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新型コロナで都市封鎖、武漢で「クラウド花見」登場 桜の名所を中継

武漢大の桜並木の下を巡回する5G配備の無人中継車とその側を歩く警備員=2020年3月17日、武漢、中国
武漢大の桜並木の下を巡回する5G配備の無人中継車とその側を歩く警備員=2020年3月17日、武漢、中国 出典: ロイター

目次

新型コロナウイルスの最初の発生地となった中国・武漢は、桜の名勝地としても有名です。とくに武漢大学と東湖の桜は毎年、多くの花見客でにぎわいます。しかし今年は、状況が一変。「都市封鎖」の武漢ではもちろん、大学も休校中ですので、人々が花見に訪れることはできません。そんななか、最近、5Gや4Kなどの最新技術を駆使し、オンラインで楽しむ「クラウド花見」が中国で広がっています。コメント欄も活発なやり取りがあり、日常を明るくしようとする人たちの熱意が伝わってきます。

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微博内で実施された人民日報の中継
微博内で実施された人民日報の中継 出典: 中国版ツイッター微博

クラウド花見「雲賞桜」がトレンドに

現地報道では、武漢の封鎖は4月上旬まで続くとされています。しかし今年も、武漢の桜は3月中旬から例年通りに咲き始めました。その様子を、中国全土、とくに武漢の住民に伝えるために、「5G」技術を使った「花見中継」が始まりました。

中継は、中国移動通信などの通信事業者が協力し、武漢大学やテレビ局などのメディアが中国版ツイッター「微博」などのSNSで配信。新華社通信によると、5G通信ができる無人車やドローンが大学の桜を固定カメラで撮影しながら巡回し、伝送しています。画像は4Kレベルと伝えられています。

微博では、5Gでのクラウド花見を意味する「5G雲賞桜」というハッシュタグが早速トレンド入り。関連する投稿へのアクセスは3000万を超え、コメントは3.2万にのぼります。香港メディアによると、最大で600万を超える同時視聴がありました。

新華社の中継
新華社の中継 出典: 中国版ツイッター微博

中継は静止画? クイズなどで双方向性試みる

微博の武漢大学アカウントによると、ライブ中継は16日から始まりました。10~16時に「2020「武漢大学雲賞桜」」「武大桜花雲直播」といった武漢大の桜中継を説明するハッシュタグとともに、映像が流れています。中継最終日とされる25日時点で、二つのハッシュタグで合計9000万近くのアクセスが集まりました。

中継の初日には、ツイートに最多の1万件以上のコメントと10万を超える「いいね」も。ただ、無人車に設置したカメラで撮られているため、映像の変化は少なく、静止画のようにも見えます。配信当初はナレーションや音楽などのBGMがないことに、様々なコメントが寄せられました。

「ビクとも動かないので、可愛い」
「一輪の花びらが落ちてきた」
「小鳥も飛んできた」
「一枚の絵だと思った」
「カメラのアングルを変えてね」

大学側も、単調な画面だけを見せるのではなく、視聴者との交流を試みています。アカウント自体を武漢にちなんで「小武」(ショオウー=武ちゃん)と擬人化。「ライブ中継を見る際に、何をしていますか」といった質問を投げかけると、ユーザーから「横になっている」「あなたの出現を待っている」といった返信から、「何かを書いている。音楽を出してくれませんか。静止画みたいですよ」といった要望まで、様々な反応がありました。

さらに、「大学の石碑の後ろにある六つの文字は?」「キャンパス内のバス路線はいくつか?」といったクイズを出して、正解者に大学グッズをプレゼントするという企画も実施しています。これにはユーザーから、「桜と小武のプレゼントが楽しみです」というコメントもありました。

中継は予定通り25日に終了したとみられますが、微博ではアーカイブ動画が残っています。そこにはBGMがつけられ、アングルの変更も定期的にされています。

武漢大の桜の名所
武漢大の桜の名所 出典: 中国版ツイッター微博

テレビ局はBGM付きで放送

一方、数々の中継実績がある中国中央テレビ局(CCTV)の映像は、BGMが流れています。こちらも、「直播武大桜花」(武漢大の花見を中継)というハッシュタグ付きで発信し、25日時点で1500万近くのアクセスがあります。

擬人化したキャラクターは出てきませんが、ユーザーからは多くのコメントが集まっています。

「美しい!友人と花見に行こうと約束したが、まだ実現していなくて、来年はぜひ実際に武漢に行き、名物の『熱干麺』を食べ、花見をしたいです」

「クラウド花見。武漢加油!」

「英雄の都市、武漢。最も美しい花が咲いた!」

「早くウイルスが収まってほしいですね」

「カメラの角度は変えないですか。ずっとこの画面??」

「超素晴らしい!!来年はぜひ武漢に行きたいです」

CCTVの中継
CCTVの中継 出典: 中国版ツイッター微博

「クラウド」に新たな希望も

今回の「クラウド花見」ですが、「桜そしてキャンパスは美しい」などと喜ぶ声がある一方、「中継の意味が分からない」といった不満も出ています。

花びらが落ちたり、鳥が飛んだりすることで、静止画でないことが分かるほど絵変わりのない映像なので、「これは『監視カメラ』にすぎない」というツッコミもありました。「病院建設のクラウド監督のほうがマシだ」という意見も。

それでも、多くの人々が画面越しに桜を観賞し、コメントを交わしたことは、人々が「一緒に」何かをする「意義」があることを示しているかもしれません。

桜の見頃を迎えている都内ですが、小池百合子都知事は25日、今週末の不要不急の外出自粛を要請しました。中国での取り組みは、日本での新しい花見の楽しみ方のヒントになるかもしれません。

桜が満開する武漢大のキャンパス=2018年3月21日、武漢、中国
桜が満開する武漢大のキャンパス=2018年3月21日、武漢、中国 出典:ロイター

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