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ネットの話題

「普通の幸せを手にしてほしいんだよ」に潜む無意識の偏見、マンガに

結婚しないのがそんなに不幸なのか?

「結婚してない女は不幸なのか?~無意識の偏見~」
「結婚してない女は不幸なのか?~無意識の偏見~」 出典: 中原るんさん(@nkhrrun)のツイッターより

目次

「普通の幸せを手にしてほしいんだよね」。友人から何げなく言われた言葉をきっかけに描かれた漫画が、ネットで話題です。作者に話を聞きました。

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「まだそこに定義されないだけ」

ツイッターで話題になったのは、漫画家中原るんさん(@nkhrrun)が投稿した作品です。

「私は中原にも普通の幸せを手にしてほしいんだよね」

――作品は、仲の良い友達から投げかけられた一言から、展開していきます。

「えっと……べつに今幸せだけど……」

こわばった笑顔でそう返しました。

「結婚してない女は不幸なのか?~無意識の偏見~」
「結婚してない女は不幸なのか?~無意識の偏見~」 出典:中原るんさん(@nkhrrun)のツイッターより

中原さんは、母と犬二匹を養いながら、「大好きな漫画」で生計を立てています。

「好きな時に漫画を描くだけなので、眠いときに寝れるし、人間関係の悩みもない」

平日の昼間に犬と散歩。ランチやエステに行き、友達もたくさんいる、そんな日常を振り返り、「こんなに幸せでいいのかと思うくらい幸せだった」。

一方、「普通の幸せ」について話してきた友達は最近結婚したばかりでした。

介護福祉系の仕事をしています。

彼女が不幸だと思ったことはなく、「ただただ尊敬」していました。

でも、「もし私が彼女の立場だったら……」。

夫との共同生活、決められた時間の出勤、体力的にハードな仕事。


今の自分とは違う彼女の生活に身を置いたとき、それを「幸せ」と感じるのか、想像しました。

「結婚してない女は不幸なのか?~無意識の偏見~」
「結婚してない女は不幸なのか?~無意識の偏見~」 出典:中原るんさん(@nkhrrun)のツイッターより
「結婚してない女は不幸なのか?~無意識の偏見~」
「結婚してない女は不幸なのか?~無意識の偏見~」 出典:中原るんさん(@nkhrrun)のツイッターより

別の日には、出産したばかりの友人に、「毎日幸せだよ~、早く結婚しなって!」と言われます。友人の手前、「結婚と出産に魅力を感じていない」とは言い出せず、「相手がいないからなぁ」とその場を濁しました。

男嫌いでもなく、友達の子どもはかわいいと思います。「ただ私の幸せがまだそこに定義されないというだけ」

友人がつぶやいた「この幸せは結婚した人にしか分からないからなぁ」という一言が心に刺さりました。

胸の中で返します。

「『結婚した人』じゃなくて『あなた』にしか分からないものではないのか」

「どうして私たちは『みんなそれぞれ幸せ』って思ってもらえないんだろう」

「結婚してない女は不幸なのか?~無意識の偏見~」
「結婚してない女は不幸なのか?~無意識の偏見~」 出典:中原るんさん(@nkhrrun)のツイッターより
「結婚してない女は不幸なのか?~無意識の偏見~」
「結婚してない女は不幸なのか?~無意識の偏見~」 出典:中原るんさん(@nkhrrun)のツイッターより

この投稿には、「『普通の幸せ』って人によるので押しつけないで?って思っちゃいますよね」「わたしの場合は親戚の集まりが地獄です」「それぞれの幸せを満喫したら良いと思います」などの共感が寄せられて、1万件以上のいいねがつきました。

「幸せに見えない」の視点

作者の中原るんさんに話を聞きました。

漫画を描いたきっかけは、一コマ目の友人との会話だったそうです。

「この友人とは、すごく仲が良くて、だからこそ不意をつかれて出た1コマ目の言葉に驚いてしまいました」

でも、その直後に沸いてきた思いは、「彼女から見た私が『幸せに見えない』のではなく、もし彼女が私の立場になったら『不幸だと感じる』ということなのでは」と考えたそうです。

反対に、もし彼女の人生を自分が生きたことを想像したとき、どう感じるだろうか……。今までしたことがなかった妄想をしたことを、漫画に描きました。

「この発想を『友達を下に見てる!』って言う人も居たけど、これはみんなそうだと思います。自分の今の環境は自分が選んでいるものだから、そりゃ他の人にとって必ずしも幸せではないだろう、というだけの話なので」

考えるきっかけになった一言をくれた友人も漫画を読み、感想をくれたそうです。
「本当にごめん」「ネタにして本当ごめん」とお互いに謝った後、次のオムライスを食べに行く約束をしたそうです。

右を向けば左を向けば「結婚」

投稿には大きな反響が寄せられました。「投稿した時から、『もしかしたら賛否両論阿鼻叫喚かも』と思っていました。実際、その通りでした」

賛意の中には、周囲から「普通の幸せ」を押しつけられている声もありました。

「私は31歳ですが、本当に右を向けば左を向けば『結婚』という言葉が付いてきます。みんな同じような感じなのだと思います」


一方で、批判もありました。例えば、作品内では、友達と「婚活パーティー」に参加したことも触れています。「結婚に興味がないならどうして婚活パーティーに行ったの?」

中原さんは「参加したかったら、参加したんです」と答えます。

「友人はそれがハマって、私はそれがハマらなかった」
友人はその後、参加した別の婚活パーティーで、伴侶となる人と出会います。

それ「自分の定義」かも?

「結婚」という選択を否定するために描いた漫画ではないという中原さん。

「私は別に『結婚しない』と豪語している訳でもありません。今はまだ自分の選択肢になく、『自分の幸せの定義にない』だけ。これだ!って人を見付けたら、あっさり結婚しちゃうかもしれません。笑」



一方で、日常でふと胸に刺さった言葉や事柄がありました。

それを「無意識の偏見」というシリーズでまとめようと考えて描いた、作品の一つでした。

「私たちは生きているうちに、無意識の偏見で人を傷つけることが多いな、私もきっと傷つけてしまっているだろうなと思うことが多くありました」

わが身も省みながら、社会に飛び交うさまざまな「無意識の偏見」を漫画で描きたいと思います。

次回は「出産したばかりの女は不幸なのか?」というテーマを考えています。

漫画はツイッターで公開するそうです。「アラサー独女」の生活を描いた「ビバ!楽しすぎるぜ!!アラサー独女ライフ」も連載中です。

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