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公衆トイレ、税金かけず清潔保つ秘策 役所も企業も喜ぶ「命名権」
企業をPRするような名前がついた公衆トイレ。専門業者が、衛生的な設備に改修したり、定期点検をしたり。公衆トイレの浄化につながると注目されています。
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企業をPRするような名前がついた公衆トイレ。専門業者が、衛生的な設備に改修したり、定期点検をしたり。公衆トイレの浄化につながると注目されています。
企業をPRするような名前がついた公衆トイレを街中で目にします。自治体がトイレの命名権(ネーミングライツ)を導入したものです。ところが契約内容を聞いてみると、トイレの名前を変えるだけではありません。契約したトイレの専門業者が技術をいかして、衛生的な設備に改修したり、定期点検をしたり。汚くて敬遠しがちな公衆トイレの浄化につながると注目されています。
東京・池袋から東武東上線で十数分。埼玉県和光市の和光市駅で下車すると、駅前のロータリーに「和光市駅前 トイレ診断士の厠堂」と青い看板がかかった公衆トイレがあります。
埼玉県内の企業と契約して、1月にリニューアルしました。スタジアムやコンサートホールなど一般的な命名権は、お金をもらって施設の愛称を企業や商品名に変えます。ところが、このトイレはお金はもらっていません。代わりに、トイレの改修をしてもらう契約です。
和式便器をすべて洋式に変え、多目的トイレにベビーベッドを新設しました。電球のLED化や木目調のデザインなど、室内も明るい雰囲気になったといいます。
さらに、日常の清掃は市がしますが、定期的な衛生管理を契約企業が無償で行います。トイレ診断士という資格を持った人が便器の尿石を除去したり、月2回は機器のチェックなど定期パトロールをしたります。
和光市の担当者は「洋式やベビーベッドは市民から要望がありましたが、財政が厳しく対応できませんでした。市の玄関口の駅前トイレを、税金を投入せずに快適にするのが目的です」と話します。
東京都渋谷区のJR恵比寿駅の駅前にあるトイレも「EBISU KANSEI TOILET」としゃれた外観になってます。なかに入ると、「Dコート」「モス工法」などのパネルが掲示され、このトイレの消臭や防菌の効果をアピールしてます。
2年前に下水道などの維持管理業者と契約。専門の技術をいかして、より清潔感のあるトイレに改修したほか、定期的に点検や清掃を行ってます。
渋谷区はこのトイレのほか、区内6カ所の公衆トイレでネーミングライツを活用してます。年間10万円を最低の契約料とし、それ以外の対価は施設整備や維持管理などで可能としています。企業からの提案を総合的に審査し、契約企業を決めています。
東京五輪を2020年に控え、外国人観光客がますます増えることが予想されます。「おもてなし」に公衆トイレの改善は欠かせません。