MENU CLOSE

マンガ

整理整頓あきらめたマンガ作家が描いた「お片付け漫画」のルール

「〝片付け力〟は生まれつきの能力」と思っていたけれど…

出典: 「サステナ片付けできるかな?」コジママユコ著(小学館)より

目次

片付けなきゃとは思うけど「片付けたい」とは思わなくて……。子どもの頃から整理整頓が苦手だったマンガ作家のコジママユコさんが、持続可能(サステナブル)な片付けを模索していくコミックエッセイを出版しました。数少ないルールを守ったことで、徐々に抵抗感が薄らいでいったといいます。そろそろ「大掃除」が気になってくるシーズン。コジマさんに挑戦の経緯を聞きました。

【PR】「あの時、学校でR-1飲んでたね」
コジママユコ:マンガ作家。北海道出身、千葉在住。2015年からブログなどでエッセイマンガやストーリー漫画の発表を始める。11月末、ウェブメディアでの連載をまとめたコミックエッセイ『サステナ片付けできるかな?』(小学館)を出版。Twitterはhttps://twitter.com/cotori9

「〝片付け力〟は生まれつきのもの」

小さな頃から片付けや整理整頓が苦手だったというマンガ作家のコジママユコさん。母はモノを持たない人で、「要らない」と思ったものはすぐに捨てるタイプ。いつも家の中はきっちりとしていたそうです。

姉の机の上もいつもきれいで、その隣にはモノがどっさり積まれたコジマさんの机が……。
「同じようにしつけられて育ったはずなので、『〝片付け力〟は生まれつきの才能』だと思っていました」と苦笑します。

出典: 「サステナ片付けできるかな?」コジママユコ著(小学館)より

ゴールは「不快な場所をなくして維持」

整理収納アドバイザーの資格を持つ編集者から「片付け連載をやりませんか」と提案があったときは、「片付けなきゃ片付けなきゃと思うんですが、正直『片付けたい』とは思わなくて……」と正直な思いを打ち明けました。

出典: 「サステナ片付けできるかな?」コジママユコ著(小学館)より

すると、コジマさんと同様に悩んでいる人は実は多いそう。編集者からは「片付けは『キレイにすること』がゴールではなく、自分にとって持続可能(サステナブル)なルールを決めて、不快な場所をなくしてその状態を維持すること」と助言をもらいました。

コジマさんは「成功しないかも……と不安もありましたが、とりあえず挑戦してみました」と話します。

「モノの住所を決める」ルール

持続可能な片付けのルールは4つだけ。

①いる・いらないで仕分けして、収納の8割内におさめる

②モノを置く場所(住所)を決める

③かわいい&おしゃれ収納は目指さない

④取り出しやすく、出しやすいか?が命

特に一番重要なのは「モノの住所を決めること」だといいます。

出典: 「サステナ片付けできるかな?」コジママユコ著(小学館)より

これをもとに、コジマさんはまず身近な「箱」の片付けから取りかかりました。乾物入れ、出かける時に持っていく鞄などをいったん入れておく「一時物入れ」、薬箱……。

連載を通して最も大変だったのは、いくつも試行錯誤したキッチン収納でした。コジマさんは「手軽なところから始めたのも成功のコツだったかも。最初にキッチンからとりかかっていたら挫折していたかも」と振り返ります。

片付けに行き詰まったら「休憩」

順調そうにみえた序盤の「箱」の片付けでしたが、てこずったのは「画材入れ」でした。

中の物をダイニングの床に広げて「いる・いらない」を仕分けますが、思い入れのある画材を前に、処分するかどうか悩み、物を広げたまま何日か放置したこともあるそうです。

出典: 「サステナ片付けできるかな?」コジママユコ著(小学館)より

なぜ片付けができないのかと怒られた記憶がよみがえることや、乱雑な様子を目の当たりにして落ち込んだことも……。

そんな時は迷わず休憩したというコジマさん。「テンションを上げて一気にやった方が楽な人もいるかもしれませんが、私は『モノを捨てるのが苦手』で、休憩を挟まないとやってられませんでした」と笑います。

服は「ハンガーにかける収納」

コジマさんにとって最も目からウロコだったのは、洗濯物の「たたまない、ハンガーにかける収納」でした。

「洗濯物はたたまなければいけない」という固定観念があり、いつも椅子などに「洗濯塚」ができていました。リボンまでアイロンがけする母の元で育ち、「みんなたたんでいるもの」「たたむのが普通」と思っていました。

出典: 「サステナ片付けできるかな?」コジママユコ著(小学館)より

部屋にモノがなくて生活感のない雑誌やインスタグラムの写真を、漠然と「あれがゴールなんだろうな」と感じてもいましたが、持続可能な片付けを進める上で「片付けへの思い込み」が薄らいでいったといいます。

「必要なくても好きなモノって取っておきたいですよね。だからその子の居場所を決めるようにしました。『どんどんモノを捨ててください』なんてとても言えなくて、本は『捨てる』に関してはかなり甘めの内容だと思います」といいます。

「編集者の方もおっしゃっていましたが、『片付け』って学校で習わないから自己流なんですよね。それが本人に合わないとストレスになってしまう。自分に合う片付け方法が身につくといいですよね」

モノを探す時間が減った

ひととおり片付け終わった家は、モノの散らかる量が減って、ちょっとした隙間時間に片付けが終わるようになり、爪切りといった「モノを探す時間が減った」といいます。

新しいモノが来たら、その都度「新しい住所を決めてあげる」ように心がけています。

出典: 「サステナ片付けできるかな?」コジママユコ著(小学館)より

一方で、正直に「今、テーブルの上にモノが結構あるかも……」と話すコジマさん。「テーブルが住所ではないモノが、いつの間にか置かれて増えていくんですよね」と苦笑します。

気楽に取り組むきっかけに

片付けへの苦手意識や、気持ちがふさいだりするところも含め、自身をさらけ出した連載でしたが、読者からは「共感します」「うちもこんな感じです」といった感想が寄せられました。みんな「片付けが苦手」だと周囲に言いづらいんだなと感じたそうです。

編集者たちとの打ち合わせでも「今の主婦・主夫は大変だから、『ほこりがあっても、多少散らかっていても死なないよね』というのは大事にしよう」と話し合い、「片付けなきゃいけない」というプレッシャーを与えないよう気をつけていたといいます。

「片付けってそこまでしなくていいんだよ、自分たちが心地いいのが一番だよって分かると気が楽になりますよね。私と同じように片付けに苦手意識や固定観念のある人にとって、この本が身近なところから気楽に取り組むきっかけになったらうれしいです」


コジママユコ『サステナ片付けできるかな?』(小学館)

関連記事

PR記事

新着記事

CLOSE

Q 取材リクエストする

取材にご協力頂ける場合はメールアドレスをご記入ください
編集部からご連絡させていただくことがございます