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連載

#66 夜廻り猫

「先生!ラーメン行きません?」静かにくれた500円、マンガ夜廻り猫

「ラーメン」の寄り道の相談。先生に見つかったけれど…
「ラーメン」の寄り道の相談。先生に見つかったけれど…

目次

私は結構ですが、これで食べなさい――。校則の厳しい高校に通っていた女性は、学校帰りに友人とラーメンを食べようとして先生に見つかったことを思い出します。「ハガネの女」「カンナさーん!」などで知られる漫画家の深谷かほるさんが、ツイッターで発表してきた「夜廻り猫」。今回は、高校時代の記憶を懐かしく思い返す女性のエピソードです。

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生徒の誘い 喜んでくれる先生だった

きょうも夜の街を回っていた猫の遠藤平蔵。自宅でひとり、物思いにふけっている女性の心の涙の匂いを嗅ぎつけました。

女性は大学入学共通テストのニュースを見ながら、自分が高校生だった頃の記憶を思い返していました。

通っていた高校は厳しく、寄り道は停学というほど。でも女性は「ちょっと不良」で、友人と廊下で「ラーメン行こう」と計画を立てていました。

そこを先生に見つかってしまい、「怒られる」と思った女性がとっさにとった行動は「先生! ラーメン一緒に行きません!?」と誘うこと。

すると先生は「私は結構ですが これで食べなさい」と500円を渡してくれたのです。

女性は「今なら分かる 先生は嬉しかったのね 生徒の誘いを喜んでくれる人だったのね」と振り返ります。

そんな高校時代ももう数十年ほど前。「先生はもう生きてないわね」とぽつりと言います。

そして「ラーメンでも作ろうかな! 一緒に食べて、先生の代わりに」と遠藤たちを誘うのでした。

些細な出来事 心を温めてくれた

「この冬は寒さが厳しく雪が多く、その上コロナの第6波。いつにも増して春が待たれます」

そう語るのは、作者の深谷さん。
こんな時は、これまでの寒い冬に心を温めてくれたさまざまな出来事を思い出すといいます。

「転んだ時に助けてくれた友達とか、知らないおばあさんと立ち話をして笑いあったこととか。

そのまま人に話しても伝わらないくらい些細なことだったりするのですが、些細でありながら、一生忘れない嬉しいこともあるものです」

【マンガ「夜廻り猫」】
猫の遠藤平蔵が、心で泣いている人や動物たちの匂いをキャッチし、話を聞くマンガ「夜廻(まわ)り猫」。
泣いているひとたちは、病気を抱えていたり、離婚したばかりだったり、新しい家族にどう溶け込んでいいか分からなかったり、幸せを分けてあげられないと悩んでいたり…。
そんな悩みに、遠藤たちはそっと寄り添います。遠藤とともに夜廻りするのは、片目の子猫「重郎」。ツイッター上では、「遠藤、自分のところにも来てほしい」といった声が寄せられ、人気が広がっています。

     ◇

深谷かほる(ふかや・かおる) 漫画家。1962年、福島生まれ。代表作に「ハガネの女」「エデンの東北」など。2015年10月から、ツイッター(@fukaya91)で漫画「夜廻り猫」を発表し始めた。第21回手塚治虫文化賞・短編賞を受賞、単行本8巻(講談社)を2021年11月22日に発売。2022年2月3日から23日まで、京王百貨店新宿店7階の丸善で「夜廻り猫原画展」を開催予定。2月2日から講談社のサイト「コクリコ」で「夜廻り猫」のスピンオフが連載スタート。

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