ネットの話題
これクイーンだよね?水道用品カタログ「ツッコミ待ち」な表紙が話題
もしかして、あの名曲にインスパイアされてます…?
大阪の企業が製作した、水道用品カタログの表紙画像がツイッター上で話題です。英国の伝説的バンド「クイーン」から、インスピレーションを得たとみられるデザイン。あまりのあからさまに「ツッコミ待ちか!」と叫ぶ人々が続出しています。攻め過ぎな一冊が誕生した背景について、担当者に聞きました。(withnews編集部・神戸郁人)
今年5月上旬、とある写真がツイートされました。
見てみると、冊子の表紙と思わしき物が、画角一杯に写り込んでいます。「KAKUDAI 総合カタログ2020-2021」という文字の下に掲載されているのは、円を描くように配置された、4人の人物です。
金髪、茶髪、縮れ毛、長髪……。それぞれ別々のウイッグ(かつら)をかぶり、交差させた手に、むきかけのバナナのような形をした器具を持っています。まるでクイーンの名曲「ボヘミアン・ラプソディ」のMV(ミュージックビデオ)を思わせる構図です。
「神妙な面持ちに爆笑した」「ちょっと攻め過ぎでは」「ツッコミ待ちにしか見えない」。想像の斜め上を行くデザインに、ツイートを見た人々からは、歓喜と困惑のコメントが殺到しました。
話題となった画像は、大阪市の企業「カクダイ」が発行している商品カタログの表紙です。
同社は水道用品の製造・販売、輸出入事業を展開。蛇口部分が異常に膨らんだ水栓や、おでん用の鍋を再現したシンクなど、意外性が高い製品の開発力に定評があります。一度見たら忘れがたい、表紙のデザインについて、担当者に尋ねてみました。
冊子が公開されたのは、今年4月のこと。同社の女性社員が表紙に写っています。一人で4役をこなし、終始ノリノリで撮影に臨んでいたそうです。
手に持っているのは、オリジナル商品の蛇口で、その名もずばり「国産バナナ」。皮の部分を回すと、実の先から水が出る仕組みになっており、5万5千円(税別)で販売しています。「表紙をよく見ると、本物のバナナが1本だけ紛れているところがポイントです」
気になるモデルですが、「『クイーンを模している』との声は、確かに聞こえてきています。ただ弊社としては、何をイメージしたのか、正式に公表しないつもりです。『こういうことでは?』と盛り上がってもらった方が面白いですから」
同社の商品カタログは、その奇抜な装いで、過去にも注目を集めました。大量のアヒル型のおもちゃに、そっくりな形状の蛇口を混ぜ込んだり、切り株の上に、おとぎ話に出てくる小人のような見た目の水栓を載せたり……。どの表紙も、ユーモアなしには語れません。
担当者によると、製作に当たっては、「見た人に『お!?』と思われる」ことを大切にしているそう。一部の社員が構想を担当し、12年から現在のような方向性で編んでいるといいます。
背景にあるのは、同年に販売が始まった「Da Reya(ダレヤ)」シリーズの存在です。
同シリーズは「親子の会話」がコンセプト。カタログの表紙を飾る、一連の蛇口を含め、約50種類が世に出ています。クスリと笑え、思わず構造が気になってしまう……。そんな魅力がユーザーの心をとらえ、今ではカクダイのシンボルとして親しまれています。
従来、日本企業の水栓技術は、機能性・デザインともヨーロッパの後追いになりがちでした。そこで同社は「クール」「お笑い」という要素に着目し、オリジナリティを追求したのです。その集大成が「Da reya」であり、カタログ作りにも心意気が反映されています。
今回、表紙画像が話題になったことなどに関し、担当者は次のように語りました。
「社員たちは、『もっと笑わせたい』『より便利な商品を』という思いで真剣にアイデアを出し合っています。今までにない発想が多く、製品化が難しい場合も少なくありません。しかし挑戦することによって、技術力の向上や、組織の活性化につながっていると感じます」
「新型コロナウイルスが流行している今、生活の中に少しでも面白いも物事があった方が、ハッピーになれると思っています。カタログや商品を、インターネット上で話題にして頂けたことは、非常にありがたいですね」
「これからも弊社の思いを、お笑いの街・大阪から世界に発信していきたいです」
表紙画像は、ウェブ版のカタログでも見ることができます(こちら)。
1/32枚