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ライバルへ『あの時』の恩返し 温泉「別府より草津に行こう」と広告
「今は、別府行くより、草津行こうぜ」「元気があってこそライバル」。大分県別府市が企画した新聞広告のキャッチフレーズです。
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「今は、別府行くより、草津行こうぜ」「元気があってこそライバル」。大分県別府市が企画した新聞広告のキャッチフレーズです。
「今は、別府行くより、草津行こうぜ」「元気があってこそライバル」。大分県別府市が企画した新聞広告のキャッチフレーズです。2年前の熊本地震で被害を受けた別府市から、今年1月の草津白根山の噴火で苦境にある群馬県草津町へエールを送る内容です。2つの温泉地を結んだのは、昨年11月の出来事でした。
今月16日、九州地方の新聞に掲載された広告。草津温泉の「湯もみ」の写真の上に、大きな文字で「今は、別府行くより、草津行こうぜ」と書かれています。
一見すると、草津が別府を挑発しているようにも見えますが、下の方には「元気があってこそライバル」「Go!草津」、そして「別府温泉より」とあります。
この広告を企画したのは別府市の職員たち。九州の読者に対して「温泉に行くなら、2年前の熊本地震で被害を受けた別府ではなく、草津白根山の噴火でいま苦しんでいる草津へ行ってください」というメッセージが込められています。
「地獄めぐり」や、温泉と遊園地を一体化させた昨年7月のイベント「湯~園地」などで知られる別府市。
2016年4月の熊本地震で被災し、その年のゴールデンウィークの宿泊者は、前年比で30%以上も減少しました。しかし、全国からの支援もあって、年末年始には前年を上回るまでに回復。
その恩返しとして昨年4月から、別府温泉の湯を全国に届ける事業「別府温泉の恩返し」を開始。ホームページで希望者を募り、これまでに個人宅を中心に132カ所に届けました。
その一環で、昨年11月に群馬県を訪問した別府市観光課の職員。草津まで足を伸ばし、町の温泉課にこんなお願いをしました。
「温泉を届けて空になったタンクに、草津温泉のお湯を分けていただけないでしょうか。きっと別府市民に喜んでもらえると思うんです」
草津温泉は強酸性の泉質が特徴で、原則持ち出すことはできません。しかし「捨てる際にしっかり中性にして処理すること」を条件に、許可が下りました。
草津町温泉課の中澤好一課長は、こう振り返ります。
「恩返しとして遠くまでお越しいただいていますし、熊本地震の被害に遭った方々も喜んでくれるだろうと考えました」
持ち帰ったお湯はトラック2台で計1万1千リットル。別府市の寿温泉で無料開放され、多くの人たちが楽しみました。
「草津温泉に、あのときの恩返しをしよう」。草津白根山が今年1月に噴火し、客足が鈍っていた草津の現状を知り、別府市の職員たちが動き出しました。
参考にしたのは、熊本地震の後、大分県や別府市などでつくる「おんせん県観光誘致協議会」が企画した「Go!Beppu おおいたへ行こう!キャンペーン」です。
「今の別府にとって、お客様は(マジで)神様です」といった新聞広告を出し、テレビや新聞などでも話題になりました。
「Go!Beppuキャンペーンは地元でも認知度が高い。それならば『Go!Beppu』を『Go!草津』にして新聞広告を打とうということになりました」(別府市観光課の職員)
事前に草津町側にも広告を出すことを連絡。いざ掲載されると、ツイッターなどで話題になり、好意的な反応が寄せられています。
草津町温泉課の中澤課長は「このような状況下で、とてもありがたいことで、お客さんが少しでも増えてくれたらと思います」と話します。
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