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打ち切り一転、ドラマ化の話 結果は… ある漫画のウソみたいな実話
紆余曲折を経て、先日完結した漫画があります。
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紆余曲折を経て、先日完結した漫画があります。
【ネットの話題、ファクトチェック】
紆余曲折を経て、先日完結した漫画があります。編集者から連載打ち切りを通告され、最終話のシナリオが完成した後に飛び込んできたテレビドラマ化の話。「ほぼ決定」とまで言われ、単行本2巻で終わるはずが延長されましたが、まさかのドラマ化見送りに。原作者と漫画家が一連の経緯を4コマ漫画としてツイッターに発表すると、応援の声が寄せられ、1月30日に最終巻となる4巻が発売されました。それぞれ原作・作画を担当した姉妹に話を聞きました。
話題になっている漫画は、2カ月に1回のペースで発行されている「ビッグコミックオリジナル増刊号」(小学館)に、2010年4月から2016年12月まで掲載されていた「あいの結婚相談所」(作画=加藤山羊さん、原作=矢樹純さん)です。二人は、矢樹さんが姉、加藤さんが妹の姉妹コンビです。
舞台は、入会金が200万円と高いものの、相談者が結婚相手に対してどんな条件を提示しようとも成婚率100%を誇る凄腕結婚相談所。動物行動学者でもある所長の藍野真伍が人間の本性を暴き出す「婚活ミステリー」で、1月30日に最終巻となる第4巻が発売されました。
連載打ち切りを告げられたのは2014年8月。雑誌のアンケートでは上位にいたものの、単行本が売れていないことが理由でした。
その時、編集者から「ドラマ化の話が来るとかで売れ行きが伸びない限り、3巻を出すことはできません」と告げられたそうです。
約半年後、最終話のシナリオが通り、新企画に向けて構想を練っていた時に、「アンケート結果が良いので、もう少し連載を続けませんか」と編集者から提案がありました。
それから1カ月半後、シナリオを練り直していると、今度は「ドラマ化の話が来たんですよ」と連絡が来ました。
しかし、「この段階では喜べませんでした」と原作者の矢樹さん。というのも、2人の作品に対して映像化の話が来たのはこれが4回目で、ことごとく話が流れていたからです。
今回の話がこれまでと違ったのは、制作会社ではなくテレビ局からの提案だったため、実現可能性がかなり高かったという点です。
編集者からも「ほぼ間違いなく実現すると思います」と言われていましたが、半年後の2016年1月、編集者から「テレビ局の編成幹部が異動になり、決まっていた企画もいったん白紙になったそうです」と連絡がありました。
こうした経緯もあり、編集者たちが販売担当に掛け合って、3巻は発売されることに。ただし、人気作や出版社一押しの作品につく「帯」は無しということになりました。
本を売るために何ができるか? 矢樹さんと加藤さんが出した結論は「販促用の4コマ漫画をツイッターにアップする」でした。一連の経緯を18話にまとめて投稿。そのタイトルが「帯のない新刊ができるまで」でした。
矢樹さんが全18話をツイッターのまとめサイトにアップすると多くの人が閲覧。応援の声が寄せられ、自作の帯を制作する書店員も現れました。
2人はどんな思いだったのでしょうか? 矢樹さんと加藤さんに話を聞きました。
――ツイッターに投稿した理由ときっかけは
矢樹さん「赤字覚悟で出版していただいた単行本なので、その恩返しのためにも少しでも売って、赤字を減らしたいと考えたのが理由です。我ながらドラマチックなエピソードだと感じたので、それを漫画にすれば多くの人に興味を持って読んでもらえるのではないかと思って描きました」
――誇張・脚色している点はあるのでしょうか
矢樹さん「毎日日記をつける習慣があるので、時系列に間違いはないはずです。特に誇張・脚色したつもりはありません」
加藤さん「姉として妹の私を心配する矢樹の心がシナリオに反映されており、全然寝ていないと思っていたみたいですが、実際はもうちょっと寝てました。漫画としての面白さを損なわないよう、そのまま描きました」
――描く上で心がけた点は
加藤さん「ツイッターに合わせて横書きにしてみました。けっこう文字が多いので、コマも横に広げたのですが、かえって読みづらくなったかもしれません」
――二人で打ち合わせをしながら描いたのでしょうか
矢樹さん「通常の漫画同様、自分がシナリオを書き、加藤が漫画にするという流れで描きました。セリフが長すぎる部分などは打ち合わせして削りました」
――漫画を通して伝えたかったメッセージは
矢樹さん「投稿に興味を持ってくださった方に、ぜひ実際の作品を読んで欲しい、ということです」
加藤さん「ドラマ化は無くなりましたが、そんな話が舞い込むぐらい面白い作品なので、ぜひ読んでみて欲しい!ということを伝えたかったです」
――数々のエピソードの中で、つらかったこと、うれしかったことは
矢樹さん「つらかったことは、仕事が多忙でも頑張ろう、という心のよりどころだったドラマ化の話が消えたことです。うれしかったことは、もともとは出せないと言われていた紙の単行本を出版社の方の厚意で出してもらえたことです」
加藤さん「つらかったことは、やはり気合を入れて頑張っている最中にドラマ化の話が消えたことです。もちろん元々が降って湧いた話とはいえ、つらかったです。うれしかったことは、ツイッターやブログで応援コメントをくださる方がいらっしゃったことです。頑張ろうと思えました」
――ツイッター投稿後の変化は
矢樹さん「話題になったことで、単行本を買ってくださった方や、面白かったと感想をツイートしてくださった方がいて、本当にありがたかったです」
加藤さん「今まで恥ずかしながらツイッターでの販促をおざなりにしてきたのですが、こんなに話題になったりもするのだから、もっとちゃんとしよう!と頑張るようになりました」
――連載が完結した今の気持ちは
矢樹さん「最後まで気持ちを切らさずに良いお話を書けたことに満足しています。特に最終話は『あいの結婚相談所』らしい楽しい話でありながら、この作品で言いたかったことを主人公に言わせることができました。一緒に頑張ってきた作画の加藤と担当さんに心から感謝しています」
加藤さん「最後までちゃんと描き切ったなあ、担当さんと矢樹のお陰で、良いものが作れたなあ、と晴れ晴れした気持ちです」
――話題になったことについて感想を
矢樹さん「考えていた以上に話題にしていただいて驚きました。『作者のエピソードだけで肝心の作品の内容が分からない』というご意見をいただき、販促漫画として描くなら、きちんと作品紹介をするべきだったと反省しました」
加藤さん「ここまで話題にして頂けるとは正直まったく思っていなかったので、驚いています。もっと作画を頑張っておけば良かったです……」
――これからの活動予定は
矢樹さん「新連載の企画がいくつか進行中ですので、それらを早く形にできるように頑張っていきます。次こそは打ち切りにならない、売れる作品にしたいです」
加藤さん「赤ちゃんだった子どもも大きくなり、これからはもっとペースを上げてより良い作品をどんどん作って発表していきたいです!応援してくれた方の期待に応えるよう、頑張ります!!」
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