話題
横浜の分別なぜ複雑? 同じ物でも「買った=資源」「貰った=ゴミ」
同じティッシュペーパーの包装なのに、自分で買ったものと街頭でもらったものでは、ゴミ出しのルールが違う?
話題
同じティッシュペーパーの包装なのに、自分で買ったものと街頭でもらったものでは、ゴミ出しのルールが違う?
【ネットの話題、ファクトチェック】
同じポケットティッシュの包装なのに、自分で買ったものと街頭でもらったものでは、ゴミ出しのルールが違う? 先日、そんなツイートが話題になりました。「買ったものはリサイクル、もらったものは燃やすごみ」として定めている横浜市に取材しました。
横浜市が市民に配布した、ごみの分別に関するパンフレット。この分別品目一覧には以下のように書かれています。
■ティッシュペーパー(購入したポケットティッシュ)の包装
→プラスチック製容器包装(=リサイクルの対象)
■ティッシュペーパー(もらったポケットティッシュ)の包装
→燃やすごみ
5月中旬、この表を写した画像がツイッターに投稿されると「これはレベル高い」「なにをどうやって判別するのだろう」などと話題になりました。
このパンフレットは最新版ではありませんが、横浜市によると上記の方針は今も変わらないといいます。
実はこのルール、容器包装リサイクル法が関係しています。
家庭から出るごみの容量の多くは容器や包装といわれており、その分別を定めているのがこの法律です。
ビンやカン、ペットボトル、プラスチックなどをリサイクルし、処分場に埋め立てるごみを減らそうという内容ですが、対象は「容器包装」に限られます。同じプラスチックでもバケツなどは「商品」なので対象外です。
つまり、「商品」なのか「容器包装」なのかで、法律の対象になるかならないかが違ってくるのです。
同じものなんだから、どちらもリサイクルした方がよいのではないかと思いますが、ここで費用の問題が関係してきます。
横浜市のホームページでは以下のように説明されています。
「プラスチック製容器包装は、事業者(作っている者、売っている者)がリサイクルの費用を負担しています。一方、製品部分はリサイクル費用を負担する者が法律で定められていません。リサイクルには大変お金がかかるため、今の法律のなかで、皆さんが出したプラスチックの製品をリサイクルしようとすると、多額の税金が必要になります」
つまり、「容器包装」だけでなく「商品」もリサイクルした場合、その費用を横浜市が負担しなければならないため、「買った」「貰った」で分別方法が異なるというわけです。
横浜市のような仕分けルールを採用していない自治体もありますが、何が違うのでしょうか?
家庭ごみの処理は昔から市町村の責務で、すでに独自の分別・収集の仕組みを持つところもあったため、リサイクル制度に参加するかしないかは市町村に任されています。そのため、全国一律の分別ルールにはなっていないのです。
財団法人「日本容器包装リサイクル協会」の広報担当者は、こう話します。
「横浜市の対応は、現状の法体系に忠実にのっとったものです。ここまで徹底している自治体はほとんどありません」
横浜市では他の自治体と協調して、プラスチック製品のリサイクルについても、容器包装リサイクル制度と同様に事業者に義務付けるよう、制度の見直しを求めています。
横浜市資源循環局業務課の担当者は、理由をこう説明します。
「現行制度では、プラスチック製品をリサイクルするためには市町村の費用負担が必要となりますが、現実的に困難な状況です。市民に分かりやすい素材別の分別を促進し、資源の有効利用を図るためにも、制度の見直しをぜひお願いしたいです」
1/5枚