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クレーマーがもう1人…と思いきや 女性客からの言葉は助け舟でした
作者に聞きました
「態度が悪い」と客に絡まれていた販売員。後ろにいた別の女性客から「ちょっと店員さん、いつまでかかってるの?」と声をかけられドキッとしたけれど、実は理由があって――。そんな実体験を描いた漫画が注目を集めています。作者に話を聞きました。
菓子類の販売員として働きながら、ツイッターで漫画を発表しているタジマオオカ(@pu92yu)さん。
今月3日、「#接客業であったすごい客」を付けて漫画を投稿しました。
描かれているのは3年ほど前、開店してまもなく訪れた客から「一番最初の客なのでサービスしろ」と詰め寄られていた時のこと。
丁重に断ったにもかかわらず、「態度が悪い」と絡まれてしまったそうです。
すると後ろにいた女性客が、こう声をかけてきました。
「ちょっと店員さん、いつまでかかってるの? 5個包んでほしいのよ 急いでるんだけど!」
他のお客さんを待たせてしまった、と申し訳なく思っていると、その女性客がクレームをつけている客に話しかけます。
「お宅さまが先よね おいくつ注文でいらっしゃるの」
話しかけられた客は、そそくさとその場を離れていきました。
タジマさんは女性客が助け舟を出してくれたことに気づき、お礼を伝えるとこう言われたそうです。
「ああいうの大嫌いなの ゆっくり包んでくれていいから」
この投稿に対して「かっこいいプロのお客様」「こんな風にいつも誰か助けてくれたらいいのに」といったコメントが寄せられ、いいねは18万を超えています。
この#があるうちに残したい。販売員人生で一度めちゃくちゃ素敵なお客様に助けられた。また会いたい。。 #接客業であったすごい客 pic.twitter.com/XZgofUkqfx
— タジマオオカ (@pu92yu) October 3, 2022
「偶然『#接客業であったすごい客』のハッシュタグを見つけて、このタグが流れてしまう前に描きたいと思いました」とタジマさん。
販売員として7年ほどの経験があり、iPadを購入したことがきっかけで、夫婦の日常や仕事中の出来事を描くように。
最近では「カスハラ物語」(カスハラ=カスタマーハラスメント)と題して全8話を投稿しています。
「苦情入れればあんたなんかクビだ」「家はどこ?」「終わりまで待ってるよ」といった実際に経験したカスハラの状況などが描かれています。
カスハラと聞いても、どんな状況で起こり、当事者や周りはどのような状況になるのか、といった点は具体的に想像するのは難しいのではないか。
絡まれた時に店員がどんな対応をしているのかを知りたい人は多いのではないか。
そんな思いから、漫画で詳しく描くことにしたそうです。
「できるものならハッピーな展開にしたかったのですが、それではウソの物語になってしまいます。これはそのまま描くしかないと思いました」
カスタマーハラスメント体験の「かすはら物語」とお客様に助けられた話をツリーにまとめました。
— タジマオオカ (@pu92yu) October 9, 2022
第1話 pic.twitter.com/U5L5xlOUIK
「カスハラ物語」のページ数が予想以上に増え、内容も厳しくなっていく中で見つけたのが「#接客業であったすごい客」。
通常、1ページ描くのに3~4日かけているそうですが、あの時助けてくれた女性客のことは3時間ほどで一気に描き上げました。
「自分のために形として残したくて描いたので、これだけ拡散していただき、残してくださったことを本当に嬉しく思っています」
助けてもらった時、何か話すと泣いてしまいそうで、女性客もそれを察してあえて話しかけず、ゆっくり待っていてくれたそうです。
「この時のことは私の宝物です。もしかしたらあの時助けてくれたお客様にも届くかも……なんてドキドキしてます」
誰かが誰かの幸せを思いながら買い物をする姿が好きで、そこに携わる販売員という仕事にやりがいを感じるというタジマさん。
名札に本名を書くことの危険性についてもカスハラ物語の中で触れており、最終話はこう結ばれています。
「こんな状況でも従業員はどうすることもできない事実にどうか心を寄せてください」
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