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連載

#5 #ふしぎなたてもの

知ってた?ゆりかもめがレインボーブリッジ前で巨大ループを描く理由

なぜゆりかもめはレインボーブリッジ前で巨大なループを描くのか?
なぜゆりかもめはレインボーブリッジ前で巨大なループを描くのか? 出典: 朝日新聞社
新橋側から新交通ゆりかもめに乗車していると、レインボーブリッジを通過する前に、走行路が大きなループを描いていることがわかります。巨大な建造物として名所化しており、全国的にも極めて珍しい事例。このループは一体、何のためにあるのでしょう。株式会社ゆりかもめ、東京都港湾局、首都高速道路株式会社を取材しました。(withnews編集部・朽木誠一郎)
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高低差約30mを解消する工夫

新橋側からゆりかもめに乗っていると、レインボーブリッジを通過する際、大きな円を描くように走行路が一周する。
新橋側からゆりかもめに乗っていると、レインボーブリッジを通過する際、大きな円を描くように走行路が一周する。 出典: 朝日新聞社
東京の臨海副都心を走るゆりかもめ。レインボーブリッジを通過することでも知られていますが、その際、車窓には不思議な変化が訪れます。大きな円を描くように、走行路が一周するのです。

円の直径が約270mと巨大であること、海上に設置されていることなどは国内でも極めて珍しく、名所化しています。

車内から見ても、地上から見ても迫力のある建造物ですが、一体これは何のためにあるのでしょうか。この建造物に関わる株式会社ゆりかもめ、東京都港湾局、首都高速道路株式会社を取材しました。
 
ゆりかもめはループを描いてレインボーブリッジに進入する。
ゆりかもめはループを描いてレインボーブリッジに進入する。 出典: 朝日新聞社
結論から言うと、このループはゆりかもめの走行路などとレインボーブリッジとの約30mにも及ぶ高低差を解消するためにあります。

ループの構造を説明します。芝浦と台場を渡るレインボーブリッジ(正式名称:東京港連絡橋​​)の高さは、東京都港湾局によれば海面から約52m。対するゆりかもめの走行路は、株式会社ゆりかもめによれば地上から約10〜15mの高さ。

つまり、ゆりかもめが地上からレインボーブリッジに接続するためには、海抜を考慮しても、レインボーブリッジ端部との間の高低差約30mを上る必要があります。

この約30mという高さを直線で解消しようとすると、勾配は相当になります。同社によれば、スリップ等の危険性もあるため、これをループしながら上ることで解消しているということでした。

なお、同社担当者によると、このループについての質問はこれまでよくあり、近年も年に数回は直接の問い合わせが同社に寄せられるそう。実際に乗ったり見かけたりすると、不思議に感じられる建造物と言えそうです。
海上の巨大建造物として名所化もしている。
海上の巨大建造物として名所化もしている。 出典: 朝日新聞社
ちなみに、このループを通っているのはゆりかもめだけではありません。レインボーブリッジは二重構造になっており、上を首都高速(11号台場線)が、下をゆりかもめと一般道(臨港道路海岸青海線)、遊歩道が通っています。
ループを描かずにレインボーブリッジに進入する首都高と、描いて進入するゆりかもめと一般道。
ループを描かずにレインボーブリッジに進入する首都高と、描いて進入するゆりかもめと一般道。 出典: 朝日新聞社
このうち、一般道については、​東京都港湾局によれば、ゆりかもめと一緒にループを上り、レインボーブリッジに入ります。一方、首都高速については、そのままレインボーブリッジに接続されます。首都高速道路株式会社によれば、もともと高架を走っているため、高低差が大きくないということでした。

「もともと高架を走っている」というのは当たり前のようですが、あらためて考えると、高速道路はかなり高いところを走っていることになります。ここで思い出すのが、このようなループ構造は、高速道路のインターチェンジやジャンクションなどにおいて、地上と高架をつなぐ際にも用いられていることです。​​

実は身近なループ構造。レインボーブリッジの手前のものについてはその規模が大きいため、疑問に感じやすい面がありますが、交通の工夫として一般的なものでもあるのです。
 

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