けした試合が物議を醸し、フィリピン政府機関が再採点を求める事態にもなりました。

フィリピンの英雄マニー・パッキャオ選手
フィリピンの英雄マニー・パッキャオ選手 出典: ロイター

5月のジャッジは資格停止処分に

 5月の試合でエンダム選手を支持した2人のジャッジは6カ月間の資格停止処分になりました。

 10月22日の村田選手とエンダム選手の再戦にあたり、WBAは過去に世界戦を裁いた経験が豊富な3人をそろえました。

 5月の試合で一人だけ村田選手の勝ちとしたのが米国のカイズ氏で、今回はその息子のカイズジュニア氏がジャッジとして来日しました。JBC関係者は「今回は一流メンバーが来た」と言います。村田選手が5月の試合と同じ内容で戦えば、まず負けることはないといえる舞台設定が整っていたのです。

 結果的に、再戦では村田選手が7回終了後に相手を棄権に追い込み、TKO勝ちしましたが、それまでのジャッジの採点も3-0の完勝でした。

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