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村上春樹さんガチャガチャ、何が出てくる? 設置した書店に聞くと…

6年ぶりの新作長編『街とその不確かな壁』発売記念

ジュンク堂書店名古屋店に設置された「村上春樹 一文ガチャ」。ひとり1回、無料で回すことができます。側面には『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』の一節が貼られています
ジュンク堂書店名古屋店に設置された「村上春樹 一文ガチャ」。ひとり1回、無料で回すことができます。側面には『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』の一節が貼られています
出典: ジュンク堂書店名古屋店のツイッターアカウント

目次

ガチャガチャを回すと、村上春樹さんの作品の〝推し〟の「一文」が出てくる――。そんな無料のガチャガチャが名古屋の書店に登場しました。13日には村上春樹さんの6年ぶりの新作長編『街とその不確かな壁』(新潮社)が発売されます。「待ち望んだ新刊。お客さんといっしょに喜びたい」と考えたという担当者に話を聞きました。(withnews編集部・水野梓)

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ガチャを回すと出てくる「一文」

「村上春樹一文ガチャ」なるものを作りました!ガチャガチャを回すと、中から村上春樹さんの一文がでてきます。どなたでも、無料でまわしていただけますので、ぜひ回してくださいませ!種類いっぱいあるよ〜!!
そんな文言のツイートをしたのは、ジュンク堂書店名古屋店(https://twitter.com/junku_nagoyaten)のアカウントです。

一連の取り組みは、作家・村上春樹さんの6年ぶりの新作長編『街とその不確かな壁』の発売を記念してのキャンペーン。

売り場には、これまでの村上さんの既刊作品の本が置かれていますが、その隣に手作りのガチャガチャが鎮座しています。

さまざまな作品の一文をカプセルに

発案したのは、ふだんはコミック担当という二村有香(ふたむら・ゆうか)さん。村上さんの作品が大好きなことから、今回のプロジェクトチームに参加しました。

もともとガチャガチャが好きだという二村さん。新作発売を記念して売り場に既刊作品を並べることになり、「あらすじだけではなく、印象的な一文を紹介したら面白いのでは?」と思いついたといいます。

一文は、チームメンバーの4人で「推し」を出し合ったり、ツイッターアカウントでフォロワーさんから募集したり。さまざまな作品からの数十種類の「推しの一文」が入っているそうです。

「ガチャガチャで出会った、まだ読んだことのない素敵な『一文』から、未読の作品にも興味を持ってもらえたら」と話します。

お客さんと「好き」を共有

4月6日ごろから売り場に置いたガチャガチャ。お客さんからも好評で、1時間に5~6人が回しているそうです。

上の箱に、空になったカプセルがいくつか置かれていると、スタッフが「一文」を補充しにいきます。

二村さんは「楽しんでもらえていたら嬉しいです」と話します。

村上春樹さん
村上春樹さん 出典: 朝日新聞

6年ぶりの長編新作。10日には村上さんのメッセージも新潮社ホームページで公開され、待ち望んだファンの期待は高まります。

コロナ・ウィルスが日本で猛威を振るい始めた2020年3月初めに、この作品を描き始め、3年近くかけて完成させた。(中略)異様な、緊張を強いられる環境下で、日々この小説をこつこつと書き続けていた。まるで<夢読み>が図書館で<古い夢>を読むみたいに。

新潮社ホームページ(https://www.shinchosha.co.jp/special/hm/)より引用

二村さんもそのひとり。「ファンはたくさんいるものの、本ってひとりで読みがちですし、なかなか『ここが好き』と共有する場ってないですよね」と言います。

レジでお会計中、お客さんが買っている本を見て、思わず「実は、私もその本、好きなんです!」と語りかけたくなる時があるそう。

「コロナ禍もあって話しかけてはいけないと我慢していますが、今回のガチャガチャでは、そんなお店スタッフの『好き』の気持ちを、お客さんと共有できればと考えました」

先入観をなくして楽しんで

とはいえ、村上春樹さんの作品というと『ノルウェイの森』や『1Q84』といった有名作品が目立ちがちです。

二村さんは「知られすぎていて、『今さら読み出しにくいな』って思っている人もいるかもしれませんが、安心して先入観をなくして楽しんでほしいです」と話します。

読者との交流会に参加した村上春樹さん(中央)=2019年、パリの国立コリーヌ劇場、疋田多揚撮影
読者との交流会に参加した村上春樹さん(中央)=2019年、パリの国立コリーヌ劇場、疋田多揚撮影 出典: 朝日新聞

二村さんのお気に入りは、中学生の頃に先生に勧められて読んだ小説『パン屋再襲撃』と、村上さんが編訳し、書き下ろしも収録されている『バースデイ・ストーリーズ』。

「誕生日の短編が大好きなんですが、『バースデイ・ガール』(バースデイ・ストーリーズ収録)は中学校の国語の教科書にも採用されているんですよ。今の中学生がうらやましいなと思いました」と笑います。

「朝イチ春樹」も開催

発売が待ちきれない読者を早く迎えようと、ジュンク堂名古屋店では、発売日の4月13日午前8時半から、「特別早朝販売」をおこなうそうです。

一文ガチャは、置いておける間は引けるようにしたいとのことですが、設置状況はツイッターで発信するとのこと。

二村さんが記者の代わりに回してくれたガチャガチャの一文はこちら。『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』からの素敵な言葉でした。改めて読み返したくなりました
二村さんが記者の代わりに回してくれたガチャガチャの一文はこちら。『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』からの素敵な言葉でした。改めて読み返したくなりました 出典: ジュンク堂書店名古屋店の動画より

新たな作品との出会いがあるのか、もしくは自分の好きな作品の一文を手にするのか……。新刊を楽しみに待ちつつ、お近くの方は試してみてはいかがでしょうか。

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