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譲りたいけど言い出せない…胸ポケット「ゆずるくん」で席を立て!
「お席どうぞ」のニコニコ顔マーク。胸ポケットなどにつけて「席を譲ります」と発信する目印です。シャイな人のために生まれた「ゆずるくん」。効果のほどは?
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「お席どうぞ」のニコニコ顔マーク。胸ポケットなどにつけて「席を譲ります」と発信する目印です。シャイな人のために生まれた「ゆずるくん」。効果のほどは?
電車やバスで、席を譲りたいのに行動に移せない……。そんな人の背中を後押しするアイテムができました。「お席どうぞ」のニコニコ顔マーク。胸ポケットなどにつけて「席を譲ります」と発信する目印です。シャイな人のために生まれた「ゆずるくん」。効果のほどは?
「ゆずるくん」は、いつもニコニコ顔の保険代理店社長、鹿股(かのまた)幸男さん(40)とデザイン会社を経営する小林基道さん(49)のコンビが2015年11月に作りました。名刺大の紙で出来ていて、胸ポケットに挟んだりカバンにつけたりしてアピールします。
「ゆずるくん」こんなことが書かれています。
「譲りたい気持ちをカードにしました。胸ポケット、かばんに取り付けて伝えてみませんか?声をおかけください」
配慮のアイテム「ゆずるくん」は、何がきっかけで生まれたのでしょうか?
「日本人が席を譲らないのはシャイだからだと思う。背中を押すアイデアでもあります」。そう話す鹿股さんは長男(4)が1歳のとき台湾旅行をして、びっくりしました。
ベビーカーを押して電車に乗ると、「こっちへ座って」といつも声がかかり、席を譲られたのです。自然に席を譲る文化があるんだと。カナダに滞在したときもそうです。一見ワルそうなおにいちゃんも席を譲ってくれました。
日本でも席を譲ろうと思っている人はいるはず。うまい手はないか。仕事で知り合い、10年来の友だちの鹿股さんと小林さんは飲み屋で語り合いました。
「そうだ、マークを作ろう!」。意気投合した2人によって、「ゆずるくん」は生まれました。
「席を譲ります」と一目でわかるものを、とデザインを10種類以上考え、試行錯誤しました。顔があって目立つ色に。100枚刷りました。
ふたりとも通勤電車などで胸やかばんにつけて座席に座っています。「何だろう」とまわりからちらちら見られますが、「譲ってください」と声をかけられたことはまだありません。「これをつけていると、声をかけられる前に自発的に席を譲ってしまうんですよ」と笑顔の鹿股さん。
そんなふたりにはちょっとした野望があります。「ゆずるくんを、フィギュアスケートの羽生結弦くんがつけてPRしてくれたら、広がるだろうなあ」と、ひそかに思っているそうです。
妊婦さんがつける「マタニティーマーク」をはじめ、助けや配慮を求めるマークは結構ありますが、助けますマークを広めようという逆転の発想で普及を狙っています。
「ゆずるくん」の話を聞いて、50歳前後の人なら、中学生の頃にはやっていた横浜銀蠅(ツッパリのバンドです)の曲を思い出すかもしれません。「ツッパリHigh School Rock'n Roll(登校編)」という曲です。
「タイマンはりましょ赤テープ同士で」(※タイマン=ケンカ)
1980年代初頭のツッパリ業界では、カバンの持ち手に赤いテープを巻くのが「ケンカ売ります」という意味でした。実は、白いテープを巻くと「ケンカ買います」になるそうです。
席を譲ることとケンカとは大違いですが、他人の思いを「受けます」という「ゆずるくん」の発想は白テープ的なものかもしれません。
配慮してほしい人と、配慮したい人が自然に結びつく。そんな仕組みが広がるといいですね。
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