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身近な薬を擬人化! 「王子様のくすり図鑑」が話題 出版元に聞いた
カロナールやタミフルといった51種類の薬を擬人化した図鑑が、ネット上で注目を集めています。
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カロナールやタミフルといった51種類の薬を擬人化した図鑑が、ネット上で注目を集めています。
カロナールやタミフルといった51種類の薬を擬人化した図鑑が、ネット上で注目を集めています。「自分が飲んでいる薬に親しみを持ってもらえれば」という思いで企画した、薬剤師でもある担当者に話を聞きました。
話題になっているのは、2017年1月に出版された「王子様のくすり図鑑」です。
解熱鎮痛薬「カロナール」や抗インフル薬「タミフル」など、子どもが服用することが多い薬を中心に51種類を擬人化しています。
出版元である「じほう」によると、著者・木村美紀さん、作画・松浦聖さん、臨床アドバイザー・石川洋一さん。全144ページで税抜き1600円です。
10月下旬、病院の待合室でこの本を見つけた人がツイッターで紹介すると、「子どもも大人も楽しんで学べますね」「すごくとっつきやすいからもっと広まってほしい」といったコメントが寄せられ、話題になっています。
じほうの担当者・鹿野章さんは薬剤師で、「王子様のくすり図鑑」に先立って「王様のくすり図鑑」を手がけています。
薬の特徴をイラストで個性を持たせて表現するというコンセプトは同じで、第2弾として子ども向けに作ったのが王子様のくすり図鑑です。
インターネットで検索すれば、薬に関する情報を誰でも調べられますが、その中の重要なものとそうでないものの区別がつきにくいのが現状です。
「弊社は医療提供側の専門書を発刊してきました。手法を変えれば医療を受けるみなさまにも正しい薬の知識について学んでいただける書籍が作れるのではないかと考えました」と鹿野さん。
子どもたちが興味を持ちやすいよう、ストーリーはロールプレイングゲーム風に。
授業で居眠りばかりしている、くすりの国の王子。見かねた導師が「子どもくすり界」の門を開き、王子をくすりと病気の戦いの旅に連れて行きます。
子どもがよくかかる病気がモンスターとなって出現。そこでは、子どものくすりたちが「戦士」「格闘家」「魔道士」「僧侶」「踊り子」などのキャラクターに扮して、モンスターと戦っています。
その姿を見た王子が、立派な王子へと成長していくという物語です。
多くの人に読んでもらえるよう、クイズ番組などで活躍している東大薬学部卒の木村さんに執筆を依頼。
登場する薬については、子ども用の製剤を中心に、石川さんに実際の医療現場での使い方をもとにピックアップしてもらいました。
薬や病気の説明は、小学生にとっては難しいため、できるだけ子どもたちの日常にでてくる会話や表現に置き換えることに。
「病原菌を殺す」は「モンスターをやっつける」、「外敵から身を守る」は「結界をはる」という具合に、ゲームの表現を使っています。
多くのキャラクターデザインを手がけた松浦さんに作画をお願いしたことで、本物のゲームのような世界観が表現できたそうです。
医学・薬学系の専門書籍を手がけるじほう。一般向けについては発信力や販売網に不安があるなかで着目したのが、顧客である全国の医療機関でした。
「医療機関の待合室に置いてもらうことで、病院を仮想図書館にさせていただき、多くの方に見ていただこうと考えたんです」と鹿野さん。
その取り組みが奏功して、今回は病院を訪れた人のツイートがきっかけで注目を集めました。
話題になったことについて、「ツイッター上での多くの方のやりとりを励みに、患者さんの薬の理解と、医療の安心につながる書籍を発刊していきたいと思います」と話していました。
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「王子様のくすり図鑑」「王様のくすり図鑑」以外にも、図鑑シリーズとして「皇帝の漢方薬図鑑」「お姫様の美肌図鑑」が刊行されているそうです。
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