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カブス「呪いの一族」の今 108年ぶり優勝 一転、幸運の象徴に

「羊の呪い」を意識して「WHAT GOAT?」というボードをかかげるカブスファン=2016年11月2日、ロイター
「羊の呪い」を意識して「WHAT GOAT?」というボードをかかげるカブスファン=2016年11月2日、ロイター

目次

 大リーグの第112回ワールドシリーズ(WS)は2日に第7戦が行われ、シカゴ・カブスが1908年以来108年ぶりに優勝を果たしました。そのWSに1945年以来71年ぶりに進出したカブスを長年悩ませて、この日解放されたのが「ヤギの呪い」です。呪いをかけた一族もヤギを連れてテレビで観戦。ファンと一緒に祝いました。

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「臭い」を理由に入場拒否

 事件は1945年に起きました。カブスの本拠で行われたWS第4戦で、カブスの熱心なファンだったビリー・シアニスさんが、ペットのヤギ「マーフィー」と一緒に観戦しようとすると…「臭い」という理由で入場を拒まれたのです。

 怒り心頭のビリーさんは当時のカブスのリグレー・オーナーにこう吐き捨て、球場を後にしたのです。

 「them Cubs will win no more(カブスは二度と勝てない)」

シカゴ市内にあるビリーさんが作った居酒屋「ビリー・ゴート・タバーン」の店の裏に描かれた羊の絵
シカゴ市内にあるビリーさんが作った居酒屋「ビリー・ゴート・タバーン」の店の裏に描かれた羊の絵 出典: 朝日新聞

呪いの言葉、現実に

 ビリーさんの言葉は、現実になります。

 この年、カブスは第7戦でタイガースに敗退。以降、今シーズンまで70年もの間、WSに出場することすらできなかったのです。

 この間、WS進出をかけたプレーオフに進んだ年は7回ありましたが、すべて負けています。最後にワールドシリーズを制覇したのは1908年。なんと108年も前のことになります。

店内に描かれたヤギ「マーフィー」
店内に描かれたヤギ「マーフィー」 出典: 朝日新聞

「マーフィー7世」も健在

 ビリーさんの一族は今もシカゴ市内にいます。おいの息子であるトム・シアニスさん(40)は現在、シカゴ市内にある居酒屋「ビリー・ゴート・タバーン」のオーナーの一人です。

 ビリーさんが作った店を、きょうだい5人と一緒に運営しています。商売は繁盛していて、シカゴのあるイリノイ州に8店舗、ワシントンDCに1店舗あるそうです。

 ヤギの「マーフィー」の一族も健在です。今もイリノイ州の隣にあるインディアナ州で飼っていて、現在は「マーフィー7世」がいるそうです。

 ヤギはシアニス家にはとても大切な存在で、トムさんも「幼少のころから触れ合って育った」と話しています。

 トムさんに直撃すると、世間に伝わる呪いの本当の経緯を教えてくれました。

 「大叔父(ビリーさん)は実際は四回まで球場の中にいて試合を見ていたんだ。そこで周りの客から臭うと嫌がられて追い出されたんだ」

呪いをかけた先祖を持つトム・シアニスさん(左)とヤギ
呪いをかけた先祖を持つトム・シアニスさん(左)とヤギ 出典: 朝日新聞

「これで呪いは解かれた」

 カブスは2日、第7戦を延長10回、8―7で勝利し、歴史的な瞬間を迎えました。108年ぶりに優勝し、ついに呪いを解いたのです。

 トムさんはこの日、シカゴ市内の店舗で、約200人の客とともにカブスの勝利を見届けたそうです。観戦中のお供にと、ヤギを店内に入れて記念撮影したりして、盛り上がったそうです。

 そして感慨深げに言いました。

 「これで呪いは解かれた。これからヤギはカブスにとって幸運な存在になるだろう」

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