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連休明けが怖いあなたへ……「割り切って好きなこと」という選択

相談者の悩み相談に答えるトランスジェンダーのモカさん=モカさん提供
相談者の悩み相談に答えるトランスジェンダーのモカさん=モカさん提供

目次

 本日で10連休が終わりになります。学校や職場に通う日々が憂うつに感じても、休むわけにはいかない……。深刻に悩みすぎて、自分を追い詰めてしまわないためには、どんな心構えが必要なのでしょう? トランスジェンダーで、過去に衝動的な行動をしたこともあるモカさん(33)は、相談者に「好きなことをした方が成長しやすい」との言葉を投げかけます。年間100人以上の人生相談に応じるモカさんのアドバイスを紹介します。(朝日新聞記者・高野真吾)

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モカさんは10連休中も、生きづらい人たちに呼び掛け東京・新宿で悩み相談会を開いた=モカさん提供
モカさんは10連休中も、生きづらい人たちに呼び掛け東京・新宿で悩み相談会を開いた=モカさん提供
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相談者〈淡々と仕事こなすだけでいいのか〉

〈令和に浮かれられない、大手精密機器勤務 飯塚努さん(27、仮名)〉(モカさんに寄せられた複数の相談者の事例を組み合わせています。記事の最後に相談窓口があります)

 飯塚さんは都内の国立大学大学院を出て、大手精密機器に勤めて3年目になります。理系出身を生かし、会社の主力製品を担う部署で、設計の仕事についています。従業員に優しい企業を目指している会社のため、ほとんど残業はありません。アフターファイブには、気ままな1人暮らしを楽しんでいます。

 すごく張り切って仕事をしているわけではありませんが、過去2年間の仕事ぶりは真面目でした。昨冬はインフルエンザにかかって数日、休暇を取りましたが、ずる休みをしたことはありません。前の晩飲み過ぎての遅刻もなし。社内評価も、同期の中では高い方です。

 はたから見ると何の問題もなさそうなのですが、実は明日からの仕事再開が嫌なのです。

 飯塚さんは学生時代、アニメ同好会に入り、仲間とアニメを作っていました。この10連休、時間があったため、かつての仲間3人でアニメ制作に取り組みました。アイデアを出し合い、形にしていく。後半の2日ほどは、ほとんど徹夜でしたが、全く苦にはなりません。

 そんな経験をすると、親の勧めもあり、就職した今の会社が、急につまらなくなってしまいました。単に淡々と仕事をこなすだけでいいのか。疑問が膨らむばかりです。

 いきなり辞めるわけにはいかないので、ともかく明日は職場には行くつもりです。ですが、その後、今までと同じように働ける自信はありません。

モカさんは相談者に寄り添った回答を心がけている=モカさん提供
モカさんは相談者に寄り添った回答を心がけている=モカさん提供

モカさんの回答は……

 会社員や学生さんは、明日から職場や学校に復帰ですよね。大なり小なり、「嫌だな」という気持ちを抱えている方が、大半でしょう。

 その嫌な気持ちが短時間で終わるのであれば、明日はちゃんと行った方がいいですよね。私は入学した高校にはほとんど行きませんでした。20歳の時に入社したウェブ関係の会社も、遅刻を繰り返した後、無断欠勤するようになり、辞める事になりました。

 普通のレールに乗れないから、自分で起業し、生きてきました。けれど、それは誰にでもできることではないです。

モカさんのこの写真は、4月に出版した『12階から飛び降りて一度死んだ私が伝えたいこと』の著者写真として使われた=モカさん提供
モカさんのこの写真は、4月に出版した『12階から飛び降りて一度死んだ私が伝えたいこと』の著者写真として使われた=モカさん提供

ずっとなら見直しを

 一方、明日だけでなく、ずっとその職場や学校が嫌な思いが強いのであれば、別のアドバイスをします。「見直した方がいいんじゃない」と。

 仕事は人生の中で大きな割合を占めます。日々、実は嫌なことをしている時間を増やしていいのか、考えてみるのは大事なことです。

 ある程度の能力があれば、仕事はこなせますが、嫌なままだと自分らしさを発揮できず、何らクリエイティブな成果も出せません。

自身が開いた会で男性と談笑するモカさん=モカさん提供
自身が開いた会で男性と談笑するモカさん=モカさん提供

徐々に移行してみよう

 片や、好きなことでいきなり食べていくのは難しいでしょう。

 まずは、今の仕事をしながら、好きなことを仕事にするための活動を続けてみる。好きなことをする時間が足りなくなったら、食べるための仕事は短時間勤務が認められる環境を考えてみるのです。

時に自撮りを楽しむこともある=モカさん提供
時に自撮りを楽しむこともある=モカさん提供

ぜいたく言わず割り切る

 私は独学でウェブデザイナーのスキルを身につけました。ネット上でいくらでも勉強できます。こうしたウェブのスキルがあったから、ウェブ関係の会社を辞めても、頼まれた仕事を自宅でし、お金を得ることができました。

 一般的に、IT企業は自由な働き方が認められやすいです。在宅勤務ができるなら、職場に行かなくていい分、好きなことをもっとする時間が取れます。

 こうした好きなことを突き詰めようと思った時、大事なのは、ぜいたくを言わず、最低限の生活ができればいいと割り切ることです。

イベントに登壇し、マイクを握ることも=モカさん提供
イベントに登壇し、マイクを握ることも=モカさん提供

楽しい生き方になる選択を

 今より、家賃が低い物件に引っ越す。さらに両親の理解を得られて、1人暮らしをやめ、実家に帰ることができれば、生活費が少なくてすみます。

 人間は好きなことをした方が、成長しやすいです。好きなことの方が、夢中になれるし、意識が回りやすい。

 どんな選択なら楽しい生き方になるか。自分の性格や置かれた環境と向き合う時間を作ってみることで、見つかることがあるはずです。

     ◇

 
モカ、1986年3月、東京生まれの元男性。トランスジェンダーとして、東京・新宿2丁目を中心に複数の飲食店などを経営する。29歳の時、自殺しようとマンション屋上から飛び降りたものの、奇跡的に生還。現在は、電話や対面で生きづらい人やLGBT当事者の人生相談に乗る活動を続けている。自身の半生を題材に、描き下ろし漫画を含む書籍『12階から飛び降りて一度死んだ私が伝えたいこと』(光文社新書)を4月に発売。

4月に発売された、モカさんの半生を描いた『12階から飛び降りて一度死んだ私が伝えたいこと』(光文社新書)

5月8日 新宿・紀伊国屋書店で出版記念イベント

 モカさんが登壇する出版記念のトーク&サイン会が東京・紀伊国屋書店新宿本店で5月8日(水)午後7時~開かれます。参加するには、同店で『12階から飛び降りて一度死んだ私が伝えたいこと』を購入し、整理券(先着30人)をもらう必要があります。
 
 詳しくは同店HPまで。

相談窓口はこちら

■24時間こどもSOSダイヤル
0120-0-78310

     ◇

■こどものSOS相談窓口(文部科学省サイト)
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/06112210.htm

     ◇

■いのち支える窓口一覧
http://jssc.ncnp.go.jp/soudan.php

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