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センバツ注目、キレキレダンスのちびっ子球児! 福井の「かいじ君」

応援動画がネットで話題に。本人に会ってきました。

福井工大福井を踊りながら応援する東島海人(かいじ)君=東島宏幸さん提供
福井工大福井を踊りながら応援する東島海人(かいじ)君=東島宏幸さん提供

目次

 19日から春の選抜高校野球大会が始まります。早稲田実業の清宮幸太郎選手を始め、各校、注目選手がいますよね。しかし、記者のおすすめは、福井県代表の福井工大福井(通称・工大福井)の「ちびっ子選手」。応援席で、キレッキレのダンスを踊るその選手は、他の男子野球部員の腰ほどの背丈。どう見ても高校生ではありません。ネットでも「かっこよく踊るちびっ子がいる」と話題に。正体を突き止めようと、会いに行ってきました。(朝日新聞福井総局記者・小川詩織)

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スタンドで踊りながら応援するかいじ君=東島宏幸さん提供

昨秋、応援動画がネットに

 記者が初めてその「ちびっ子」を見たのは、ネットにアップされていた動画でした。工大福井が出場した昨秋の明治神宮大会の時に撮影されたものです。

 男の子は、応援席で他の部員と同じく、胸に「福井」と書かれたユニホームを着て、手にはメガホンを持っています。応援の曲がかかると、声を張り上げ、手を振ったり、跳びはねたり、走り回ったり…。キレッキレのダンスを見て、「ちびっ子EXILEか?!」と釘付けになりました。

 小さい体をめいっぱい使って全力で踊るその姿は、かわいく、そしてかっこよく、すぐにファンになりました。

 よし、会いに行こう。

メガホンを使い、声を張り上げて応援するかいじ君=東島宏幸さん提供

かいじ君の正体は……

 工大福井野球部に問い合わせると、このちびっ子は、小学1年生の東島海人(かいじ)君(7)。工大福井の野球部員・東島拓海選手(高2)の弟でした。

 かいじ君は、7人兄弟の末っ子で、大阪府枚方市の小学校に通っています。野球好きのお父さんの影響で、3人の兄もみんな野球に打ち込んでいました。もちろん、かいじ君も昨年から、地域の軟式野球チームに入りました。

 記者が大阪の自宅でかいじ君に会った時の第一印象は、「なんとも元気な男の子!」 。

 部屋の中をちょこまかと走り回っていて、いかにも小学生の男の子という感じ。初めは緊張していたのか、一言ずつ、少し照れながら答えてくれていました。が、さすがは関西人。慣れてくると、バリバリの大阪弁で、元気いっぱいに話をしてくれました。

自宅でポーズを取るかいじ君
自宅でポーズを取るかいじ君

話も聞きました

 ――ネットで話題になってるやん。

 「うれしい!(照)たまに自分の踊りがアップされてるYouTubeも見たりすんねん。あと、Facebookやと、自分で『いいね』押したりする(笑)」

 ――そもそもダンス習ってたん?

 「全然。全くやったことない。見よう見まねで踊ってるねん!」

 ――普段、応援団の子たちと練習したりするん?

 「ううん、公式試合の時に一緒にやるだけ。ぶっつけ本番でその時にやりながら、覚える」

 ――なにそれ、すごい!いつから応援団に加わってるん?

 「拓(兄の拓海くん)が高校入った時から。他のお兄ちゃん(他の部員のこと)と一緒に騒いでたら、そのまま踊ってたってかんじ」

福井工大福井の応援歌に合わせて、スタンドで踊るかいじ君=東島宏幸さん提供

「お兄ちゃんのチームに絶対勝ってほしい!」

 ――ユニホームはどうしたん?

 「拓の採寸の時に、お父さんとついて行ったら、コーチから『お前も作るか?』って。すぐに作ってもらってん。工大福井の学校には、小さめのメガホンも用意してあるねん」

 ――着こなしのポイントは?

 「ユニホーム着るときに、ソックスは上まで伸ばして、ぴしっと履く。あとはベルトもちゃんと締めて、かっこよく着こなす。写真撮ってって言われたりすることも多いからな!」

 ――応援、疲れへんの?特に夏とか…

 「疲れるけど、やめへん。夏も8回くらいでバテんねんけど、最後まで応援する」

 ――さすが、プロ魂。その理由は?

 「お兄ちゃんのチームに絶対勝ってほしいから!」

 ――野球も好きなんやね。

 「うん。昔から、拓の練習について行って、バットを振ってみたり、ボールを投げたりしてた。テレビも野球ばっかり。社会人野球の都市対抗大会も球場まで見に行くねん」

 ――じゃあ将来の夢はもちろん…

「野球選手!拓よりもうまくなりたい。野球で抜かすことが目標やねん!」

自宅では、兄の拓海さんにべったりのかいじ君=東島宏幸さん提供
自宅では、兄の拓海さんにべったりのかいじ君=東島宏幸さん提供

帽子のつばも「甲子園えいってゆうしょうしたいです。」

 筋金入りの野球少年ですやん…。

 かいじ君の帽子のつばには、「甲子園えいってゆうしょうしたいです。」という野望が(なぜか敬語で)書かれています。「甲子園」を漢字で書くあたりにこだわりが感じられます。

かいじ君の帽子のつばに書かれた「甲子園えいってゆうしょうしたいです。」
かいじ君の帽子のつばに書かれた「甲子園えいってゆうしょうしたいです。」

お母さん「工大福井の校歌ばっかり歌ってる」

 次はご両親にも聞いてみました。

 ――見よう見まねでやってるんですか?

 (母・直美さん(49))「初めはひどかったよね。全然踊れてなくて、きょろきょろして、あたふたしてた(笑)」

 「でも、家でiPad見て、応援曲かけたりして、ダンスの自主練習してるねん。姉にダンスを見てもらったりして。ほかにも、小学校の校歌じゃなくて、工大福井の校歌ばっかり歌ってるし…。あまり自分からは言わへんけど、実は陰で一生懸命努力してるんよ」

 ――うーん…、7歳児にして陰の努力とは、すばらしい。一緒に踊るようになったきっかけはなんですか?

(父・宏幸さん(51))「普通に応援に連れて行っていただけなんやけど、気がついたら、部員の応援団に混じって一緒に踊ってた…」

(母)「部員のみんなから『かいじー』って呼ばれて、かわいがってもらってるから、いつのまにか応援団の中になじんでいってた」

福井工大福井の応援歌に合わせて自宅で踊るかいじ君

人気上昇中「写真やサインも」

 ――最近、人気が出てきたんじゃないですか。

 (父)「北信越大会とか神宮行っても、他県の選手とか観客から写真撮ってとか言われて。この前も球場で車から降りた瞬間、囲まれたっけ(笑)」

 (母)「最近は、近所でも話題になってるし。この前はサイン書いてって言われてたやん」

 ――他の兄弟も応援団に混じって、踊ったりしてなかったんですか?

 (父)「その工大福井に通ってる拓海も長男の野球の応援をしてたわ。踊るってほどではなかったけど、かいじみたいに、応援歌を録音して練習してたかな」

 ――東島家の伝統みたいになってるんですね。

 (父)「でも特にやれと言っているわけではなくて…。子どもたちには、のびのびと自由にやりたいことをやってもらいたいと思ってる。かいじの応援団もあと1年やし、やるからには一生懸命に、そして楽しんでやってほしい」

球場ではサインを書くことも=東島宏幸さん提供
球場ではサインを書くことも=東島宏幸さん提供

仙台育英と初戦 「校歌歌いたいねん」

 では、最後にかいじ君。選抜への意気込みを。

 「一緒に校歌歌いたいねん。アルプス席から一生懸命踊るから、工大福井のみんなも気持ちで勝てるように頑張ってな!!」

 工大福井は22日の第1試合(午前9時開始)で仙台育英と対戦します。アルプス席では、かいじ君のかっこよく踊る姿が見られるはず。もちろん、一生懸命頑張る全国の球児たちの応援もよろしくお願いします!

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