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連載

#11 漫画「あなたそれでも教師ですか」

「頑張ったじゃん」先生の一言で決めた進路、高校生の迷い漫画に

「いやそれだけかい!」と言われるような理由に

「あなたそれでも教師ですか」男子くん編
「あなたそれでも教師ですか」男子くん編

目次

画家になる夢を持ちつつ教職に就く主人公と、そこで出会った生徒たちの成長を描くマンガ「あなたそれでも教師ですか」。高校の美術科クラス唯一の男子「男子くん」は、中学時代からの友人に美術科に進んだ理由を問われますが、即答できません。中学時代に遡りその答えを見つけ出そうとしますが、そこにあったのは特にドラマチックな理由ではありませんでした。作者でインスタグラムを中心に作品を発表しているイラストレーターのしろやぎ秋吾さん(@ siroyagishugo)は、進路選択の理由を思い出した男子くんは「どうでもいいきっかけしかなくて『くだらねー』と思いつつ、本心ではそれで十分だと思ったりしている」と話します。
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テーマは「理想の部屋」だけど

前回、中学時代からの友達に、高校で美術科に進んだ理由を問われ、「なんでだっけ」と即答出来なかった男子くん。中学時代に遡って思い出す中で、とある美術の授業を思い出します。
その授業で出された課題は、「一点透視図法を使って『理想の部屋を描く』」というものでした。
でも男子くんは、「与えられたテーマなんて無視してただ直線を描いた」。画用紙に描かれたのは部屋というよりも、一点透視図法による「奥行き」を楽しんだ「だけ」の作品でした。


それを見た友人は「宇宙じゃん…!理想の部屋だっつってんのに」とお腹を抱えて笑います。
男子くんもつられて爆笑しています。
そんな友人が描いたのは、テーマに沿った「理想の部屋」。ゲーム機やゲームの画面を描いています。

画用紙をのぞきこむ先生の反応は

お互いの作品を見せ合い、盛り上がる二人の後ろから、美術の先生がやってきます。二人の間にぬっと立ち「やかましい」と一言。
しゅんとしてしまった男子くんの手元の作品を見た先生は、ハッとした表情を浮かべます。
男子くんの作品は、与えられたテーマ「理想の部屋」からはかけ離れた作品です。それを自覚している彼は、先生から何を言われるだろうかと身構えますが、「んー?田村それ」「よく頑張って仕上げたじゃん」と先生はなんだかとっても嬉しそうな表情です。

うれしかったけどそれだけ…間違い?

中学時代、「理想の部屋」を巡って先生と交わしたやりとりを思い出した高校生の男子くんは、こう思うのです。

「先生には何げない言葉だったのだろうけど、あのとき認めてくれた事が、笑いかけてくれたことが、無性に嬉しくて、理由なんてただそれだけしかなくて」

「大した目標も無くここに来てしまったのは、やっぱり間違いだったのかもしれない」

何回も塗り直し凸凹になった画用紙

男子くんは中学時代を思い返し、進路を決めた理由にたどり着きました。
でもそれは、劇的な理由ではありませんでした。

そのことは男子くんにとって、「なんとなく物足りない」という感情を生み出しているのかもしれません。
でも、進路を決める理由は劇的なものである必要はあるのでしょうか。もちろん、ドラマチックな理由があれば、それは「わかりやすい」ですが、些細なことであっても、それが本人の心の柱になっていくのであれば、それでいい気もしますが…。作者のしろやぎさんに聞きました。

 【しろやぎさんコメント】

男子くんは過去を振り返って美術科に進学しようと思ったきっかけを探そうとしています。

もしかしたら当時からとんでもない才能を発揮して周りから期待されながらこの道に進んだのかもしれない――。
もしかしたら教科書の中の過去の偉大な芸術家に触発されて夢をみたのかもしれない――。

でも、そんな大きな目標とか、運命的な理由じゃなくて、とんでもなく些細な 「いやそれだけかい!」と言われるような理由にしようと思いました。

男子くんは美術が得意ではないし別に好きなわけでもありません。授業も真面目にやるつもりはないから、題材の趣旨から外れた作品を作ってしまいます。
「なんとなく手を動かしていたら、色と色の境目の線を真っ直ぐにしたいなーとか思ってきた」。それだけの人です。

でも、何回も塗り直して絵具が凸凹に盛り上がっている画用紙を見た先生は、その過程に気付き褒めてくれます。

男子くんは、題材だった「理想の部屋」とは違う作品になってしまったことを怒られるのかと思っていましたが、先生は褒めてくれたのです。

中学時代の男子くんは、 自分でも気づかないうちに夢中になり、こだわったところを先生が拾ってくれたのが嬉しかったのでした。


ただ、それを思い出して、高校生の男子くんに大きな変化とか成長とかは特にありません。
こんなどうでもいいきっかけしかなくて「くだらねー」と思いつつも、本心ではそれで十分だと思ったりしていると思います。

【次回予告】
時は戻り、高校生の男子くん。美術の授業中、男子くんへのライバル心を燃やしたのはまさかのあの人でした。
 
          ◇
withnewsでは、しろやぎさんの「あなたそれでも教師ですか」を毎週日曜日に配信予定です。新米くんを軸とした教育現場を描いていきます。

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