お金と仕事
大反響「鳥獣戯画」フィギュア ガシャポン、女性ファン急増の理由
発売前から「ほしい」と大反響の、鳥獣戯画フィギュアが入ったカプセルトイ。実は入社間もない、ある女性社員が考えた「初めての企画」でした。
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発売前から「ほしい」と大反響の、鳥獣戯画フィギュアが入ったカプセルトイ。実は入社間もない、ある女性社員が考えた「初めての企画」でした。
美術展での大行列が記憶に新しい、国宝「鳥獣人物戯画」。兎や蛙、猫など擬人化された動物たちが繰り広げるユーモラスな姿が、若い女性を中心に「かわいい」と人気を集めています。1月下旬には、立体フィギュアがカプセルトイとして発売されることになりました。実はこの商品、入社後間もない女性社員が初めて提案した企画。「壁にぶつかったときは、鳥獣戯画を思い出して乗り越えたい」と語っています。
机の上に動物たちを並べて鳥獣戯画を再現できる「ガシャポン 鳥獣机画」を企画・開発したのは、株式会社バンダイに勤める常木麻衣さん(23)。昨年4月に入社し、1カ月の研修を経て「ガシャポン」(バンダイのカプセルトイ)の企画・開発を担当するベンダー事業部に配属されました。「鳥獣戯画をガシャポンに」という企画を出したのは、なんと入社してから初めて参加した企画会議だったそうです。
「何かアイディアを出して、と言われて考えたうちの1つが、鳥獣戯画でした。元々ネットが好きなのですが、入社前からツイッターなどで鳥獣戯画が話題になっているのを目にしていて、立体にしたら面白いんじゃないかな、という考えが頭の片隅にありました」
商品化が決まったときは「自分の初めての商品を世の中に出せることが、素直に嬉しかった」という常木さん。「入社してから、まだ大きな失敗をしたことがないので、今後、壁にぶつかったときは鳥獣戯画を思い出して乗り越えたいです」と、この企画への思い入れを語ってくれました。
フィギュアは、有名な蛙と兎の相撲の場面など、全部で6種あります。地の色は絵巻物らしいベージュ色。兎の顔まわりの毛や蛙の背中の模様など、墨画の独特な筆致が再現されています。鳥獣戯画を所蔵する栂尾山高山寺に監修を依頼し、原型や彩色など、開発が進むごとに確認してもらったそうです。
「本物の兎や蛙のような色にした方がいいのか、迷ったこともあります。ただ作品を好きな人は、墨画のテイストと動物がかけ合わさったところが好きだと思うので、それを崩してはいけないと思い、現行の色になりました」
どの場面を切り取るかを選ぶうえでも、ネットを参考にしたそうです。「烏帽子の猫にはコアなファンの方がいるのですが、商品があまりないという声を目にしていたので、入れようと思いました」
プレスリリースが配信されると、ツイッターなどで「ほしい」と大反響が。常木さんは「こんなに反響をいただけるとは思っていませんでした。嬉しい反面、作品を愛している方が多いので、気に入って頂けるかどうか、いますごく不安です」と語ります。
フィギュアはそれぞれ、クリップかけやスマホスタンドなど、机の上で使えるような作りになっています。この仕様も、最初に企画を立てたときから考えていたそう。
「実用性がありますが、何も持たせずにただ飾るだけでもかわいいので、それぞれの楽しみ方で、ご自分の好きな鳥獣戯画の世界を作っていただきたいです」
今回のフィギュアの主なターゲットは、ちょうど常木さんと同世代となる、20~30代の若い女性。実はいま、この世代の女性向けのガシャポンが増えています。バンダイによると、2011年度のガシャポンユーザーのうち、この層が占める割合は4%未満でしたが、2014年度には16%に増えているそうです。
特にユーザー層を広げるきっかけとなったのは、「美少女戦士セーラームーン」のガシャポンです。他にも「魔法騎士レイアース」や「こどものおもちゃ」など、この世代の女性が子どもの頃に慣れ親しんだ漫画やアニメのガシャポンが数多く展開されています。
期間限定で、ファッションビルに女性向けガシャポンを集めた販売コーナーを設ける試みも。2015年3月に実施した際は、売上が計画比約250%に届いたそうです。
常木さんも「私自身が年齢が近いこともあり、大人の女性をターゲットにした、新しい層を取り込めるような商品を出していきたい」と、新たな企画への意欲を見せています。
「ガシャポン 鳥獣机画」は、1カプセルに1個入り。1回300円(税込み)で、1月下旬から全国のカプセル自販機で発売されます。
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