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ネットの話題

誹謗中傷はプライベートのせい?「慈悲深い」ライオンの4コマが話題

「それはさぞかし辛かったろう」からのまさかの展開

檻の中にいるライオンを誹謗する人間たち。しかし、まさかの展開に……。
檻の中にいるライオンを誹謗する人間たち。しかし、まさかの展開に……。 出典: ネコロスさん(@youyakuya)のツイートより

目次

「プライベートで辛いことがあったものでつい…」。インターネット上で深刻化する誹謗中傷について、こうした「言い訳」を目にすることがあります。こうしたテーマを「ライオンと人間」という構図で風刺する4コマ漫画がTwitterで15万件以上の「いいね」を集め話題となりました。「よくよく自分を客観視してほしい」という願いを込めた作者に話を聞きました。
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檻の中のライオンに「バーカ」 しかし事態は一変し……

話題となったのは、漫画家のネコロスさん(@youyakuya)による4コマ漫画です。「慈悲」というコメントとともに投稿されると、たちまち注目を集めました。
出典:ネコロスさん(@youyakuya)のツイートより
「何が百獣の王だバーカ」「所詮猫が」「飼い慣らされやがって」――。檻の中にいるライオンに対し、外から悪口をぶつける人間たち。しかし、ライオンが檻から出られることを知ると、態度は打って変わって低姿勢に。

「すみません さっきのは本心でなくて」「プライベートで辛いことがあったものでつい…

それまで人間の言葉を黙って聞いていたライオンでしたが、人間たちが語る「理由」の意を汲み、まっすぐ見つめてこう言います。

「プライベートで… それはさぞかし辛かったろう 我が牙で楽になるがよい
このツイートは4万回以上リツイートされ、「いいね」は15万件を超えました。ライオンの発言に対する「なんと慈悲深い」「さすが百獣の王」というコメントのほか、「今のSNSに通ずるものがある」「自分が辛いからって無関係な人間に何していいわけじゃない」などの反響も集まっています。この4コマ漫画を描いたネコロスさんに話を聞きました。

「消化しきれなかった違和感」を漫画に

――今回の作品はSNSでたびたび問題となる誹謗中傷を思い起こさせます。この漫画を描こうと思ったきっかけを教えてください。

SNSを嗜む身として、もともと誹謗中傷については考えるテーマでした。

根本にあるのは、それぞれの中の正義だと思ってましたが、法の下に晒されたときに「プライベートで大変なことがあってつい……」という釈明が少なからずあることを知って、自分の中で消化しきれなかった違和感を漫画にしました。
出典:ネコロスさん(@youyakuya)のツイートより
――誹謗中傷への対応についても考えさせられます。今回の漫画を描くにあたって、意識した点はありますか。

「プライベートの問題があってやったんですごめんなさい→そんなの関係ないです」

これって正論と思いますが、逆に「そうなんだね。かわいそう。大変だったね」という反応があったらどうなるかな?という着想で生まれたのかこのオチです。

技法的には、いかにして「表情の読みにくい不気味さ」でライオンを描くか、意識しましたね。
出典:ネコロスさん(@youyakuya)のツイートより

過去には自身への攻撃の経験も…

――ネコロスさん自身も、SNSで心無い発言に出合うことはあったのでしょうか。また作中のように、加害者が「プライベートな事情」を理由を持ち出すことについて、どのように感じますか。

やはり私みたいに風刺漫画も描いていると、なにがしか言われることがあります。作品に関して言われるのはまだよいのですが、私個人への人格攻撃も受けたことがあります。まぁ個人的には「読まなきゃいいのに、コメントまでご苦労なこって」と思いますが、暇なんでしょうねぇ。

プライベートな事情を理由にした弁明ですが、言われた側にすればそんなの預かり知らぬことですよね。仮に会社で酷いハラスメントを受けていたとしても、誰かにぶつけていいわけでもないですからね。よくよく自分を客観視してほしいなと思います。
出典:ネコロスさん(@youyakuya)のツイートより
――作品には「なんと慈悲深い」「さすが百獣の王」などの反響も集まっています。こうした多くの反応が集まっていることについて、いかがでしょうか。

これ、ちょっとむずかしいところもあって、もちろん誹謗中傷していいわけではないのですが、ライオンのように力をもっている人間はその言動に責任をもってほしいという思いもあります。つねに炎上するような発言をしていれば、それなり弾は飛んで来ますからね。逆に檻に入っていてほしいライオンもいるかもしれません。

ともあれ、人なのでいきすぎた発言をすることはあると思います。そんなときに諌めてくれるような繋がりがあればいいなと思いますね。

加害者の特定しやすく、改正法が施行

インターネット上での誹謗中傷が深刻となっていることを受けて、この10月から「プロバイダ責任制限法」の改正法が施行され、加害者をより早く特定できるよう手続きが簡略化されました。これまで発信者の情報の開示には1年ほどかかっていましたが、数ヶ月から半年程度で特定できるようになるとされています。

また、著名人をはじめとした被害者が、開示請求をおこなったことを積極的に発信するようになり、「訴えられるかもしれない」と思った人が過去の発言について謝罪するケースも見受けられます。こうしたなかで、作中にあるような理由が挙げられることが少なくないようです。

今回の漫画では、圧倒的な力を持つライオンによるコミカルなオチを迎えました。これが人間同士に置き換わったとき、もしもみなさんが被害者/加害者の立場になったとき、どう感じるでしょうか。ネコロスさんは取材の最後、読者に伝えたいこととして「今回の漫画で、誹謗中傷について考えるきっかけになれば幸いです!」と締めくくっています。

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