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エンターキーはつらい ほめちぎりパンほしい… イラスト作者に聞く
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包帯を巻いて松葉杖をつきながら「みんな俺にだけ当たり強くない?」と愚痴るエンターキー。ちぎりパンが「えらい」「最高」といった言葉で続々と褒めてくれる「ほめちぎりパン」――。どちらも多摩美術大学の学生が描いたイラストです。作品をまとめた書籍「もしもアンテナ」が刊行された彼に、話を聞きました。
「もしもアンテナ」の著者は、多摩美術大学4年のヨシダリュウタさん。
「毎日障子破りができるカレンダー」や「足の小指につけるヘルメット」などの立体物や、身近にあるものをモチーフにしたイラストなどを発表しています。
ツイッターやインスタグラムなどに投稿済みのイラストに、未発表作品を加えて刊行されたのが「もしもアンテナ」です。
収録されている作品の一つが「エンターキー」。
昨年10月にツイッターで発表されると、リツイート4万、いいね17万を超えるなど、大きな反響を呼びました。
ツイートに添付されているのは、包帯を巻いて松葉杖をつきながら「みんな俺にだけ当たり強くない?」と愚痴るエンターキーのイラスト。
「カフェでノートパソコンのエンターキーを強くたたいている人を見かけて、『もしエンターキーが生きてたら、めちゃめちゃ痛いだろうな……』と思ったのがきっかけです」とヨシダさんは言います。
可哀想になりすぎないよう、苦しんでいる表情ではなく真顔に。
「これからはエンターキー君にもっとやさしく接しようという僕の決意を込めました」
ツイッターで発表した「ほめちぎりパン」も、書籍に収録されています。
全部で7つの顔が描かれた、ちぎりパンのイラスト。それぞれが「すごい!」「天才!」「あっぱれ!」と言葉を発しており、「ちぎる」と「ほめちぎる」がかかっています。
「もし、ちぎりパンがアンパンマンの世界に登場したら、顔がたくさんついてるんじゃないか、という想像から生まれました。それぞれが口々に何かしゃべっていたら面白いかなと考え、『ほめちぎりパン』というキャラクターを思いつきました」
ちょっと憎たらしさを出そうと、「本心では思ってなさそう感」を意識して、言葉と表情を工夫したそうです。
身近にあるものをモチーフに、「視点をずらすおもしろさ」を表現してきたというヨシダさん。
初の著書を購入した人からは「こどもが夢中になって読んでいる」といった感想が寄せられ、うれしくなったそうです。
「『もしも』を考えることで、身の回りにあるものたちが急にかわいく見えたり、おもしろく見えたりする。そんな感覚を味わっていただけるとうれしいです」
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