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コラム

「支える献身的な妻」のはずが…共依存という病がもたらす夫婦の結末

2016年の初夏に、私たち夫婦は離婚しました。これまで、どうにか2人でうつ病を乗り越えたいと思っていたけれど、結局それは叶いませんでした。私たちが離婚に至った理由の一つ。それは「共依存」の状態に陥ってしまったこと。いい夫婦関係を保てなくなってしまったことが大きな要因でした。

出典: Plus-handicap

 2016年の初夏に、私たち夫婦は離婚しました。これまで、どうにか2人でうつ病を乗り越えたいと思っていたけれど、結局それは叶いませんでした。

 私たちが離婚に至った理由の一つ。それは「共依存」の状態に陥ってしまったこと。いい夫婦関係を保てなくなってしまったことが大きな要因でした。

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「共依存」関係だった私たち


 2015年の秋頃から、私は日常の中に疲れを感じるようになっていました。なんとなく朝起きるのが辛かったり、体調が良くない日が多くなったりということが増えていたんです。

 それはちょうど、転職して半年くらいが過ぎた頃のこと。きっと環境が変わった疲れや仕事のストレスが原因だろうと思っていました。

 「ちょっと仕事がストレスで」なんて話す私に、私たち夫婦の事情を知っていたある人が言いました。「その関係は、共依存って言うんだよ」と。

 言われた瞬間に思ったことは、「そんなはずはない」ということ。だって私はちゃんと自分のことも見ているし、自分自身のことも大事にしているつもりだったから。

 けれど外から見れば、十分に共依存という状態が成立して見えたようです。この言葉がなければ私はきっと今頃、もっと苦しんでいたのではないかと思います。

共依存とは?

 共依存とは、人間関係に過剰に依存している状態のこと。元は、アルコール依存症の患者と家族の関係を表すものだったようです。

共依存(きょういそん、きょういぞん、英語: Co-dependency)とは、自分と特定の相手がその関係性に過剰に依存しており、その人間関係に囚われている関係への嗜癖状態(アディクション)を指す。すなわち「人を世話・介護することへの依存」「愛情という名の支配」である。共依存者は、相手から依存されることに無意識のうちに自己の存在価値を見出し、そして相手をコントロールし自分の望む行動を取らせることで、自身の心の平安を保とうとする。
(Wikipediaより)

 指摘された当初は否定していたけれど、考えれば考えるほど、話を聞けば聞くほど、自分たちに当てはまるような気がしてなりませんでした。

 私がやりたいと思っていたことも、やろうとしていたことも、すべて結局は「夫のため」。夫が私に依存するだけでなく、私自身も「支える妻」であるという立場にいつの間にか依存していたんです。

 夫に必要とされる自分でありたかった。
 「支える献身的な妻」としてまわりに認められたかった。
 「夫は私がいなければダメなんだ」と思いながら、実は夫がいなければダメだったのは私の方だった。

 夫婦として適切な関係がとうの昔に崩れていたのが、私の苦しさの原因だったということ。そのことに気づいた瞬間、絶望にも似た愕然とする思いと、苦しさから逃れられるかもしれないという安心感の両方が、私の中で交錯していました。

離婚後に起こったこと

 私たち夫婦が共依存関係から脱するためにしたことが、離婚でした。本当は、そうしなくても乗り越えられたかもしれません。適切にカウンセリングを受けるなどすれば、関係を築き直すことだってできたかもしれません。

 でも、その方法を私は選べませんでした。それは、他にも離婚をする理由があったこと、関係を再構築するには私に心身の余裕がなかったことが理由です。

 離婚を切り出した時点で、夫は共依存関係にあったことは自覚はなかったし、今もそうは思っていないかもしれません。けれど、離婚によって自立しなくてはならなくなるとはっきり自覚したそのあと、求職中だった夫はすぐに仕事を決めていました。

 一緒にいる間はなかなか働く場所が見つからなくて心配していたのですが、もしかしたら、それを妨げていたのは私たちの不適切な関係だったのかもしれません。

 今は私自身も夫抜きで自分のことを考えるようになってきたし、夫も仕事をちゃんと続けて生活している様子です。離婚は苦しい選択ではあったけれど、お互いに自分の足で立つきっかけにすることはできているのではないかなと思います。

うつ病患者と家族の間に共依存は起こりやすい?

 この共依存という関係、専門的に見るとどうなのかはわかりませんが、状況によっては、私たち夫婦以外にも起こり得ることではないかと個人的には感じています。そしてそれは、うつ病だけでなく他の病気の場合でも言えることかもしれません。

 特に、うつ病をはじめとした精神疾患の場合、患者も家族も孤独になりやすいので、互いの存在しか見えなくなってしまいます。その中で互いに依存を深め過ぎてしまうというのは、あり得ることなのではないでしょうか。

 そういった悪循環を防ぐためにも、患者や家族に第3者が関わることは重要なのかもしれません。

共依存を防ぐために

 夫と一緒にいた約6年間、そして夫のうつを支えた約5年間の間に、何をしていればよかったのかはまだわかりません。

 ただ感じるのは、もっとまわりに頼る場所があればよかったのかもしれないということ。他者からの客観的な意見をもっと早くに聞くことができていれば、共依存状態になりつつあることに早く気付くことができていれば、もしかしたらこのような結末は防げていたかもしれません。

 夫婦の健康な関係を保つという意味でも、患者と家族が孤独になることは避けなければならない。そんなふうに感じています。
【ライター:小松亜矢子】

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