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「何という威力」 山小屋に現れた〝アイドル〟に騒然 「山の妖精」
とある山小屋に突然現れた〝訪問者〟。そのアイドルっぷりに、SNSで注目が集まりました。遭遇した「山小屋番」に話を聞きました。
「部屋で寝てたら」と書き出した投稿文。
添付された14秒の動画には、部屋の扉の際まで来て中をのぞき込む訪問者が映っていました。
つぶらな瞳に、長いしっぽ、丸い耳……。
それは、「山の妖精」とも呼ばれる、希少動物のオコジョでした。
動画は326万表示され、「かわいぃぃ」「短時間で何という威力」「なんてマジカルな山小屋」「うれしい訪問者!」などのコメントがつきました。
部屋で寝てたらオコジョが入ってきた(笑)"#千枚アイドル pic.twitter.com/iZyxm4Cxqn
— Yamanuts /千枚小屋番 (@yamanuts3193) September 28, 2024
投稿した「千枚小屋番」の南條敦紀さん(27)によると、オコジョが入ってきたのは、山小屋の離れにある従業員部屋。
休日に、部屋の換気をしながら二度寝をしていた南條さんが、突然、ベッドの下から物音を聞いて、そっとのぞき込んだところ、そこにオコジョがいたそうです。
山小屋の周りではたびたび見かけたことがありましたが、部屋まで来たのは初めてで「驚きました」。
部屋には食料なども置いていなかったので、オコジョは興味深そうに何度か部屋をのぞきこんだ後、山に帰って行きました。
南條さんは登山シーズンが始まる小屋開け(6月末)から、小屋閉め(10月)まで、小屋に滞在している長期スタッフです。
小屋内の清掃や、お客さんへの食事の提供、登山道の整備、食料などの荷上げなどが主な仕事です。
もともと、大学卒業後にIT系の会社に就職しましたが、コロナ禍のリモートワークになじむことが出来ず、退職。学生時代にアルバイトをしていたアウトドア店で働いた後、昨年から「山小屋番」として登山シーズンの南アルプスで働くようになったそうです。
「学生時代にワンダーフォーゲルで、南アルプスの山々を縦走していた時、恥ずかしながら山小屋でお米を分けて頂いたことがあり、その時の恩返しがしたいと思いました」
昨年は北岳周辺にある山小屋で働き、シーズンオフは石垣島の山で過ごしました。
「台湾の山に登るための資金を貯める」という目標を掲げる南條さん。山小屋よりも、町で働いた方が早く貯まりそうなものですが、南條さんによると「山小屋は意外と貯金できます!」。
約4カ月〝下界〟に降りることなく、出て行くお金は毎月の支払いぐらい。
「少し不便な中で生活してみると、案外、自分が必要としているものは少なく、本当に必要なものや、自分がしたいことが見えてきました」
最低限の物に囲まれた生活で見えたのは、眼前に広がる日の出や日の入りの美しい世界、珍しい光学現象や山の花々、オコジョなど動物たちの姿です。
「自分を見つめ直すという意味でも、山小屋に来て良かったと思います」
千枚小屋は10月13日で、閉める予定です。南條さんは、この後、年末ごろまで愛媛のみかん農家を手伝って、年明けにはワーキングホリデーを利用して念願の台湾登山に行くそうです。
今シーズンは台風や林道崩落の影響で、お客さんが来られない時期がしばらくあったという千枚小屋。「山は逃げませんので、ぜひ来シーズン再チャレンジして頂けたらうれしいです」
オコジョは、特に、人が少ない午前中に姿を見せることが多いそうです。
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