ネットの話題
「大学に爆竹」デマ、半日で4千ツイート なぜ広がったのか?
大学の履修届け出に関連して「爆竹が投げ込まれた」というデマが広がりました。到底冗談では許されない話ですが、このデマはどう広がったのでしょうか?
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大学の履修届け出に関連して「爆竹が投げ込まれた」というデマが広がりました。到底冗談では許されない話ですが、このデマはどう広がったのでしょうか?
追手門学院大学(大阪府茨木市)の教科履修手続きに不満を持った学生が、教務課に爆竹を投げ込んだ….。そんなデマが4月5日、ツイッターで広がりました。当時のデータを分析すると、1日で4千回もつぶやかれたことがわかりました。大学は公式サイトで誤りを指摘し、同じアカウントからは否定する内容も投稿されましたが、それが広まることはありませんでした。いったい、何が起きたのでしょう?
大学によると、3月30日から今月3日にかけ、大学は学内ポータルサイトで学生の履修の希望を受け付けていました。
最終日の3日、サーバーにアクセスが集中して手続きがの処理が滞る事態が発生。大学は、受付の締め切りを深夜に変更するなどの対処を行いましたが、学生には混乱があったようです。
問題の「爆竹」ツイートを調べてみると、一番初めは5日午後1時台にあった学生と思われる人物のツイートのようです。履修を巡るトラブルについてつぶやいた後に
とつぶやきました。
次のツイートは約10分後。別のアカウントが「どんな過激派やねん」。
ツイッターの分析ツール、米クリムゾンヘキサゴン社の分析ツール「ForSight」で調べると、どんどん関連ツイートの間隔は狭まってゆき、午後2時台には「追手門」と「爆竹」の両方のキーワードを含むツイートだけでも計18ツイートに。その後も直線的に数は増え、5日全体では約4200ツイートになりました。
つぶやいたアカウントのフォロワー数合計は約600万アカウント。実際に見たかどうかは別にして、最大でそれだけの人々が誤った情報を見られる状態でした。関連ツイートはまとめサイトにも掲載され、さらに多くの目にさらされました。
最初のツイートをしたアカウントは約5時間後、爆竹の話を否定し「噂って怖い」とつぶやいていますが、そのツイートはあまり拡散しなかったようです。
履修届に関連するデマは他にもあり、必修科目の受講も抽選で決まるため卒業に必要な単位が取れない、などの内容もありました。
大学の広報によると、そもそもの発端となった履修手続きのトラブルは、今年度から受講の決定が抽選になる授業が増えたこと。計約3000の講義のうち、受け付ける定員が決まっていて受講者を抽選で決めるものは昨年まで500程度でしたが、今年度から1200に増えました。
この結果、履修の希望を受け付けるサーバーに負荷がかかり、処理能力が落ちたのが、原因だったそうです。
広報担当者は「定員を抑え、質の高い講義を行うための変更だったが、学生の皆さんに迷惑をかけてしまいました。現在は当面の対応に追われていますが、今後に向けてシステムの改善を行うことになると思います」と話しています。
今回は、大学側もホームページでSNSで拡散後すぐに「デマ」だという情報を発信。7日には川原俊明学長が改めて、「こうした事実は一切ありません」というメッセージを出しました。
メッセージによると、「爆竹」デマは、大学近くの神社であった祭りで打ち上げられた花火の音を面白半分に投稿したことがきっかけのようです。
発信した方も想像がつかない事態になった今回のツイート。誤った情報の拡散は、災害時でも深刻な問題になっています。
東日本大震災では、コスモ石油千葉製油所(市原市)のガスタンク爆発事故の映像をきっかけに「有害物質を含んだ黒い雨が降る」といった、誤った情報がツイッターなどで広がりました。誤情報は、公式サイトが否定のメッセージを出したことでおさまりました。
熊本地震では、ツイッターに投稿された「ライオン放たれた」というデマを巡り、逮捕者も出ました(後日、不起訴処分に)。
今回、履修登録をめぐり、思わぬ騒動に巻き込まれた追手門学院大学。
担当者は「大学の評判にも関わる話。正確な情報を出していくしかないです」と話していました。
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