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鹿島の監督騒動、強化部長が語った真相「あのときは色々あったから」
Jリーグ1部の名門・鹿島アントラーズで8月末、石井正忠監督(49)の進退を巡る騒動が起きました。心労を訴えて、公式戦を休養したのです。選手との確執が原因といううわさが流れ、「退任」もささやかれましたが、数日後に復帰しました。史上最多となる7度のJ1年間王者を誇るなど数々のタイトルを獲得している鹿島。クラブを長年支えてきた鈴木満強化部長(59)にとっても、経験のない異例の事態でした。
「それはびっくりしたよね。前の日まで全然、大丈夫だったから。突然降って湧いたような話だった」
騒動の始まりは、8月26日午前。鈴木強化部長は、練習前に石井監督から「監督としての自信を失った」と訴えられました。
今季の第1ステージ(S)で優勝した監督が、突然訴えた心労。鈴木強化部長はその日の練習は休んで、翌日の横浜Fマリノス戦で指揮を執るよう伝え、帰宅させました。
鹿島は第2Sに入って調子が上がらず、7月23日に年間勝ち点で上位を争う浦和レッズに敗れてから、公式戦で4連敗を喫しました。その後、2連勝と立て直したように見えましたが、石井監督は「チームに一体感が戻らない」ことに大きな責任を感じていたと、鈴木強化部長に漏らしました。
「第1Sを優勝してさ、残り7試合、8試合。この状況で、監督どうのこうのすること考えるフロントっていないと思うよ」。鈴木強化部長は驚きを隠せません。
1996年に現職につき、鹿島を強豪に育て上げたJリーグきっての「強化のプロ」。そんな鈴木強化部長にとっても、「経験したことがない事態」でした。
騒ぎが大きくなったのは、主力FW金崎夢生(27)との確執が原因、という臆測が飛び交ったからです。
日本代表に定着しつつあった金崎は、9月のワールドカップ(W杯)アジア最終予選のメンバーから外れました。8月25日にあったメンバー発表の記者会見でバヒド・ハリルホジッチ監督(64)が、金崎について言及しました。
鹿島が勝って2連勝とした8月20日の湘南ベルマーレ戦で途中交代した際、石井監督が差し出した手を振り払い、ベンチで激高したことを問題視しました。
「代表選手にふさわしくない態度だった」
石井監督が心労を訴えたのは、翌日の26日でした。25日には、リオデジャネイロ五輪でサッカー男子日本代表の監督を務めた手倉森誠氏(48)が、「鹿島監督就任に内定した情報がある」、という一部報道もありました。
「そういう記事も、目にしたみたいだった。あのときは、色々あったから」。鈴木強化部長は、様々な臆測を呼んだ原因をそう振り返ります。
石井監督は27日の横浜マ戦も休養し、大岩剛コーチ(44)が監督を代行しました。結果は2-2の引き分け。自宅でテレビ観戦した石井監督は選手たちが必死に戦う姿に奮い立たされます。
「自分だけ苦しんでいるわけじゃない。自分だけ逃げるわけにはいかない」
29日に鈴木強化部長と話し合い、「もし許されるのであれば、もう一度このチームの指揮を執りたい」と伝えました。30日にクラブの役員会を経て、復帰を認められました。
石井監督は練習に復帰した30日、報道陣の取材に応じ、ハリルホジッチ監督の発言と休養は全く無関係だと否定しました。湘南戦の翌日に金崎と話し合いの場を持ち、金崎はチームメートやスタッフにも謝罪していました。
「しっかり整理されている。その影響はない」ときっぱりと言いました。
石井監督は理由について「チームの一体感がなくなったことに責任を感じ、それが積み重なって精神的にダメージを受けた」と説明しました。
鈴木強化部長は「選手と監督の間に、溝があったというわけではない」と強調しました。石井監督には昨年のナビスコ杯(現ルヴァン杯)で優勝し、第1Sを制した実績があります。気持ちさえ元に戻れば、引き続き指揮を執らせるつもりでした。
石井監督の復帰に際し、鈴木強化部長はミーティングでこう話しました。「ちょっと緩んでいるたがを締め直して、またみんなで結束して頑張って、タイトルを取ろう」
石井監督の「復帰戦」となった9月3日の天皇杯全日本選手権2回戦のカターレ富山戦。鹿島は3―0で勝ち、再出発を勝利で飾りました。
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