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HKT48で得た自信「行ける気がする」小田彩加さん、イラストの道

卒業後、各地でライブペイント開催

ライブペイント会場で、イラストを描く小田彩加さん=2024年2月10日、東京都渋谷区
ライブペイント会場で、イラストを描く小田彩加さん=2024年2月10日、東京都渋谷区

目次

約7年間在籍したアイドルグループ「HKT48」を昨年8月に卒業した小田彩加さん(25)は、イラストを中心にクリエーターとして活動しています。幼いころから絵を描くことが大好きだった小田さん。「自分が楽しめる、やりたいことをやろう」。アイドル時代に培われた前向きなチャレンジ精神が背中を押しているといいます。

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ペアのライブペイント 各都市で開催

2月初旬、東京・渋谷のギャラリーに、イラスト制作に取り組む小田さん(Xのアカウント@ODAchan_0209)の姿がありました。

イラストレーターのゼロゼロヒーローさん(23)=(ゼロちゃん、@ZERO_ZERO_HERO)と一緒に、アパレルブランド「over print」が開催するライブペイントのイベント初日。

ファンに見守られながら、ふたりでポスターカラーを握り、背丈以上の高さの紙に向かいます。
小田さん(左)とゼロちゃん(右)=2024年2月10日、東京都渋谷区、いずれも松村北斗撮影
小田さん(左)とゼロちゃん(右)=2024年2月10日、東京都渋谷区、いずれも松村北斗撮影

イベントは東京を皮切りに名古屋、大阪、福岡で行われました。

小田さんとゼロちゃんは昨年10月に東京、12月には台湾と何度もペアでライブペイントに臨んでいます。

この日も朝、一緒にテーマを考えました。「2人がそれぞれ描くキャラクターの数を同じにして、カラフルにぎゅうぎゅうにいっぱい埋め尽くそう」。そのような感じで描きはじめたそうです。

「作品で目指すものが可愛いとかポップとか、共通点があり、一緒だと楽しい」と小田さん。

ゼロちゃんは小田さんのことをこう話します。

「私が想像つかないようなアイデアをいっぱい考えてくれる。ホワホワしていていつもいやされるし、絵を描くのは集中力が必要で、頭を使うんですが、2人で話しながらだと全然頑張れます。いつも励まし合いながら頑張っています」

偶然のテレビ出演「アイドルになろうよ」

北九州市出身の小田さんは、幼いころから絵を描くことが好きでした。

中学生のころは毎日、学校から帰宅すると夕食時まで自室でずっとイラストを描いていたそうです。

将来はアイドルの衣装デザインに携わりたいと思っていました。

イラストを描く小田さん(右奥)とゼロちゃん
イラストを描く小田さん(右奥)とゼロちゃん

HKT48に入ったきっかけは2015年、地元で放送していた「HKT48のごぼてん!」(テレビ西日本)という番組でした。

メンバーが県内の高校を訪問するコーナーに、生徒だった小田さんが偶然出演したのです。

約半年後には同じ番組内で、指原莉乃さん(31)が学校を訪問。緊張からか、眼鏡をかけて登場するはずが忘れてしまった小田さんの様子に、指原さんは大ウケ。小田さんへ「アイドルになろうよ」と呼びかけました。

通っていた高校は「大学受験をするのが当然」という雰囲気で、自身がアイドルになるとは思っていなかったと振り返る小田さん。しかし高校2年生の冬、HKT48のオーディションに応募し、合格します。

「不安もあったんですが、それよりも自分が何をやりたいとか、自分が楽しめる方はどっち、みたいな感じで選択して今まで来ています」

それから約7年のアイドル活動。ほんわかした優しい雰囲気と人柄、「天然キャラ」とも言われた想定外の言動も人気を集め、昨年8月に卒業しました。

「思い出せないくらい密度が濃かったです。自分で言うのもあれですが、めっちゃよくやっとったなって思います」と在籍中を振り返ります。

小田さん(中央)が卒業直前、最後の野外イベントとなったTIFのステージ。センターに立つ楽曲もあった=2023年8月、東京・お台場
小田さん(中央)が卒業直前、最後の野外イベントとなったTIFのステージ。センターに立つ楽曲もあった=2023年8月、東京・お台場

「卒業して、客観的に見て、改めてアイドルってすごいって思います。今も音楽を聴きながら絵を描いたりするので、アイドルからめっちゃパワーとか元気をもらっているんです」

「半年前まで自分がアイドルとして、誰かに元気を届けられていたのかなって思ったら、すごい環境で、みんなができない職業をさせてもらったなっていうのが率直な感想です」

アイドル時代からイラストで存在感

在籍中も、小田さんは特技のイラストを生かした活動をしていました。

東京・秋葉原のAKB48劇場と、福岡市にあるHKT48劇場で個展を開催。福岡の菓子メーカーとコラボ商品のパッケージデザインを描いたり、行政や企業とのイベントの際にイラストを描いたりと、独自の存在感を発揮しました。

AKB48劇場で開かれた個展=2019年3月
AKB48劇場で開かれた個展=2019年3月

そうした仕事の縁が、今につながります。「over print」を展開する企業の社長は、HKT48在籍中にイラストのイベントでお世話になった際、「一緒にお仕事ができたら」と言ってくれていました。

小田さんによると、その後もHKT側と話を進めてくれたそうで、卒業間もない時期から、相次いでゼロちゃんとのライブペイントの出演が実現しました。

「本人の活動の場を広げられるような事をブランド通じてできたらと思いました」と社長は振り返ります。

そして、作品の魅力について、「ゆるさの中でバランスをとっていく感覚が好きです。カテゴライズされるような何かの延長線上にない作品」と語ります。

今年1月には、大阪市にあるあべのハルカスで個展が開かれました。こちらも、在籍中に仕事でお世話になった別の関係者が、以前から小田さんの才能を評価し、今回、ハルカスでの展示の情報を寄せてくれたそうです。

「ご縁に恵まれていると思います」と小田さんは話します。

雲の上に可愛いタツが立った「雲の上にタツ」。パンとパンダを一緒に描いた「あっ、パンだ。」。ハルカスに展示されたのはユーモアとぬくもりがあふれる作品ばかり。原画に値段を付けるのは初めての経験でしたが、展示作品の約9割、31点が売れました。

あべのハルカスに展示された作品の一つ「おやすみ前の天使たち」=2024年1月
あべのハルカスに展示された作品の一つ「おやすみ前の天使たち」=2024年1月

「だれかに見てもらうだけでうれしいという気持ちだったので、こんなに売れたのはびっくりしました。卒業後はやっぱりファンの人数は減るんですが、それはみんな通る道だから仕方ないです。ただ、絵は自分が描いたとはいえ、自分の写真が掲載されているとかではないから、ちょっと不安はあって。だけど挑戦しないと、と思ってやりました」

あべのハルカスに展示された作品の一つ「はっぴーたうん」
あべのハルカスに展示された作品の一つ「はっぴーたうん」

HKT48で得た自信「行ける気がする」

作品制作は基本的に、福岡の自宅で、高性能のパソコンを使って取り組んでいます。

デザインの下書きができるまでに時間がかかるそうで、依頼された仕事でテーマが決まっていても、3日程度は頭の中であれこれ考え、下書きを書いては消す、を繰り返すそうです。

小田さんにとってインスピレーションが湧く秘訣(ひけつ)は、旅行や外出だといいます。

「脳みそが絵を描かなきゃっていう感じでいると、全然ペンが進まないんですが、一回外に出て戻ってきたら、ちょっとなんかこの柄が可愛いな、その色の組み合わせは可愛いなって思ってたのが、いい感じに、目で見たものと頭の中でミックスされて、描けたりします。色んなものを見ることが大事です」

あべのハルカスに展示された作品「雲の上にタツ」
あべのハルカスに展示された作品「雲の上にタツ」

HKT48を卒業後、一番変わったのは生活リズムだそうです。

「今までは前日にスケジュールが流れてきて、それに合わせて家を出て、帰ったらもう疲れて寝て、次の朝は苦手なダンスを覚えないと、みたいな感じでした。卒業してからは自分でスケジュールを組める。仕事のスケジュールを自分で決められ、オンとオフを楽しめる環境が、自分には合っていると感じています」

今後の目標を尋ねると、国内での個展、さらにはいつか海外、とくに欧州でも作品を見てもらえるようになりたいと、夢を語ってくれました。

「昔から、見た人がちょっと笑顔になったり、あたたかい気持ちになったりするような絵を描きたいと思ってきました。いまもそう思って描いています」

「楽観的といえばそうだけど、『なんか行ける気がする』っていう自信、今までHKT48で色々活動してたゆえに、『なんかできるかも』っていう、前向きな気持ちを大事にしています」

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