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ウォーターゲート跡地のホテルが斬新すぎ!館内に流れる元大統領の声

事件から25年後、1997年に撮影されたウォーターゲート事件の現場=ロイター
事件から25年後、1997年に撮影されたウォーターゲート事件の現場=ロイター

目次

 「ロシアゲート」と言われる、アメリカのトランプ政権とロシアとの疑惑。同じくアメリカ大統領をめぐる世紀の疑惑として有名なのが「ウォーターゲート」です。6月17日は、その「ウォーターゲート」が起きた日です。最近では、事件の舞台となった場所がホテルとして、リニューアルオープン。事件で辞めたニクソン元大統領の声が館内アナウンスに使われるなど、「負の歴史」を逆手にとったビジネスも生まれています。

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アメリカ大統領、任期中の辞任は初

 「ウォーターゲート」は、1972年6月17日未明に起きました。

 ワシントンの「ウォーターゲートビル」にあった民主党本部に盗聴器をしかけようと侵入した5人が逮捕されたことをきっかけに発覚した政治スキャンダルです。

 5人は共和党のニクソン大統領の再選を目的に結成された団体の関係者でした。報道などを通じて大統領や側近が事件などの不法行為に関与していた疑いが強まり、74年8月に辞任しました。任期中の辞任は米国史上初のことでした。

ウォーター事件で大統領を辞職したニクソン氏=1974年8月、ロイター
ウォーター事件で大統領を辞職したニクソン氏=1974年8月、ロイター
<ウォーターゲート事件> 1972年6月17日未明、米ワシントンの「ウォーターゲートビル」にあった民主党本部に盗聴器をしかけようと侵入した5人が逮捕されたことをきっかけに発覚した政治スキャンダル。5人は共和党のニクソン大統領(当時)の再選を目的に結成された団体の関係者で、ワシントン・ポスト紙の報道などを通じて大統領や側近がこの事件などの不法行為に関与していた疑いが強まった。ニクソン氏は再選を果たしたが、議会からの弾劾(だんがい)が確実になった74年8月に辞任した。
2012年7月3日:(Media Times)変わる米の調査報道 ウォーターゲート事件40年:朝日新聞

特別検察官に圧力

 民主党本部への侵入・盗聴事件を隠すために、ニクソン氏をはじめ、側近たちは偽証などの隠ぺい工作を行いました。

 また、政府高官が関わった事件を捜査するために設置される特別検察官にニクソン氏は圧力をかけて解任させました。

 過去に特別検察官が設置された事件としては、クリントン大統領夫妻による土地開発や不正融資に関わる「ホワイトウォーター疑惑」があります。その後、ビル・クリントン氏の不倫もみ消し疑惑に発展し、大統領の弾劾裁判にまで持ちこまれました。

1996年4月、日米首脳会談で共同宣言の調印式で署名した後、クリントン米大統領(左)と握手する橋本龍太郎首相=東京・元赤坂の迎賓館で
1996年4月、日米首脳会談で共同宣言の調印式で署名した後、クリントン米大統領(左)と握手する橋本龍太郎首相=東京・元赤坂の迎賓館で 出典: 朝日新聞
ニクソン元大統領の失脚につながったウォーターゲート事件が頭に浮かぶ。七三年五月、当時の司法長官は世論や議会の圧力に押され、法律学者のコックス氏を特別検察官に任命した。コックス氏は司法省外に事務所を設けるなど検察官としての独立性を貫き、選挙妨害、選挙資金などの疑惑も捜査の対象とした。それがニクソン大統領との対立を生み、同年十月に解任された。
1994年1月25日:米国の特別検察官 中立的な捜査が任務(みんなのQ&A):朝日新聞紙面から
ニクソン氏のウォーターゲート事件のほか、90年代にはクリントン大統領夫妻による土地開発や不正融資(ゆうし)に関わる「ホワイトウォーター疑惑」がある。スター特別検察官(後に独立検察官)による捜査で、ビル・クリントン氏の不倫(ふりん)もみ消し疑惑に発展し、大統領の弾劾(だんがい)裁判にまで持ちこまれたんだ。トランプ政権のロシア疑惑はニクソン氏のウォーターゲート事件になぞらえる人も多く、特別検察官の捜査の行方が注目されている。
2017年5月19日:(いちからわかる!)米国で任命された特別検察官って?:朝日新聞紙面から

「ロシアゲート」と「ウォーターゲート」

 トランプ政権の「ロシアゲート」を、ニクソン氏の「ウォーターゲート」と重なる部分が少なくありません。

 疑惑を捜査していたコミー連邦捜査局(FBI)長官を解任に端を発し、司法妨害疑惑が持ち上がりました。特別検察官としてマラー元FBI長官が任命され、捜査が行われています。

 5月15日には、トランプ氏がロシア外相との会談で、機密指定情報を提供した疑惑が浮上、16日には、コミー氏に「彼はいいやつだ、大目に見てくれ」とロシア疑惑捜査の打ち切り要請のメモが明るみに出ました。それに対して、トランプ氏側は否定しています。

疑惑の渦中にあるトランプ大統領=2017年6月15日、ロイター
疑惑の渦中にあるトランプ大統領=2017年6月15日、ロイター
2016年の米大統領選でのロシアの介入を巡る問題で、米司法省は17日、独立性が高い特別検察官として、ブッシュ政権やオバマ政権下で連邦捜査局(FBI)長官を務めたロバート・マラー氏(72)を任命した。ロシアとトランプ米大統領の陣営との癒着も含めた広範囲な捜査を指揮する。
2017年5月18日:米司法省任命の特別検察官が捜査へ トランプ氏のロシア疑惑:朝日新聞紙面から
トランプ氏は、5月9日にコミー前FBI長官を解任。米メディアが16日、トランプ氏が在任中のコミー氏に対し、フリン前大統領補佐官への捜査を打ち切るよう要請した司法妨害疑惑を報じ、議会などから批判が噴出していた。
2017年5月18日:米司法省任命の特別検察官が捜査へ トランプ氏のロシア疑惑:朝日新聞紙面から
一方、トランプ氏がロシア外相との会談で機密情報を漏らしたとされる問題に関し、米メディアは16日、この情報は過激派組織「イスラム国」(IS)に関し、同盟国であるイスラエルから得たものだと報じた。イスラエルから事前の了解を得ていなかったという。
2017年5月18日:トランプ氏の捜査介入疑惑、司法妨害の可能性:朝日新聞紙面から
トランプ氏は就任後まもなく、ロシアとの癒着を疑われる自分の側近をかばい、コミー長官にこう求めた。「彼はいいやつだ。大目に見てほしい」。いいやつであることは同意する、とだけ答えたとコミー氏がメモに残している。捜査に手心を加えることはなかったという
2017年5月19日:(天声人語)米大統領の捜査介入:朝日新聞紙面から
これまで、トランプ氏はロシアによる大統領選介入問題について「ロシアが選挙に関係する問題があったなら、私も知りたい」などと語っていた。このメモの内容が本当ならば、その裏で捜査機関に圧力をかけていたことになり、司法妨害の疑いが濃厚になる。それだけにホワイトハウスも事態を重くみて報道直後に声明を発表。「大統領は、コミー氏やほかの誰にも、フリン氏に関連するものも含め捜査を中止するよう要請したことはない。大統領は法の執行機関やすべての捜査に最大限の敬意を払っている」と強調した。
2017年5月18日:トランプ氏、疑惑次々 報道直後、否定の声明「捜査中止要請したことない」:朝日新聞紙面から

「負の歴史」逆手にとったサービス

 「ウォーターゲート」が起こった、ウォーターゲートホテルは10年近く閉鎖されていましたが、2016年6月、ホテルとオフィス、住居部分からなる複合ビルとして、新しくオープンしました。
 
 「ウォーターゲート」が起こった場所という「負の歴史」を抱えているこのビル。ニューヨーク・タイムズによると、それを逆手にとったサービスが行われています。

 ホテルの部屋のカギに「押し入る必要はありません」と書いてあったり、ニクソン元大統領の声が館内の共用トイレ、さらに電話サービスの音声に使われていたりします。

 電話番号は「617-1972」と、侵入事件が起こった日が用いられています。


ホテルは、この10年近くは閉鎖されていた。夫妻らは、1億2500万ドル(1ドル=105円で131億円余)をかけて改築し、今年6月に新装オープンさせた。
あのウォーターゲート事件のホテルが復活:朝日新聞デジタル
部屋のカギ:「押し入る必要はありません」とある。事件で辞任した共和党の大統領リチャード・ニクソン:その声は、館内の共用トイレで流れている。さらに、電話サービスの音声にも利用されている。電話番号617-1972:この複合ビルにあった野党・民主党の事務所に5人が侵入し、歴史的な事件に発展することになった日付「1972年6月17日」から取った。
あのウォーターゲート事件のホテルが復活:朝日新聞デジタル

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