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若者、どこに投票すれば? 公明、若手研究者の支援実現

ジェンダーで自民説得できるか 三浦信祐さんに聞く

公明党、参議院議員の三浦信祐さん
公明党、参議院議員の三浦信祐さん

目次

衆議院議員選挙を控え、主要6政党の若者政策を進める国会議員にインタビューするシリーズ。話を聞いたのは、公明党、参議院議員の三浦信祐(みうら・のぶひろ)さんです。元研究者の経験を生かして若手研究者への支援に力を入れ、政策を実現してきました。YouTubeたかまつななチャンネルで聞きました。

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現場と行政をつなぐのが政治家の役割

――三浦さんは若手研究者への支援ですごく評価されています。なぜそこに関心を持たれたんですか。

僕自身が若手研究者という時代があって、若手の研究者を守っていくことは日本の将来のために極めて重要だと思っていました。あるときツイッターで、日本学術振興会がやっている国の制度を利用して特別研究員をしている方が、新型コロナの影響で研究が止まってしまい、今後が不安なので解消してほしいと声をあげていたんです。年度途中で制度が終わると研究費がなくなって研究が続けられなくなり、博士論文が書けなくなってしまいます。

それを見てこれはと思って制度の内容を勉強して、文部科学省の方と議論を始めたところ、すぐに動いてくれました。制度の期間を延ばして研究費がなくならないようにしました。

ところが反省点があります。


――反省点とは何ですか。

研究費をもらって資格の期間を延ばしたとしても、その人たちはアルバイトなど他の仕事を掛け持ちできないという約束になってました。国が研究奨励金という生活費を支援していたんです。生活費がなくなると困るので、その部分も面倒見てほしいという声もいただきました。そこで財務省に掛け合って予算化されました。


――すごいですね。国会議員は課題を見つけると、それをどう実現していくのか。そのプロセスが見えることはほとんどないのでイメージが湧きませんでした。本当に予算がつくんですね。

そこが政治家の役割です。制度を運用している機関や団体に課題を伝えても、そういうところは予算で動いています。一方で私たちは予算をつけて、どんどん進めていくことをやっているので、現場と行政をつなぐのが政治家の役割だと思います。

文部科学省の入る中央合同庁舎7号館=東京・霞が関、飯塚晋一撮影
文部科学省の入る中央合同庁舎7号館=東京・霞が関、飯塚晋一撮影 出典: 朝日新聞

若者の声を定期的に聞き続ける

――続いて、公明党としての若者政策についてお伺いします。若者や子ども政策において、公明党が他党とは違うところがあれば教えていただきたいです。

実現力です。私たちは結党以来、現場を大事にしています。現場の声を聞き、現場をしっかりと自分で見てからでないと「発言なし」という伝統があります。若い世代の方々が何に苦しんでいるのか、一緒になってどう変えていくかを見える化していくことを特に大事にしています。


――今回、6政党の若者政策を取材するにあたって事前にいろいろお伺いして一番驚いたのが、公明党が一番若者の声を定期的に聞いているんじゃないかという意見があったことです。

それはうれしいですね。定期的に聞いてます。2016年から2019年、そして今年もやりましたが「ボイスアクション運動」をやりました。現場の皆さんと一緒に社会と政治を動かしていこうという取り組みです。コロナ以前は、駅とかいろんな所でボードを掲げて、やってもらいたい政策のところにシールを貼っていただく。たくさんあると答えにくいので、いろいろ研究して5個とか6個に項目を絞りました。2016年は、1004万8000人の声が集まりました。


――そんなに集まったんですか。

要望で最も多かったのが、幼児教育、保育の無償化の実現でした。もちろん課題はまだ残ってますが、大きな扉を開くことができました。さらに、不妊治療の支援拡充を20年間やってきて、その結果、来年から保険適用になりました。


――ここからは、課題について聞いていきます。公明党の若者政策でまだ足りたいと感じるのはどんなところですか。

一つは、公明党は福祉の党なので、弱者を守ることが最も大事なんですが、そのためにどう財源を増やしていくか。今あるパイの中で若者政策に寄せたからといって、全体のボリュームを増やさない限り、多くの方々に手を差し伸べることはできません。若者政策は税収をどう上げるか、国富をどう増やすかということも合わせてやらないといけないと思います。

二つ目は、政治に関心を持ってもらうこと。どうせ政治家が勝手に決めているんだとか、どうせ俺らの1票なんてという声には、そんなことはないと訴えたいです。


――若者政策をやって難しいと感じる点はどういうところですか?

全体の政党の施策は、票を入れてくれる世代にどうしても向いてしまう。言い換えると、シルバー民主主義とも呼ばれるものです。「若者は投票に行かない」だからその政策を打ってもしょうがない。だけど日本の将来は大事という矛盾があります。

なので、例えば、党の政策の中を決めていく政務調査会に、それぞれの役所に合わせた部会がありますが、そこに青年委員会という組織ではなくて若者部会を作って現場の声を集約し、議論をするスキームを作れば、変わると思います。先輩に「お前大胆なこと言うな」と言われるのを覚悟して言いましたが、そうすれば、横から頼まれてやったのではなくて、政策立案のど真ん中にあることになるので、大きく変わると思います。


――公明党として今後やっていきたいことは何ですか?

まずは私たちが敏感になって、困っていることに光を当てること。光が届いていないところに光を当てていくことを続けることです。そして「ボイスアクション運動」を定期的に続けて総理、官房長官に届け続けることです。政治のど真ん中に届けることを貫けば、必ず伝わると思います。

参院本会議で、幼児教育・保育を無償化するための改正子ども・子育て支援法が可決、成立した=2019年5月10日午後0時14分、岩下毅撮影
参院本会議で、幼児教育・保育を無償化するための改正子ども・子育て支援法が可決、成立した=2019年5月10日午後0時14分、岩下毅撮影 出典: 朝日新聞

ジェンダー政策や被選挙権年齢引き下げの議論を進める

――どの政党にも聞いているのですが、シルバー民主主義とも言われる中で、どうしたら若者政策の優先順位は上がっていくと思いますか。

公明党の中で、実は若者政策の順位はかなり上がってきているんです。すでに骨太の方針に大事なポイントがたくさん入っています。「若者」という表現でやろうとすると優先順位が上がっていかないかもしれないですが、党の方針や政策、具体的な行動にすでに入っているので、特別に打ち出そうとするのではなく、議論を続けています。


――公明党は若者の声をよく聞いているという評価があった一方で、女性議員が少なかったり、ジェンダー政策で自民党に遠慮しているのではないかという意見もありました。

実は公明党に女性委員会というのがあります。最大勢力かもしれません。全国の公明党のネットワークの中で、女性委員会は必ず男女共同参画などのテーマで政府に提言をしてきました。今年もすでにやりました。その中でジェンダーや選択的夫婦別姓の問題などについて、ちゃんと取り上げて提言しています。知られていないなら宣伝しなければいけないですね。


――自民党を説得してほしいです。公明党の役割はそこが大きいと思うので。同性婚を認めることやLGBTQ+への理解、選択的夫婦別姓など若者が望んでいる社会のあり方を実現してほしいです。

それは率直に反省したいと思います。たかまつさんの目を見ていると、目が全然笑っていない・・・。さぼっていたわけじゃないけれど、議論することは絶対に必要だと思います。これはしっかりと進めていきたいと思います。結果にこだわっていきたいです。


――あとは、2016年に例えば18歳選挙権が導入されたときに、被選挙権年齢の引き下げについてどの党も「検討する」「やります」と言った割にどこも進んでいません。公明党も消極的ではないかという意見もあったんですが、そこはどうですか。

消極的だと思われるのは、ちょっと残念です。僕らもそれはずっと言い続けてきました。被選挙権や供託金の話は議論してきましたが、これを党の中でぶつけてこなかったと率直に反省しています。しっかりとやらなければならないことだと思います。

選挙で使われる本物の投票箱に模擬投票する高校生=越谷市越ケ谷
選挙で使われる本物の投票箱に模擬投票する高校生=越谷市越ケ谷 出典: 朝日新聞

社会が変わるプロセスを若者と見ていきたい

――公明党の中の空気感はどんな感じですか。若手の議員も発言できる空気はありますか?

公明党には14の部会がありますけど、責任者である部会長をやっている青年委員会のメンバーが4名います。部会長代理を足すと14人います。なので、政策立案決定事項のところに若手が相当入る時代になりました。意外と発言してます。若手の意見を否定する先輩は見たことがありません。


――三浦さんがこれからやっていきたい若者政策はどういうことですか。

大学に何回でも行けるようにしたいです。例えば大学を卒業してサラリーマンとして事務職をやってきたけど、やっぱりものづくりをしたいと思って学び直しをしようとしても、子育て世代だと経済的に無理だから諦めようと考えてしまいます。

そこを諦めなくていい社会をつくりたいんですね。そのときに大学に行ける。就職先もある。その経験を給料として乗せてもらえる。そういう社会に変えることができれば、日本はものすごく力が出ると思います。


――それはすぐにやってほしいです。もっと学びたいと思った時に大学院に入り直すのはお金もかかるし仕事との両立はほぼ不可能です。それでも科学や学術に裏付けられた議論はすごく大事なので、リテラシーを育む意味でも大学に行けたほうがいいと思います。三浦さんは、どうしたら若者が投票に行くと思いますか。それに対してどう貢献できますか。

ボイスアクションの話が出ましたが、これは1枚のシールに託してくださったわけです。それを結果で返していく。「あのシールがこうなったの?」という経験をいくつもしてもらう。一緒にプロセスを見ていくことを繰り返すことが大事だと思います。


――最後にお伺いします。選挙のときに若者は公明党に入れるべきでしょうか。入れるべきならその理由を教えてください。

ぜひ入れていただきたいと思います。政治は結果だということ。軽減税率の制度を導入するときに、こんな難しい制度をやるべきじゃないと散々言われました。

だけど、コロナで巣ごもり消費になったときに、食料品やテイクアウトを8%にしていたことで生活が守られたという声を公明党の支持者ではない人からもたくさん言われました。庶民の財布の1円単位まで考えていないとできないことだと過分な評価をしてくださった方もいます。皆さんがこれで守られたということを重ねていくのが公明党の伝統です。ぜひ公明党に応援していただいて、一緒に社会をつくっていきたいと思います。

「反省します」正直な姿勢に期待――取材を終えて

公明党は、創価学会のイメージが強く、元々支持していない人たちには、あまり目がとまらない政党かもしれない。しかし、国会ではキャスティングボードを握っていることが多く、自民党の暴走を止めることができるのが特徴だろう。

政策では福祉や教育を大事にする政党なので、若者としては相性はいい。三浦さんは、公明党の中でも若者政策を中心に活動しているが、現場の声を丁寧に拾い上げていると感じた。公明党は、2016年の18歳選挙権が導入されてから、若者の声を定期的に聞き続けてきたことも大きいのだろう。

一方、ジェンダー政策や若者政策についても「自民党に遠慮してできないんじゃないんですか?」と率直に聞いたところ、できていないところは「反省します。もっとやります」と正直に答える姿勢が印象的だった。

政治の世界は、できていないことを認めたがらない。だけど、議論を前に進めるためには、現在地を確かめることや、なぜできなかったのか検証する必要がある。その時に肩肘をはらない姿勢は大事だと思う。生理の貧困は、公明党がリードしてきた部分も大きい。同じような行動力で、ジェンダー政策についても自民党を説得し、進めてほしい。

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