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WORLD withnewsさんからの取材リクエスト

シエスタって、どの程度お昼寝できるの?



スペイン人が本気ですすめるシエスタ 何分が正解? どこで寝る?

ベンチで寝ていたサン・フェルミン祭の参加者=2012年7月、パンプローナ、スペイン
ベンチで寝ていたサン・フェルミン祭の参加者=2012年7月、パンプローナ、スペイン 出典: ロイター

目次

取材リクエスト内容

ヨーロッパにはシエスタっていうお昼寝できる文化があるそうですが、どの程度お昼寝できるの?それで仕事になるんですか?(ポコペン) WORLD withnews

記者がお答えします!

 ランチの後のシエスタ……。スペインのうらやましい習慣として有名です。ところで、シエスタの昼寝って何分くらいで、どこでシエスタしているのでしょう? 最近のシエスタ事情について調べてみました。

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プラド美術館の外で寝る男性=2014年9月、マドリード・スペイン
プラド美術館の外で寝る男性=2014年9月、マドリード・スペイン 出典: ロイター

基本的に家です

 「基本的に家です」。

 スペイン政府が設立した文化施設「セルバンテス文化センター東京」の文化部長、テレサ・イニエスタさん(38)は「小さい街だと、昼休みの時間に家に戻ってランチを食べます。そして、食後にシエスタをします」と言います。

 「セルバンテス文化センター東京」は、スペイン語とスペイン語圏文化の普及を目的につくられた団体で、テレサさんは、スペイン南地方のセビリア(Sevilla)育ちです。

 「シエスタは大体20分ぐらいです。ベッドには行きませんね。ソファなどで居眠りをする感じです」

 今でもシエスタしているのでしょうか?

 「大都市などではシエスタがだいぶ減りましたが、小さい街だと、まだ、シエスタの習慣は残っていますよ」

「セルバンテス文化センター東京」の図書館。スペイン語圏の蔵書、音楽CD、映画と取りそろえ、どなたでも自由に閲覧できる
「セルバンテス文化センター東京」の図書館。スペイン語圏の蔵書、音楽CD、映画と取りそろえ、どなたでも自由に閲覧できる 出典: 「セルバンテス文化センター東京」提供

「メリット?たくさんありますよ」

 テレサさんの出身地は、特にシエスタの伝統が根強い地域で、シエスタが大好きだそうです。

 「シエスタのメリット? たくさんありますよ。ランチの後に眠くなる経験は、みんなあるでしょう。それは体のリクエストです。シエスタはそのリクエストに応えているんです」

 テレサさんは、シエスタした方が仕事もはかどると言います。

 「20分ぐらいのシエスタは、午後や夜の生産性を上げます。そして、おじいちゃんからは、シエスタは健康にいいと言われて育ちました」

 ちなみに来日6年のテレサさんは、仕事が忙しいため普段は、なかなかシエスタができないそうですが、週末はシエスタしているそうです。

銀行支店の前でシエスタ中の物乞いのお年寄り=2014年9月、マドリード・スペイン
銀行支店の前でシエスタ中の物乞いのお年寄り=2014年9月、マドリード・スペイン 出典: ロイター

暑いスペイン、6月で40度

 シエスタが生まれた背景には、スペインの暑さにあるそうです。特に南スペインのセビリアは暑さで有名で、6月で40度を超えるとか。

 そのため、スペインでは、日本に比べると食事などの時間は遅めになっているそうです。

 テレサさんは「昼休みはだいたい午後2時から4時。地域によって、3時から5時のところもあります。ランチは、2時半か3時がほとんどです」と言います。

 そして朝ご飯を2回取るそうです。

 「1回目の朝ご飯は、わりと普通の7時から7時半です。そして2回目の朝ご飯10時半に会社で取るんです」

 ランチが遅いため、晩ご飯も遅く、9時は普通。10時や10時半に取る地域もあるそうです。

「セルバンテス文化センター東京」7階にあるレストラン「メソン・セルバンテス」。本場の味が気軽に楽しめます。
「セルバンテス文化センター東京」7階にあるレストラン「メソン・セルバンテス」。本場の味が気軽に楽しめます。 出典: 「セルバンテス文化センター東京」提供

デメリットは……

 シエスタのデメリットってあるのでしょうか?

 「確かにスペイン人の平均労働時間は週37時間で、労働時間が短いと言われます」とテレサさん。

 「しかし、シエスタをしたほうが効率がアップして、短い労働時間を補っているとも考えられます。シエスタが悪いとは思いません」

 「強いて言えば、シエスタの20分間を守らないと行けないことでしょうか。その時間を超えたら、逆に体によくないと言われています。そのため、目覚まし時計は用意しないといけません……」

「セルバンテス文化センター東京」のギャラリー。年間を通じてスペイン語圏文化の展覧会が開催されています。
「セルバンテス文化センター東京」のギャラリー。年間を通じてスペイン語圏文化の展覧会が開催されています。 出典: 「セルバンテス文化センター東京」提供

シエスタなくなった?

 シエスタは「過去のもの」というスペイン人もいます。

 「日西観光協会」で、コーディネーターを務めているマティルド・ガルシア・デ・オロさんは、「確かに過去の数世紀、シエスタという習慣は存在していました。しかし、時間が過ぎ、習慣も変わるものです」と話します。

 「日西観光協会」は、日本とスペインの文化交流を目的とした非営利団体で、スペインから現地の情報を発信する情報サイトを運営しています。

 「今のスペイン人たちは、これまでと違うタイプの生活を送っています。より勤勉で、アクティヴな人々になっていますよ」とマティルドさん。

 マティルドさんは「大都市ではほとんどの会社員は、45分から1時間半のお昼休みしかとれません。シエスタをする時間がないんです」と言います。

公園で居眠り中の男性=2012年10月、オビエド・スペイン
公園で居眠り中の男性=2012年10月、オビエド・スペイン 出典: ロイター

日本にもシエスタが

 一方、シエスタの効果に注目して、制度として導入した日本の会社もあります。福井県の「三谷コンピュータ」は社内に「シエスタ(昼寝)ルーム」を導入。いつでも利用できますがが、昼休みに利用する従業員が多いそうです。

 「睡眠カフェ」や、女性のための「お昼寝カフェ」など新しいビジネスも生まれています。

 2014年に厚生労働省が発表した『健康づくりのための睡眠指針』では、働いている世代に対して「30分以内の昼寝が作業能率の改善に効果的」と呼びかけています。

 本家のスペインでは変化をしつつあるシエスタの伝統ですが、残業などが多い日本では、もっと普及してほしいところです。

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