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長江の客船転覆、現場は三国志スポットの宝庫 人気コースでまさか…

長江で転覆した客船「東方之星」への救援活動が続いています。船のツアーは三国志ゆかりの地、赤壁や荊州などを観光する人気のコースでした。

転覆した「東方之星」の船体の上に乗り、救助作業を続ける人たち=2015年6月3日、湖北省荊州市の長江、延与光貞撮影
転覆した「東方之星」の船体の上に乗り、救助作業を続ける人たち=2015年6月3日、湖北省荊州市の長江、延与光貞撮影 出典: 朝日新聞

目次

 長江で転覆した客船「東方之星」への救援活動が続いています。船のツアーは三国志ゆかりの地、赤壁や荊州などをめぐり、三峡ダムなど最新の観光スポットも加わる、人気のクルーズでした。

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「赤壁」を遊覧の日に事故

 客船の乗客・乗務員はあわせては456人で、その多くは「三峡夕陽紅13日遊」と呼ばれる高齢者のツアーの参加者でした。このツアーのプランでは、初日に上海で集合し、南京に乗船、目的地の重慶を目指します。船の旅は11日間で、毎日一つの観光地に停泊し、観光をします。12日目に重慶から列車で上海へ戻る予定でした。

 事故当日は、長江の中流地域を観覧していたところでした。その日は「赤壁古戦場」を遊覧し、周瑜の石像、鳳雛庵、翼江亭などの三国志スポットを巡ることになっており、計画通りなら、次の日に荊州に到着する予定でした。

NHKテレビ「三国志」「平家物語」の人形制作を手がけた川本喜八郎さんによる周瑜、孫権、諸葛孔明といった「三国志」の迫力ある人形
NHKテレビ「三国志」「平家物語」の人形制作を手がけた川本喜八郎さんによる周瑜、孫権、諸葛孔明といった「三国志」の迫力ある人形 出典: 朝日新聞

三国志の古戦場として有名

 赤壁といえば、三国志に出てくる「赤壁の戦い」の古戦場として有名です。劉備と孫権の連合軍は曹操が率いる魏の大軍と対戦し、軍師諸葛孔明の策略で曹操軍の船を火で攻めることに。大火で長江の石壁まで真っ赤になり、戦場の印として「赤壁」という名になったと伝えられています。

 この戦いによって、もともと軍事的に優位だった曹操軍が敗退を余儀なくされ、劣勢の蜀と呉が勢力を拡大し、三国体制の基礎を構築したと言われています。2009年の映画「レッドクリフ」も「赤壁の戦い」に重点を置いています。

映画「レッドクリフ」に主演したトニー・レオン 。「引き受けた以上は、どんな役でも最善を尽くす。迷いも後悔もありません。……いや、正直言うと、金城くんは楽そうでいいなぁと思ったことがちょっとだけありました」
映画「レッドクリフ」に主演したトニー・レオン 。「引き受けた以上は、どんな役でも最善を尽くす。迷いも後悔もありません。……いや、正直言うと、金城くんは楽そうでいいなぁと思ったことがちょっとだけありました」 出典: 朝日新聞
「レッドクリフPartⅡ」=エイベックス提供
「レッドクリフPartⅡ」=エイベックス提供

関羽が敗れ、ことわざになった「荊州」

 また、三国志ファンにとっては、荊州もなじみのあるスポットです。荊州は「江陵」と呼ばれ、春秋戦国時代(紀元前770-紀元前221年)には楚という国の首都でした。荊州は重要な戦略拠点として、三国時代では各勢力が争奪戦を繰り返しました。

 赤壁の戦の後、一度は劉備の蜀国の管轄下に置かれ、関羽がその守備を担当しましたが、呉の奇襲に仕掛けられ、取られてしまいます。「関羽大意失荊州」(関羽が油断して荊州を失った)ということわざが、今でも中国に残されています。

1800年の歴史がある「監利県」

 事故現場の「監利県」は現在、荊州市が所轄する県です。赤壁の戦の後、この地域は呉国の領地になり、「監収魚塩之利(魚と塩の専売を監督し、収益する)」という意味で「監利」という名前の行政機構が設置されました。紀元222年に正式な地名として「監利」が使われるようになりました。以来、1800年近くの歴史ある都市となっています。

関羽(左)、楊貴妃(中央)、張飛(右)の衣装をきた京劇役者=2008年1月29日
関羽(左)、楊貴妃(中央)、張飛(右)の衣装をきた京劇役者=2008年1月29日 出典: 朝日新聞

料金安め、安全管理を問う声

 長江流域は土地が豊かで、歴史も長く、中国文化の重要な発祥地であるため、グルメ・観光地として人気があります。また三峡ダムの建設など、観光・旅行として注目されています。高齢者のツアーのグループの場合、全体的にツアー参加費が低いという特徴もあります。それだけに、今回の事故をめぐっては、業者の安全管理が適切だったのか問う声が強まっています。

「情報が何もなく、不安だ」と語る船の乗客の親族=2015年6月2日、湖北省荊州市の病院、延与光貞撮影
「情報が何もなく、不安だ」と語る船の乗客の親族=2015年6月2日、湖北省荊州市の病院、延与光貞撮影 出典: 朝日新聞

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