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自転車でイヤホンは本当にダメ? 傘の固定は? 警視庁に聞いてみた

6月1日に改正された自転車の交通ルール。片耳イヤホンは本当にNGなのか? 講習って何を教わるの? 警視庁に聞いてみました。

自転車運転者にルールを守るよう指導する警察官=2015年6月12日、大阪市東淀川区豊新5丁目
自転車運転者にルールを守るよう指導する警察官=2015年6月12日、大阪市東淀川区豊新5丁目 出典: 朝日新聞

目次

 6月1日に道路交通法が改正され、自転車の交通ルールが変わりました。新たな仕組みは「14歳以上の人が、14類型の『危険行為』で3年間に2回摘発されると、3時間の有料講習が義務づけられる」というもの。さっそくネットには「捕まった」「厳しくなった」という声が続々と投稿されています。片耳イヤホンは本当にNGなのか?講習って何を教わるの?警視庁に聞いてみました。

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繰り返し摘発されると講習が義務づけられる主な「危険行為」
繰り返し摘発されると講習が義務づけられる主な「危険行為」 出典:自転車、その運転「赤切符」 車道右側走行・酒酔い・遮断機無視…14類型 きょうから:朝日新聞デジタル

「スマホやイヤホンで捕まった」

 まず聞いたのは、ネットにあふれる「改正のせいで、スマホやイヤホンで捕まった」という声について。

 交通部管理官の濱田里司警視は「取り締まりの対象は従来と何も変わっていません。あと、スマホやイヤホン、傘差しは、今回の14類型そのものには入っていません。ネットで話題になっていますが、そもそも『危険行為』は、どれも今までも法律で禁止されてきたものです」と説明します。

 「イヤホンは両耳、片耳は関係ありません」と濱田警視。「安全運転に必要な音や声が聞こえているかで判断します。スマホや傘差しは片手になるので確実な操作を損ない、さらに傘差しは安定性を失い、スマホは周囲が目に入らなくなるため、取り締まりの対象になります」

 では、ネットにある「捕まった」というのは?

 「おそらく止められてイヤホンの音量を確認されるなどしたうえで、指導・警告を受けたことを捕まったと書いているのではないでしょうか」(濱田警視)とのこと。

 警視庁としては、耳にイヤホンを入れているとどうしても注意力が落ち、周囲への意識が散漫になるので「あくまでも事故防止に、外すように指導している」。スマホのハンズフリー装置を使っている場合でも、適正な音量かどうかが指導の目安になるそうです。

傘を自転車に固定してもだめ?

 では、傘を手に持たずに器具でハンドルやフレームに固定したら、両手でハンドルを握れるから、安全運転義務違反にはならない?

 「関西では売れているようですね。ですが今度は積載制限の違反になりますし、風でバランスを崩す原因になりますから、事故を起こせば安全運転義務違反になります」(濱田警視)

 道路交通法では「荷物は、荷台・カゴ等の積載装置に」「荷物によりハンドル操作が妨げられたり、バランスが悪くなったり、尾灯・反射器材(後方反射板)などが隠れたりしてはいけない」とされています。東京でも使っている人を見かけることがありますが、NGだったようです。

傘をさしながらの自転車はNGです
傘をさしながらの自転車はNGです

「一発レッド」は珍しい 捕まったわけではない?

 ネットでは「捕まった」という表現も、よく見かけます。

 「警視庁が捕まえたとみなすのは検挙、つまり切符を適用した場合です。通常は指導・警告で、いきなり捕まり(検挙・摘発)、交通切符(赤切符)を切られるのは希な事例です。渡す際は、名前を控えています」

 渡されるカードを見せてもらうと、なるほど黄色の「警告カード」でした。14歳未満へは「マナーカード」で青でした。

 「今回の改正で、ネットで言われているような取締りが特別厳しくなったわけではありません。特に危険な14項目をピックアップし、繰り返した場合は講習を受けるようになったということです」とのことでした。

「指導警告カード」は黄色(上)、14歳未満に渡す「安全マナーカード」は青色
「指導警告カード」は黄色(上)、14歳未満に渡す「安全マナーカード」は青色

14類型 講習の対象はこれ

 続いて今回の改正の柱、14類型についての説明をまとめてみました。
(1)信号無視
信号機の表示や警察官の手信号などに従いましょう。

(2)遮断踏切立ち入り
警笛が鳴りはじめたら、踏切内に入ってはいけません。

(3)指定場所一時不停止等
「とまれ」の標識は、自転車も守らなければなりません。停止線の手前で止まりましょう。

(4)歩道通行時の通行方法違反
「通行可」の歩道でも、歩行者の安全を守る義務があります。妨害するような走り方はいけません。

(5)制動装置(ブレーキ)不良自転車運転
ブレーキが十分に作動しない、あるいはブレーキを付けていないピストバイクが該当します。

(6)酒酔い運転
酒に酔って車両を運転してはいけません。

(7)通行禁止違反
歩行者天国など通行禁止とされている場所は走れません。

(8)歩道用道路における車両の義務違反(徐行違反)
歩道では車道寄りを徐行しましょう。

(9)通行区分違反
専用レーンや、車道の左側を走りましょう。逆走は大変危険です。

(10)路側帯通行時の歩行者の通行妨害
歩道がない道路に白線を引いて歩行者の区分がある場合は、歩行者の通行を妨げてはいけません。

(11)交差点安全進行義務違反等
二段階右折の指定を守り、横断中の歩行者の安全を守りましょう。

(12)交差点優先車妨害等
右折時などに、直進車などの通行を妨げてはいけません。細い道から太い道に交わるときは、安全確認をしましょう。信号機が無いときは、左側から来る車両が優先です。

(13)環状交差点安全進行義務違反等
ロータリーでも、進行ルールを守りましょう。

(14)安全運転義務違反
スマホや傘差しなどの「ながら運転」や無灯火などが事故の原因となった時に適用されます。

出典:pixta

講習はどんな内容?

 今回、赤切符2回で講習が義務づけられました。手数料は5700円ですが、これは内閣が決めた国の標準額で、1900円×3時間だそうです。受講命令に違反した場合は、5万円以下の罰金です。都内では講習に3施設を予定しています。

 3時間の講習内容は、まず20分間の小テストで交通ルールの理解度を試され、被害者や遺族の体験談を紹介。運転の社会的責任と、人生設計のリスクといった講義、受講者同士での安全運転への討議などのあと、理解度を試す再テストを受け、講習の感想文を発表して終わります。

改正道路交通法が6月1日から施行され、危険な運転をした自転車運転者へ黄色い指導カードが渡された=2015年6月1日、大阪市北区、遠藤真梨撮影
改正道路交通法が6月1日から施行され、危険な運転をした自転車運転者へ黄色い指導カードが渡された=2015年6月1日、大阪市北区、遠藤真梨撮影 出典: 朝日新聞

そもそも何で改正が必要だったの?

 14類型も、講習内容も分かりました。でも、なぜ法を厳しく改正しなければならなかったのでしょうか?

 濱田警視はこう説明します。
 
「車は免許制度がありますが、自転車では意識を深める仕組みがなく、ルールが徹底されていません。今回の改正は、悪質な違反を繰り返す人に、講習を受けて危険な行為を改めてもらおうという趣旨です。『自転車だから大丈夫だろう』『歩行者と同じだよ』という感覚を改め、車両を運転している意識を持って欲しい」

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