お金と仕事
Airbnbで見つけた「理想の老後」 ハワイ6連泊、レビューが結んだ縁
この夏休み、19年ぶりに夫婦でハワイに行きました。泊まったのは、初対面のご夫婦が暮らす普通のお宅。そう。世界規模の民泊仲介サイト、「Airbnb(エアビーアンドビー)」を使って探しました。到着までは、ちょっとした冒険気分。泊まってみれば、予想外の安心感と居心地のよさ。将来、自分もホストしてみたいなあと思ったのは、色々な意味で「老後の支え」になりそうな気がしたからです。
久しぶりに計画を立てて、1週間の休みがとれそう!一念発起してハワイ島に行くことにしました。19年前、友人の結婚式に夫婦で出席した思い出の場所です。
前回はホテルに泊まりました。さて、今回はどうするか?ネットでホテルや貸別荘を探しているうちに、突然、思いつきました。「Airbnbってあったよね!」
ハワイ島で検索してみると、270件くらい出てきましたが、泊まりたい地域(島の北西部海岸沿い)に絞っていくと、数は少なくなっていきます。もう若くないので、そこそこのお金を払って、ちゃんとしたところに泊まりたい。
一軒、貸し切りするよりも、ホスト・ファミリーが一緒の方が、何かと安心かな……と考えて選んだのが、この「デラックスルーム」。2人で朝食つき1泊あたり1万6千円ちょっと。決め手は、紹介写真に2匹の犬が写っていたこと(この写真は掲載されていません)。大の犬好きなので。
20件以上のレビューを読んでみても、とてもいい感じ。当方の旅程ともあうので、宿泊を申し込むとともに、ホストにメッセージを送ります。
「夫婦で東京から参ります。犬が大好きです。泊めてもらえますか?」という趣旨を英語で書きます。
すると、ほどなく「写真にあるバネッサはいま、アメリカ本土にいるので、私、母のジャネットと夫のアンドリューがホストになります。アンドリューは、日本の商社で働いていたこともあるのよ。どうぞ、泊まりに来てくださいな。楽しみにしてます」というナイスなお返事が。
その後、空港からの行き方や、台風の影響、ネット環境などの問い合わせにも親切に答えてくれました。
8月末の出発当日、成田空港に到着したところ、大トラブルが!
夫婦そろって、米国に旅行する際に必要なESTA(電子渡航認証システム)への登録を忘れていたのです。このままでは出国できない!真っ青になりながら、ロビーにあるコイン式パソコンで手続きを進めます。途中からハワイアン航空の職員が手伝ってくれて、なんとか搭乗口にたどりついたのは、ドアが閉まる15分前でした。ふぅー。
全部、自分で手続きを進め自由旅行だと、こんな思わぬ落とし穴もあります。気をつけましょうね。
詳しい道順は、事前にAirbnbのサイト上でメッセージをやりとりし、教えてもらっていました。空港でレンタカーを借りて、溶岩で覆われた大地に敷かれたハイウェイを25分ほど。「高いヤシの木が見えたら、左折」という指示通りに、マウナ・ラニ(Mauna Lani)リゾートの敷地に入ります。
同じような姿形をした大きな家が並ぶなか、番地を頼りに目指す家を見つけます。チャイムを鳴らすと、すぐにドアが開き、Tシャツと短パン姿のアンドリューさんが姿を現しました。奥さんも呼んで、握手じゃなくて、いきなりハグを交わします。ハワイは、これが普通なんですね。
玄関で靴を脱ぐルールで、日本人にとっては有り難いです。
すぐ右脇には、でっかいソファーとテレビを備えたリビング。
その奥には、ダイニング・スペースとキッチンが。
うちのマンションのリビングの3倍くらいの広さでした。
その後、アンドリューさんと一緒にリゾート地内を回ります。まず、案内されたのが、プール。フィットネスやバーベキューの設備もありました。でも、ビーチが素晴らしすぎたので、ここを使う時間はありませんでした。もったいない。
びっくりしたのは、プライベート・ビーチ。駐車場に入るのに、カードキーが必要です。レストランの脇を通り抜けて、きれいな砂浜へ。シェードつきのビーチベッドがそこかしこに置かれ、自由に使えます。リゾート地内に家を所有しているか、ホテルの滞在客しか使えないとのこと。ライフガードもいて、安心です。
さて、最終的な支払はいくらだったでしょうか? 最初にご紹介した朝食つき1泊2人で1万6千円ちょっとは、あくまでホストに払われる額。Airbnbサービス料として、6泊分で1万2776円がチャージされました。合計で11万395円。
「こちらのご旅行は1名様1泊あたり9200円(税・サービス込み)でした」と領収書にあります。うん。単なる宿泊以外の要素を勘案すれば、お値打ちというのが、正直な感想です。ま、どの物件も、こんなに良いとは限りませんけどね。
ご夫婦が今の場所でAirbnbのホストを始めたのは、今年5月から。まあ、お客は1カ月に6組もあればいいかな、と考えていたのに、今や1カ月のうちに20日以上は予約が入っているそうです。「君たちの後、キャンセルが出たので少し休めるよ」と冗談まじりにおっしゃってました。
Airbnbでは、ホストとゲストがお互いを評価し、レビューを書きます。この物件はすべての項目で5つ星を獲得し、ゲストからもレビューも称賛の言葉であふれています。これが、ジャネットさん(65)にとって、何よりもうれしく、生きがいになっているとのことでした。
私も定年まであと10年。その後のセカンドキャリアを考える年になりました。「東京の狭いマンションではムリでも、実家を改修したらできるかも……」。そんなことを考えました。規制は必要かもしれないですが、「アクティブシニアの生きがいづくり」という観点からも、検討して欲しいですね。
さて、旅行が終わった後も、Airbnbの利用者は、ホストもゲストも大切な「仕事」が残っています。
お互いに、相手を評価しあうのです。ゲストからの良いレビューをたくさん獲得すれば、物件の評判は上がります。そして、ホストの側も良いレビューがあれば、受け入れるホストの側も安心というわけですね。
旅行から戻るとすぐに、Airbnb本部から「滞在の評価をお願いします」というメールが届きました。3日後に、ホストから「ホストからレビューが届きました」というメールが。ただし、レビューを読むには、自分もレビューを書かなければいけません。投稿できるのは、チェックアウトから14日間。誰でも、自分の評価は気になりますね。だから書きました。日本語で書いてから、それを英語に訳したものもつけました。
さて、ホストを評価するレビューを投稿し終わると、自分についてホストが書いてくれたレビューが読めるようになりました。
ドキドキしながら読みます。「一緒に時間を過ごせて楽しかった」など、過分のお褒めの言葉をいただきました。なかでも、「まるで誰も滞在しなかったかのように、部屋を完璧に現状復帰してくれました」という一文に、ほっとしました。
うちの奥さんに読ませたら、「最後にゴミをまとめたのがよかったんじゃないか」と言っていました。「立つ鳥跡を濁さず」というのは、大切なんですね。
ジャネットさんとアンドリューさんは、近々、日本に遊びに来たいとのこと。また、お会いできたらうれしいです。ただし、ウチの狭さにはびっくりするかもしれませんが。
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