話題
「バツ2」の離婚カウンセラーが教える たった2問でわかる「別れ時」
恋人でも夫婦でも、一度愛を誓い合ったからといって、それが長く続くとは限りません。ただ、実際に別れを選択する前には、さまざまな葛藤があります。別れるべきか、踏みとどまるべきか――。離婚カウンセラーで自身も2度の離婚経験がある岡野あつこさん(62)に聞きました。
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恋人でも夫婦でも、一度愛を誓い合ったからといって、それが長く続くとは限りません。ただ、実際に別れを選択する前には、さまざまな葛藤があります。別れるべきか、踏みとどまるべきか――。離婚カウンセラーで自身も2度の離婚経験がある岡野あつこさん(62)に聞きました。
恋人でも夫婦でも、一度愛を誓い合ったからといって、それが長く続くとは限りません。ただ、実際に別れを選択する前には、さまざまな葛藤があります。別れるべきか、踏みとどまるべきか――。離婚カウンセラーで自身も2度の離婚経験がある岡野あつこさん(62)に聞きました。(朝日新聞地域報道部記者・田中聡子)
1991年から離婚相談を始め、これまでに3万件以上の相談を受けてきた岡野さん。離婚をすべきかどうかの判断基準は、「好きか、嫌いか」「損か得か」です。
「損か得か」は主に離婚後の経済的な問題です。でも、「好き」「嫌い」の感情は複雑で、簡単には答えられません。
そんな時は、バロメーターとなる二つの質問をするそうです。
「もし夫(妻)が目の前で交通事故にあったら、『しめしめ』と笑えるか、泣くか」と「海で子ども、夫(妻)、親がおぼれていたら、どの順番に助けるか」です。
「死んでも『笑える』で、助ける順番が夫(妻)が最後なら、愛情はありません。でも、親や子どもの前に夫(妻)を助けるのであれば、これは再考の余地がありますよ。心の奥底では、まだ『嫌い』じゃないのかもしれない」
岡野さんが離婚を勧めるケースは、今では全体の4割ほどにのぼると言います。離婚すべきでない人には、夫婦関係を修復するためのアドバイスをしています。
「結婚を長く続ける秘訣(ひけつ)は、距離感です。干渉しすぎない。100点を求めない。できないことを責めるのではなく、できたことを褒める。近くにいると、どうしても相手を責めてしまいがちだし、『こうあるべきだ』っていう『べき論』が前に出ちゃうけど、『もう一人子どもができた』ぐらいに寛容な気持ちで接することです」
離婚後に関係が良くなるケースは、他人になったことで、そうした要求を相手にしなくなるからだそうです。中には、同じ人と再婚する相談者もいると言います。
一方で、「我慢してまで一緒にいたくない」という傾向は、強まっているようです。
「いまは女性も経済的に自立して、我慢する必要がない人が増えています。離婚するかしないかは、『自分の幸せをどこまで追求するか』という問題でもありますが、我慢せずにどんどん追求できる人が増えたっていうことです。でも、やはり子どものことや家族のことを思って、離婚しない人もいます。どちらがいいということではなくて、金メダルを目指すのか、『入賞でもいいや』と思うのかの違いですよ」
そんな岡野さん自身は、とことん幸せを追い求めています。離婚カウンセラーとして華々しく活躍していますが、この世界に入ったきっかけは自身の離婚でした。専業主婦だったこともあり、離婚の「損得」でいうと「損」からのスタートでした。
「それまで40万円ぐらい生活費をもらっていたのに、10万円の養育費だけになったんです。完全に損でしょう? でも、後悔したくなかったから『離婚してよかった』と思うように心がけました。本当にそう思えるようになるまで、5年ぐらいかかったけどね」
がむしゃらに働いているうちに、離婚の経験を生かして「離婚カウンセラー」として会社を興し、みるみる事業を拡大しました。そして56歳の時に、24歳年下の男性と2度目の結婚をしました。
「36歳で離婚してから、一人で子どもを育てて働いて、それで子育てを終えた時に『もう一度幸せになりたい』って思ったの。だから結婚式は3回も挙げちゃった」
2度目の結婚生活は3年で終わりましたが、その経験すら岡野さんの糧になっていると言います。
「周りからは無謀だし、『結婚しない方が傷つかないかもよ』と言われました。でも、あきらめずにチャレンジしたこと、そして、しがみつかない勇気を持って結婚生活を終えられた経験は、私の自負と自信になったわね」
そんな別れの経験をしたり、数々の相談にのったりしてきた岡野さんに、SMAPの解散劇についても聞いてみました。
「だって30年近く一緒にいるんでしょう。年月が長ければ長いほど、いろんなことがあるからね。最初に『いろいろなことを乗り越えていこう』って思っても、変わっていっちゃうよね。それに5人っていうのも、難しいわよね。夫婦関係も、子どもとか親とか、関係者が多いほど話がまとまらなくて決裂しちゃうから」
そして、SMAPの再結成の可能性については、こんな見立てを披露してくれました。
「解散の理由が『怒り』なら、可能性はあります。でも、恨みが残っていたらだめね。怒りは瞬発的だけど、恨みはそうはいかない。あと、『別れて幸せ』だったら、再結成する必要がないでしょう。夫婦でも、どちらかが次の人を見つけていたら、元のサヤには戻らないからね。SMAPが『一人じゃ食べていけない』とかいう状況にならないとね。でも、5人がみんなそうはならないだろうから、難しいんじゃないかしら」
この記事は9月3日朝日新聞夕刊(一部地域4日朝刊)ココハツ面と連動して配信しました。
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