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コラム

2分の1成人式に感動?つらい子も…〝30秒で泣ける漫画〟の作者が描く

漫画家・吉谷光平さんが「2分の1成人式」について描きました。

漫画「2分の1成人式」の一場面=作・吉谷光平さん
漫画「2分の1成人式」の一場面=作・吉谷光平さん

 小学校の行事として定着しつつある「2分の1成人式」。ツイッターに投稿した漫画「男ってやつは」が〝30秒で泣ける〟と話題になった漫画家・吉谷光平さんが描きました。

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漫画「2分の1成人式」の一場面=作・吉谷光平さん
漫画「2分の1成人式」の一場面=作・吉谷光平さん
 10歳になったことを祝う「2分の1成人式」が、小学校の行事として定着しつつあります。親への「感謝の言葉」の発表などが「感動する」と評価されているようですが、場合によっては子どもにとってつらい体験になることもあり、配慮を求める声も出ています。
漫画「2分の1成人式」の一場面=作・吉谷光平さん
漫画「2分の1成人式」の一場面=作・吉谷光平さん
 2分の1成人式は小学4年生が対象で、成人式と同じ1月などの3学期に開かれることが多いようです。子どもが親への感謝をつづった手紙や将来の夢を発表するのが主流で、親から子どもにメッセージを贈ることもあります。学習指導要領に明記された活動ではなく、あくまでも学校の自主的なイベントですが、実施する学校が全国的に急速に広がっています。

 保護者の評価は高く、「ベネッセ教育情報サイト」が2012年に「2分の1成人式をしたことがある子を持つ保護者」を対象に実施したインターネット調査では、約1200回答のうち、2分の1成人式に「とても満足」「まあ満足」が合わせて約9割に上ったそうです。
漫画「2分の1成人式」の一場面=作・吉谷光平さん
漫画「2分の1成人式」の一場面=作・吉谷光平さん
 ただ、こうした行事を苦にする子どももいます。

 ある女の子の親は離婚し、一緒に暮らす父親は子どもに無関心。そんな状態で学校から2分の1成人式のために親への感謝の作文を書くよう言われましたが、「ウソをつくのはいやだ」と感じました。それでも周囲の目を気にして自分を殺して書きましたが、読んだ担任は「感謝の気持ちが足りない」と、2度書き直しを指導したそうです。

 親から子どもへの文章も必要でしたが、父親は書いてくれず、祖父に頼みました。女の子は「何の感謝もしていないし、つらいことの方が多かった。みんなが幸せな家族じゃないのに」と、当時を思い出して泣いたといいます。
漫画「2分の1成人式」の一場面=作・吉谷光平さん
漫画「2分の1成人式」の一場面=作・吉谷光平さん
 複雑な家庭の子どもに配慮しようとする教員もいますが、一度始めた行事を変えるのは大変なようです。

 関東地方の公立小に勤めていた30代の男性は数年前、担任する4年生のクラスに父親を亡くした子どもがいました。ほかのクラスの担任や校長と話し合い、保護者は呼ばず、子どもが将来の夢などを考える授業に変えました。

 ところが、保護者からは「上の子どもの時はやったのに、どうして今年はないのか」「楽しみにしていたのに」などの苦情が寄せられたそうです。子どもからの文句はなかったといいます。

 男性は「子どもにとっては『面倒くさい行事がなくなった』ぐらいなものだった。親を喜ばせるためのイベントで苦しむ子どもがいるくらいなら、やめてしまった方がいい」と話します。
漫画「2分の1成人式」の一場面=作・吉谷光平さん
漫画「2分の1成人式」の一場面=作・吉谷光平さん

 【よしたに・こうへい】 漫画家。サラリーマン生活や漫画家アシスタントなどを経て、月刊スピリッツの「サカナマン」でデビュー。月刊ヤングマガジンの連載「ナナメにナナミちゃん」の単行本1巻が発売中。ツイッターで公開した2ページ5コマの漫画「男ってやつは」が〝30秒で泣ける〟と話題に。

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