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男性芸人の結婚「40代」が多い理由 有吉弘行・山里亮太・オードリー

婚期の〝基準〟となった大御所の存在

4月に結婚を発表した有吉弘行
4月に結婚を発表した有吉弘行 出典: 朝日新聞

目次

2021年4月2日、所属事務所を通じてフリーアナウンサー・夏目三久との結婚を発表した有吉弘行。同月23日の『マツコ&有吉 かりそめ天国 2時間スペシャル』(テレビ朝日系)では、夫婦揃って共演を果たし話題となった。現在、有吉は46歳。なぜ40代で結婚する男性芸人が多いのだろうか。改めて考えてみたい。(ライター・鈴木旭)

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“不幸キャラ”で葛藤した南キャン・山里

ここ最近で結婚した40代の男性芸人と言えば、真っ先に思い浮かぶのが南海キャンディーズ・山里亮太だ。相方のしずちゃん(山崎静代)を介して知り合い、2019年6月に女優・蒼井優と入籍。当時42歳、交際期間2カ月というスピード婚だった。

都内で結婚会見を行ったのも記憶に新しい。しずちゃんがボクシンググローブをはめて登場し、「お前か! ワシの大事な親友を奪ったのは」と詰め寄る演出や初々しい夫婦の掛け合いで会場を沸かせた。

また、会見と同日深夜に放送された『JUNK山里亮太の不毛な議論』(TBSラジオ)では、結婚によって山里自身の“妬みキャラ”に支障が出ると気もそぞろだった胸中を告白。しかしそんな中、直接あるリスナーから「ボス(山里)の不幸だけでラジオを聞いている訳じゃない」と言われて考えをあらためたようだ。

女性アイドルと絡んでヒール役を買って出たり、同期のキングコングへの嫉妬を剥き出しにしたりと、山里は「モテない・冴えないキャラ」を売りに笑いをとってきた。だからこそ、「結婚は裏切り行為にあたる」と考えてしまったのだろう。

結果的には、山里の真っすぐな人柄が知れ渡り、ファンとの絆を深める形となった。

俳優の蒼井優さんとお笑いコンビ「南海キャンディーズ」の山里亮太さんの結婚会見にグローブをつけて登場したしずちゃん=2019年6月5日午後7時6分、東京都新宿区、田辺拓也撮影
俳優の蒼井優さんとお笑いコンビ「南海キャンディーズ」の山里亮太さんの結婚会見にグローブをつけて登場したしずちゃん=2019年6月5日午後7時6分、東京都新宿区、田辺拓也撮影
出典: 朝日新聞

2019年に揃って結婚したオードリー

山里と同年2019年に揃って結婚した男性芸人が、オードリーの春日俊彰と若林正恭だ。

春日は4月に放送された『ニンゲン観察バラエティ モニタリング3時間SP』(TBS系)の密着VTRで、2008年から約11年交際していた一般女性にサプライズでプロポーズ。見事に成功し、40歳での結婚となった。

印象的だったのは、番組内で相方の若林が「(春日は)変化することを嫌う人」と涙ながらに語っていたことだ。風呂なしアパートで節約生活を続けていた春日にとって、結婚は大きな変化と言えるだろう。タレントイメージを含め、踏ん切りをつけるまでに時間が掛かったのかもしれない。

一方の若林は、11月に放送された自身のラジオ番組『オードリーのオールナイトニッポン』(ニッポン放送)で15歳年下の一般女性と結婚したことを発表。知人の作家を通じて同年3月に知り合い、年内に入籍するというスピード婚となった。41歳だった。

男子校の出身で、そもそも女性に対する苦手意識も強かった若林。時間を掛けて徐々に緩和されていったものの、40歳を超えてあきらめの気持ちもあった。そんな時に出会い、笑いのツボが似ていたのが現在の妻だった。

また、2020年4月に放送された『あちこちオードリー~春日の店あいてますよ?~』(テレビ東京系)の中で、若林はパートナーの 「ご飯食べてる時、何度も『オレもう40歳だから』って言ってたけど、めっちゃダサいですよ」というストレートな物言いにも好感を持ったと語っている。

年齢差の壁を超える価値観や感覚の近さ。これが若林の結婚の決め手となったのだろう。

おぎやはぎ・矢作はラジオ番組で入籍

若林と同様に、ラジオ番組で結婚を発表した男性芸人がおぎやはぎ・矢作兼だ。当時、矢作は45歳。結婚相手は12歳年下の一般女性だった。

2016年12月末の『JUNK おぎやはぎのメガネびいき』(TBSラジオ)の生放送中、相方の小木博明に婚姻届の証人欄に記入・押印してもらい、そのまま矢作は妻と2人で区役所へと移動。婚姻届を提出する中継を含めた内容でリスナーを喜ばせた。

もともと『メガネびいき』内で、歴代の交際相手についても語っていた矢作。“ザキヤマ”こと山崎弘也とかつての彼女とが顔を合わせた際、矢作を取り合うようなギスギスした空気が流れていたことを回想し、「(2人が)お互いを下に見ている」と言ってリスナーを笑わせたこともある。

そんなオープンな関係性があるからこそ、思い切った企画を遂行できたのだろう。ちなみに、結婚前の2015年10月に交際相手の女性とクロアチアのドゥブロブニクに旅行したとの報道が出ている。この地は、スタジオジブリのアニメ映画『魔女の宅急便』のモデルとなった街という説もあり、「ジブリ好きな彼女」との噂も流れた。

その後の結婚報告を受け、リスナーから「ジブリ婚」と愛あるイジりも受けている。ラジオは独特の近さを感じるメディアだ。だからこそ、矢作は“長年のファン”に向けてサプライズを仕掛けたのだろう。

おぎやはぎの2人=東京・台場、早坂元興撮影
おぎやはぎの2人=東京・台場、早坂元興撮影
出典: 朝日新聞

松本人志がつくった婚期の基準

40代で結婚した男性芸人と言えば、何と言ってもお笑い界のレジェンド、ダウンタウン・松本人志だ。2009年に19歳年下の元女性タレントと結婚したのは46歳の時だった。

20代~30代の間に『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!』(日本テレビ系)、『ダウンタウンのごっつええ感じ』(フジテレビ系)といった多くの人気番組を生み出し、2000年に『伝説の教師』(日本テレビ系)でドラマ初主演。2007年に『大日本人』で映画監督デビューを果たすなど、挑戦し続ける“孤高の芸人”というイメージがあった。

それが結婚した2009年あたりから、プロデューサー的な役割を担い始めた。大喜利バラエティー番組『IPPONグランプリ』(フジテレビ系)ではチェアマンという立ち位置で中堅や若手を見守り、『水曜日のダウンタウン』(TBS系)では意地の悪い番組企画にツッコミを入れるポジションに回っている。

時代背景ともシンクロしていたように感じてならない。ちょうど2009年は日本語版のツイッターが携帯電話向けサイトを開設し、SNSによる批判の声が大きくなり始めた時期だ。以降、テレビはコンプライアンスを重視し、それまでのような過激な企画は淘汰されていった。

この流れはタレントのあり方にも大きな影響を与え、浮世離れしたエピソードではなく、一般人の共感を呼ぶ言動が支持されていくようになった。偶然にも、こうした潮流が起きるギリギリのところで松本は身を固めたのだ。

結婚報道が流れた当時、私の周りにいた知り合いはこぞって「46歳が基準だな」と口にしていた。一般人を含め、松本によって“新たな婚期のライン”が生まれたといっても過言ではないだろう。

一般男性にとっても目安になる「40代」

40代は仕事がある程度落ち着き、後輩たちにも目を掛ける余裕が生まれる時期かもしれない。

たとえば山里は、結婚会見の司会にお笑いトリオ、GAGの宮戸洋行を司会に据えている。人気女優との結婚で否応なく注目を浴びる場所に、さりげなく後輩を入れるところに懐の深さを感じる。

また、有吉は自身のラジオ番組『有吉弘行のSUNDAY NIGHT DREAMER』(JFN系)で結婚を報告するにあたり、同席した事務所の後輩ぐりんぴーす・落合隆二の名を事あるごとに口にしていた。これも、有吉流の優しさにほかならない。

実力と人気、ファンや後輩とのつながりが結実し、ちょうどよい形で身を固める適齢期が40代なのだろう。

厚生労働省の人口動態統計によると、男性の年齢別初婚率は長く「25歳から29歳」がピークになっているが、その割合は年々減っており、1990年に68%だったのが2017年は47.66%まで減っている。

安定した人気を誇る男性芸人が軒並み40代で結婚している現象は、一般の男性にとっても一つの目安として機能していると言えるだろう。

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