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可愛いが渋滞してる!「ぷ」のぬいぐるみがまさかの人気、作者に聞く

文字も食料もゆる~い見た目に大変身

「その発想はなかった!」と叫びたくなるぬいぐるみが、ネット上で人気を博しています。
「その発想はなかった!」と叫びたくなるぬいぐるみが、ネット上で人気を博しています。 出典: 江藤さんのインスタグラム(inutte_iina)

目次

SNS上で、大人気となっているぬいぐるみがあります。モチーフは、意外にもひらがな。こりかたまった脳みそを、優しくほぐしてくれるような、いとおしい見た目が注目を集めたのです。予想の斜め上をいく発想が、多くの人々に支持されている作者に、話を聞きました。(withnews編集部・神戸郁人)

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もさもさの毛に覆われたひらがな

今月18日、一枚の画像がツイートされました。写っているのは、ひらがなの「ぷ」をかたどったぬいぐるみです。

全体を覆う、もさもさとした黄色い毛は、何とも触り心地が良さそうに見えます。全体に、極太な字体となっていることも、愛らしさを増幅させるようです。

極め付けは、「゜」部分が顔のようになっている点。穴が空いた部分を口に見立て、斜め右側に、つぶらな黒目が二つ、ちょこんとくっついているのです。全身毛で覆われた人物が、勢いよく走り出す場面にも思えてきます。

「こういうセンスめっちゃ好き」「可愛いが渋滞してる」。ツイートには8万近い「いいね」がつき、リツイート数も6千回を超えています。

「ぷ」のぬいぐるみ
「ぷ」のぬいぐるみ 出典:江藤さんのインスタグラム(inutte_iina)

少しずつ「ぷ」になる過程にワクワク

豊かな想像力が感じられるアイテムは、どのように生まれたのか? 作者で、九州地方在住のぬいぐるみ作家・江藤さん(@inutte_iina)に、背景事情について取材しました。

江藤さんは昨年来、「求心フレンズ」というぬいぐるみシリーズを手掛けています。牛乳やケーキなどに、目や鼻をぬい付けたオリジナルキャラクターです。名前は、顔の中心に各部位が寄っている、「求心顔」に見える点に由来します。

その一環で、ひらがなから着想を得た作品を、これまでに13種類を制作。最新作として、今年2月18日に完成したのが、今回のぬいぐるみでした。「ぷ」の字を選んだ理由については、こう語ります。

「『ぷ』という、一般的なぬいぐるみでは見ないモチーフで作ってみたら、どのような子になるのか気になったからです。また『゜』の部分に目を付けると、丸く空いている穴が、ちょうどお口のように見えて可愛いのでは、とも思いました」

制作は型紙作りから始まります。生地の裁断、綿つめや縫製といった過程を経て完成する点は、一般的なぬいぐるみと同様です。「ぷ」の場合、本体の素材にファー生地を、目にはさし目というパーツを用い、一日で仕上げました。

最も苦労したのは「゜」部分の関連作業でした。サイズが小さいため、綿を詰めるのが難しく、細い棒を入れて生地を膨らませながら、徐々に進めました。

一方で、文字を構成する部品を個別に作り、一つひとつ接着していくのが楽しかったといいます。「少しずつ『ぷ』になっていく過程にワクワクしました」。それぞれ、バランス良く接着するよう気を遣ったそうです。

「は」のぬいぐるみ
「は」のぬいぐるみ 出典:江藤さんのインスタグラム(inutte_iina)

作家としての原点になった「牛乳のぬいぐるみ」

江藤さんが生み出した「求心フレンズ」は80種類ほどにも上ります。ふとした瞬間頭に浮かぶ、好きな食べ物や飲み物を形にして楽しんでいるそうです。どれも個性にあふれ、練り上げられたキャラクター設定も、人気を集めてきました。

「ふしぎなぬいぐるみ図鑑」と題して、自身のインスタグラムアカウントで画像を公開している作品群は象徴的です。例えば、ちんまりと丸っこい足が生えた、三人組の「マリトッツォのぬいぐるみ」の写真説明は、こんな風に書かれています。

〔no.18 マリトッツォのぬいぐるみ〕

〔分類〕食べもの

クリームの詰まった魅惑のまんまるボディで注目を集めているマリトッツォさん。特に目立った所はないがモテモテで、よくいちごマリトッツォちゃんとさくらんぼマリトッツォちゃんの取り合いになっているのだそう。罪なマリトッツォや…。
江藤さんのインスタグラム(inutte_iina)
マリトッツォのぬいぐるみ
マリトッツォのぬいぐるみ 出典:江藤さんのインスタグラム(inutte_iina)

頭にイチゴ、サクランボを乗せたマリトッツォたちが、プレーンの一人を奪い合う……。ファンタジックな見た目とは裏腹な、妙に人間くさい関係性に、思わず黒い笑みがこぼれてしまいそうになります。

江藤さんにとって、ぬいぐるみ作家としての原点となったのが、「牛乳のぬいぐるみ」です。透明のコップの中に注がれた、真っ白な牛乳。その中心部に、黒いごま粒のような目鼻と、まん丸の小さな口が配された、シュールな見た目です。

昨年5月頃、「思いつき」で完成させ、SNS上に写真を投稿すると大きな反響を呼びました。「癒やされた」「じわじわくる」。率直な反応にうれしさを感じた経験が、創作の原動力になっています。

牛乳のぬいぐるみ
牛乳のぬいぐるみ 出典:江藤さんのインスタグラム(inutte_iina)

数千~数万円の値段でも根強い人気

江藤さんいわく、「求心フレンズ」のぬいぐるみを作るのには、最低でも一日かかります。多くの場合、三日ほどの制作期間が必要です。ハンドメイド品ということもあり、一個数千~数万円の値で販売してきました。

職人の手仕事を感じる商品だけに、ファンは日に日に増えています。ウェブショップ上の在庫状況は、26日現在、全て「完売」。毎月末にオンラインでの販売会を実施しており、その際に補充される予定です。

今回「ぷ」が話題になったことで、ひらがなのぬいぐるみを売り出して欲しいという依頼も、数多く舞い込みました。江藤さんは「お褒めの言葉は、とても励みになっておりうれしい。今後、新作を順次作っていくつもりです」と話しています。

次回のオンライン販売会の開催予定については、江藤さんのツイッターアカウント(@inutte_iina)で確認してください。

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