IT・科学
エヅプトくん作者 スタンプ大ヒットでも、会社を辞めない理由
LINEの人気スタンプ「エヅプトくん」作者のヨシナガさんは、普段は会社員をしています。どんなに売れても会社は辞めないと決めている、その理由とは?
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LINEの人気スタンプ「エヅプトくん」作者のヨシナガさんは、普段は会社員をしています。どんなに売れても会社は辞めないと決めている、その理由とは?
LINEのスタンプ「エヅプトくん」は女子高生を中心に人気のキャラクターです。ぬいぐるみなどのグッズから、ゲームまで、関連商品もたくさん出ています。作者のヨシナガさんは、普段はIT系の会社員をしています。どんなに売れても、サラリーマンは辞めないと決めています。独立できるほどの人気コンテンツを抱えながら、サラリーマンを続ける理由とは?
手書きのイラストをそのままスタンプにした「エヅプトくん」は、そのゆるい表情と台詞から、LINEの人気スタンプとして知られています。人気ランキング最高5位になったこともあり、キャラクター商品も数多く作られています。
1月には、サイバーエージェントからゲーム「ゆかいなエヅプト炎上」も生まれました。ゲームは、現代に迷い込んでしまった「エヅプトくん」が王(ファラオ)をめざすという、育成ゲームになっています。
作者のヨシナガさんは、都内のIT企業に勤める会社員です。普段は会社のサイトの運営などをしています。「エヅプトくん」の人気の秘密は、ファンとのコミュニケーションが活発なことです。
ヨシナガさんが力を入れているのがLINEです。個人でも複数の人に一斉にメッセージを送れるなど、別アカウントとして使えるサービス「LINE@」を使い、1万2千人とつながっています。ヨシナガさんが「エヅプトくん」としてメッセージを送ると、瞬時に千を超えるリアクションが来るそうです。
元々、ブロガーとして活躍していたヨシナガさん。ペンネームで書籍も出版、テレビでコメンテーターをつとめたり、ネット系のイベントに出演したりすることも少なくありません。しかし、ヨシナガさん自身は「メガヒットは出せない人間」と割り切って活動をしています。
そのため、会社員の生活も大事にしています。午前9時30分に出社、残業などがあると午後9時くらいに退社した後、「エヅプトくん」の仕事に取りかかります。仕事場は、ファミレス。深夜1時くらいまで、「LINE@」をはじめ、ブログの更新、新作イラストの作成などに没頭します。そのためマンションも自転車通勤ができる距離に借りたほどです。
独立も不可能ではない立場ですが、サラリーマンは辞めないと決めています。
「会社の仕事が、クリエーター活動のいい切り替えになっています。自分の性格的に、部屋に閉じこもって『エヅプトくん』ばかり書くことになったら、煮詰まって、逆にアイデアが出なくなると思うんです」
ヨシナガさんは、「LINE@」のような新しいサービスが生まれたことで、個人がクリエーターとして活動しやすくなったと考えています。
「以前なら、1個人が千人以上の人と同時につながるなんて考えられませんでした。フェイスブックやツイッター、それぞれ長所短所があります。効果的なアプローチは何か。それぞれのデータを見れば個人の努力でも、サービスを向上させられます」
実際、ヨシナガさんは分析ツールを使って、投稿する時間帯、画像の有無、画質やトリミングまで、データにもとづいて考えているそうです。
学生時代からクリエーターという職業に憧れていたというヨシナガさん。一部の人しか表舞台に立てなかった世界との接点が広がったことの変化を感じています。
「夢を持っていてもリスキーな生き方を、みんなができるわけではない。今は、独立してやっていける人以外の才能もいかすことができる。大企業の会社員だって、いつ会社が潰れるかわからない時代です。会社員とクリエーター、それぞれ足場を持つことで生まれる作品もあるのではないでしょうか」