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さもさんからの取材リクエスト

オリックス、なぜ弱い?



オリックス、なぜ弱い? 広島優勝!いよいよ優勝から最も遠い球団に

1996年、日本シリーズで巨人を破って日本一に輝いたオリックス
1996年、日本シリーズで巨人を破って日本一に輝いたオリックス 出典: 朝日新聞

目次

取材リクエスト内容

弱すぎます。

オリックス、弱すぎます。

どうにかしてください... さも

記者がお答えします!

 プロ野球12球団で最もリーグ優勝から遠ざかっていた広島が、25年ぶりの優勝を果たしました。では、これで現在、最も優勝から遠ざかるのは、どこのチームになるのでしょうか。答えはオリックス。1995、96年のパ・リーグ連覇以来20年、優勝していません。次が98年の横浜(現DeNA)です。「がんばろう神戸」をスローガンに、イチロー、田口壮らを擁して日本一になった球団は昨季5位、今季は最下位に。なんでこんなに弱いのでしょう?

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1996年、リーグ優勝を決めるサヨナラ二塁打を放ったオリックスのイチロー。オリックスでプレーしたのは2000年まで。01年から大リーグへ羽ばたいた。
1996年、リーグ優勝を決めるサヨナラ二塁打を放ったオリックスのイチロー。オリックスでプレーしたのは2000年まで。01年から大リーグへ羽ばたいた。 出典: 朝日新聞

「40億円補強」の失敗

 とはいえ、ずっと下位だったわけではなく、2014年には優勝したソフトバンクとゲーム差なしの2位と、健闘しました。「優勝も夢じゃない」となった球団はそのオフ、総額40億円ともいわれた大補強に乗り出します。

 大リーグから中島裕之、日本ハムから小谷野栄一、DeNAからブランコといった強打者を獲得。これが全くの空振りでした。彼らは軒並み不振や故障。15年は開幕から低迷すると、6月に森脇浩司監督が休養します。

キャンプで練習を見つめる田口2軍監督(右)。隣は福良監督
キャンプで練習を見つめる田口2軍監督(右)。隣は福良監督 出典: 朝日新聞

 「単純に選手を上積みすれば強くなるというものではない。あと一歩で優勝を逃した前年の悔しさを知るメンバーで戦っていれば、勝負できたんじゃないか。連帯感、つながりもあっただろう」。在阪のスポーツ紙記者も指摘します。

 新しい選手が加われば、当然昨年のメンバーは押し出される。お金をかけて呼んだ選手だけに、監督も使わざるを得ない。うまくかみ合わなかったのでしょう。

2014年、ソフトバンクを追い詰め、優勝まであと一歩に迫ったオリックスの選手たち
2014年、ソフトバンクを追い詰め、優勝まであと一歩に迫ったオリックスの選手たち
指揮官をここまで迷走させた最大の要因は、オフの大型補強だろう。中島、小谷野は期待された二遊間を守れず機動力の面でも弊害になる。でも巨額の資金を投じた選手。「ボリュームが厚くなった。重くなったのかもしれない」と語る森脇監督は、自らの手で育てた若手の出場機会を奪ってまで、新戦力を使った。補強は19年ぶりの優勝を厳命した宮内オーナーの強い希望でもあった。ブランコ、中島は開幕しても明らかに体が太かった。打てないうえに、ともにけがで2度目の離脱中だ。戦力として見込んだ編成担当の判断はどうだったのか。責任を負うべきは、監督だけではないはずだ。
2015年6月3日:「手遅れ、よくない」 森脇監督、不振で休養 プロ野球:朝日新聞紙面から

目先にこだわる

 オリックスの監督交代は、もはやお家芸とも揶揄されます。結果が出なければ、シーズン前半でも容赦なくクビです。2003年は開幕直後の4月に石毛宏典監督が解任されました。

 08年にはコリンズ監督、12年には岡田彰布監督が途中で退任しています。長期的な視野に立ったチーム作りが、しづらい環境にあると言えそうです。

 広島も長年低迷していましたが、緒方孝市監督の前の野村謙二郎監督は5年、ブラウン監督も4年務めています。こういった長期的なチーム作りの中から、丸佳浩や鈴木誠也といった選手が育ってきたのです。対照的ですね。

シーズン途中で休養を発表したオリックスの森脇浩司監督
シーズン途中で休養を発表したオリックスの森脇浩司監督 出典: 朝日新聞

 ドラフト制度やチームの編成に詳しい野球ライターの小関順二さんは「オリックスは目先の結果をほしがりすぎる」と指摘します。

 「広島の鈴木は昨季は97試合出場、58安打しか打っていない。でも、今季は見切り発車的にレギュラーで起用、我慢して使い続けたら結果が出た」

 「日本ハムは大谷、近藤、中島、西川。ソフトバンクは武田、今宮ら。高卒を指名し、主力に育てあげています。オリックスは出来上がっているけど小粒な大学、社会人の選手を指名する傾向にある。高卒の選手の方が爆発力があるんです」

萌えキャラとして人気のバファローベル
萌えキャラとして人気のバファローベル 出典: 朝日新聞

光は大阪密着

 オリックスにも明るい兆しはあります。神戸から大阪に移転し、地道にファンを増やしているのです。球団は2011年夏に「ファーム事業グループ」を設置。2軍を広告塔に大阪で地域密着戦略を進めました。

 吹田や高槻などの大阪府内で2軍の公式戦を実施し、球場警備、チケットのもぎりなど行政や住民が運営に関わることで、球団に愛着を持ってもらいました。

5月29日に京セラドームであったオリックス―広島戦で、両球団の女性ファン「オリ姫」と「カープ女子」がファッション対決で盛り上がった。
5月29日に京セラドームであったオリックス―広島戦で、両球団の女性ファン「オリ姫」と「カープ女子」がファッション対決で盛り上がった。 出典: 朝日新聞

 2012年以降、観客動員は上昇の一途。「カープ女子」に対抗するかのように、「オリ姫」と呼ばれる女性ファンも定着しました。練習拠点も神戸から大阪市の舞洲に移転。サッカーのセレッソ大阪、バスケの大阪エヴェッサも拠点を置いており、三つの球団が集う「ボールパーク化」が期待されています。

 チームの方は95、96年のV戦士の田口氏を2軍監督として招聘。「球場の外」は成功しつつあるので、あとはグラウンドの中です。地元ファンの後押しを受け、目先の結果にこだわらず、コツコツと若手を育てていけば……。広島のようになるのも夢ではないはずです。

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