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ジョジョ実写化…ワーナーが守る「絶対にやってはいけないこと」

「ジョジョの奇妙な冒険」の東方仗助(山崎賢人)=ワーナー提供
「ジョジョの奇妙な冒険」の東方仗助(山崎賢人)=ワーナー提供

目次

 今では日本の商業映画の定番となったマンガの実写化ですが、原作ファンからは、キャスティングへの怒りの声がぶつけられることもしばしばです。「ジョジョの奇妙な冒険」の実写化に挑むワーナー日本代表の高橋雅美さんは「絶対にやってはいけないことは分かっている」と言います。「銀魂」や「鋼の錬金術師」なども手がけるワーナー。実写化への「心構え」を聞きました。(朝日新聞編集委員・石飛徳樹)

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ワーナーブラザース日本代表の高橋雅美さん
ワーナーブラザース日本代表の高橋雅美さん

「映画の素材として理想的」

 ――人気マンガの実写化に力を入れているのはどうしてですか。

 私たちは常にいい映画を作りたいと思っています。じゃあ、いい映画とは何かというと、キャラクターやストーリーが新鮮で素晴らしく、何度も見たくなる作品ということになるでしょうか。

 マンガにはそのすべてがある。映画の素材として理想的です。もちろん私たちはたくさんの方に見てもらって商業的な成功も収めたい。マンガにはそちらの条件もそろっています。

「ジョジョの奇妙な冒険」実写映画化の記者会見=2016年9月28日
「ジョジョの奇妙な冒険」実写映画化の記者会見=2016年9月28日 出典: 朝日新聞

「新しい観客も獲得していかないといけない」

 ――とはいえ、マンガの実写化には、原作ファンの厳しい目がありますね。

 ファンの方からは、確かに色々な意見をいただきます。ネガティブな意見ももちろんある。ファンの方には「原作の人気を使って上っ面な映画を作ってもらっては困る」という気持ちがあるのだと思います。

 「銀魂」も「鋼錬」も、配役を発表した時には「えー?」という声が多かった。でもだんだん「思ったよりいいね」と言われるようになってきました。

 ――原作ファンにアピールすることが重要ですね。

 もちろんそうです。ただそれだけではなく、同時に新しい観客も獲得していかないといけない。連載開始から年月が経ったマンガの魅力を、新しい世代に伝えると役割も担っていると思います。

 昔からのファンだけに見てもらうのはもったいない。10代の観客に興味を持ってもらわないと、映画に未来はありません。

「エッセンスを伝える」

 ――今回の3本もそうですが、人気マンガは長期連載であることが多い。こういう大長編を映画化する時の注意点はなんですか。

 長いシリーズのどこを、何を、どう切り取るか。もちろんケース・バイ・ケースで難しいですが、絶対にやってはいけないことは分かっています。それは表面の物語だけを追っかけてしまうことです。つまり、エッセンスを伝えることが出来ればよいわけです。

 例えば「銀魂」なら、主人公の銀ちゃんが持っている男気とコメディーセンス。これが「銀魂」のコアな価値です。そこさえ押さえていれば、あとは監督やスタッフが作りたいものを作ることが大事です。


 ――どうすればよいか、ではなく、どうしたら駄目か、ですね。

 ええ。ファンは何をされると嫌なのか、という調査はしています。アンケートの通りに作ることはありませんが、結果についてはスタッフみんなで共有しています。

「銀魂」の坂田銀時(小栗旬)=ワーナー提供
「銀魂」の坂田銀時(小栗旬)=ワーナー提供

「キャラクターとストーリーで勝負」

 ――CGを駆使した大作映画では、どうしてもハリウッドに負けてしまうのではないですか。

 もちろんハリウッドがとてつもなくお金を持っているのは厳然たる事実です。CGのスケールを楽しみたい場合は、ウチの「ワンダーウーマン」(今夏公開)を見て下さい(笑)。こうした映画は日本では撮れません。その代わり私たちはキャラクターとストーリーで勝負しています。


 ――ハリウッド大手が日本で映画を製作するローカルプロダクションが一時流行しましたが、「デスノート」「るろうに剣心」などのシリーズを当てて、軌道に乗っているのはワーナーくらいです。

 日本映画へのかかわりは初期から数えると、もう20年近くになります。成功も失敗もたくさんあり、ずいぶん学習させてもらいました(笑)。いま、やっと花開いてきつつあります。私は継続してきたことが大きいと思っています。

「ジョジョの奇妙な冒険」の東方仗助(山崎賢人)=ワーナー提供
「ジョジョの奇妙な冒険」の東方仗助(山崎賢人)=ワーナー提供

「日本映画を海外に発信したい」

 ――マンガの実写化における今後の目標は?

 いまの日本では、マンガの世界に優れた才能が集まっています。ワーナーが今後やっていきたいのは、日本の映画を世界に向けて紹介していくことです。

 かつては、外国人の日本マンガファンはマニアックで層が狭かった。しかし今は違います。幅広い層に受け入れられています。彼らをベースに、日本映画を海外に広く発信していく一つの橋頭堡にしていきたいと考えています。

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