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2016年07月26日

「受けてくれたら、一緒に働けるよ」 インターン“勝ち組”の実態

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インターン経験を語る大学4年生

インターン経験を語る大学4年生

 夏のインターンシップが本格化する。このところ目立つのが、インターンから優秀な学生を採用したいという企業の前のめりぶりだ。えこひいきにおもてなし……実態に迫る。

自己紹介から人事が評価

 「きみ、評価高いよ。(本選考を)受けてくれたら、一緒に働けるよ」

 日本体育大4年の後藤拓夢さん(22)は、新卒採用の責任者から告げられた。「経団連系」の大手不動産仲介の企業で昨秋、インターンに参加したときのことだ。

 早稲田、慶応、上智……インターンには名だたる大学の学生が集まっていた。気後れはしていた。でも、グループワークの自己紹介で真っ先に切り出した。

 「学歴の低い僕から言っていいですか。好きなスポーツは野球です。みなさんも好きなスポーツあったら教えてください」

 隣の女子学生が「私も野球が好きです」と続けた。すかさず「ありがとうございます」。くすっと笑い声が出て、雰囲気がやわらいだ。グループの仲間から、リーダー役に選ばれた。「学歴」の話を自分から話し、プラスに転じるコミュニケーション能力や人柄。人事はこれを見ていたらしい。「不動産業界では、最初に柔らかく爽やかに話せることが大事だと後から教わりました」

日本体育大の後藤拓夢さん。野球部に所属するスポーツマンだ。「目的のためであればプライドもわがままさもすててひたむきに努力できる」がPRポイント。目当ての企業の前で、出てくる社員に声をかけてOB・OG訪問のツテをつくった。その数、約20人。

日本体育大の後藤拓夢さん。野球部に所属するスポーツマンだ。「目的のためであればプライドもわがままさもすててひたむきに努力できる」がPRポイント。目当ての企業の前で、出てくる社員に声をかけてOB・OG訪問のツテをつくった。その数、約20人。

えこひいきを感じた

 グループワークは、お客さん役の社員に、新居を売るというロールプレイだった。お客さんは「中古マンションを買いたい」と言っている。どんな家に住みたがっているか、きちんと聞き出せるかがポイントだ。

 ところが議論の最中、社員からヒントを耳打ちされた。
 「本当に中古マンションでいいの?」

 実は、お客さんは婿養子。妻の実家の近くに住むのであれば、義両親から多額の資金を援助してもらい、新築を買うことになるという設定だった。

 後藤さんの班は、ヒントをもとに議論を修正し、新築マンションを提案。10弱のグループのなかで1位の評価を得た。「すごくえこひいきみたいなものを感じました」

 その後は、インターンに参加した学生専用の説明会や面接の練習会に呼ばれた。他の業界に志望が移り、最終面接の手前で断ったら、「うちは採ると言っているのに、なぜ」と残念がられた。

ユニクロを展開するファーストリテイリングは今年2月、海外でのインターンを実施した。写真はシンガポールのユニクロで、幹部店員に質問をする日本からのインターン学生ら

ユニクロを展開するファーストリテイリングは今年2月、海外でのインターンを実施した。写真はシンガポールのユニクロで、幹部店員に質問をする日本からのインターン学生ら

出典: 朝日新聞

早期採用プロセスに応募できます

 一橋大4年の男子学生(21)は昨夏、シティグループ証券の調査部門のインターンに参加。ここから内定を得た。

 「東京五輪で株価が上がりそうな業界や会社は」がテーマのグループディスカッション。議論を引っ張るのは苦手だった一方、論理的にものごとを考え、伝えるのが自分の持ち味だと感じていたため、リーダー役ではなく、発表役を買ってでた。市況を読み、顧客に伝える調査部門に必要な分析力やプレゼン力をアピールできる、とも考えた。

 インターンの最後に、社員が参加者200人に呼びかけた。「みなさんは、早期採用プロセスに応募できます」。通常より2カ月早く、選考の流れに乗った。

 エントリーシートの提出を経て、10月には最初の面接。そして2回目のインターン。この時点で学生は5人に減っていた。

 5人は同じ課題を与えられた。ある時計メーカーの売り上げを1.5倍にする施策を考える、というものだ。

 男子学生は、競合他社の商品ラインナップと価格帯を比較。その会社では、2~3万円程度の女性向け商品が他社より弱いと気づき、てこ入れを提案した。

一橋大学の男子学生は理論派だ。インターン参加前には、ネット上で先輩の選考体験記をチェック。「説明会では質問すると良い」といった記述をみつけ、実践したという。

一橋大学の男子学生は理論派だ。インターン参加前には、ネット上で先輩の選考体験記をチェック。「説明会では質問すると良い」といった記述をみつけ、実践したという。

面談につぐ面談で「おもてなし」

 冷静な分析力やプレゼン力が評価されたこの学生。2回目のインターン後には、採用責任者からランチに誘われた。11月下旬には最終面接。部屋に入ると「あなたと働きたいという結論になりました」と告げられた。

 ただ、志望に迷いも生じていた。正直に告げると、最終面接後に3回、社員との面談の機会が用意された。「向こうも志望度はそれほど重視してなくて、求める人に内定を出して、来てくれたら良いと考えていたみたいです」。採用人数が毎年1、2人程度で、インターン枠でまずは学生を確保し、その後通常ルートを開く。そういった戦略でシティグループ証券は動いているようだった。

模擬面接の様子

模擬面接の様子

出典: 朝日新聞

インターンは「参加すべき」

 二人とも結局、インターンで選考が進んだところとは別の会社に就職することを決めた。それでも、口をそろえて「インターンには参加すべきだ」と話す。本番の就活の練習になるほかに、社員と触れあうなかで労働条件の実態や出世できる社員の特徴といった企業のナマの情報を得られるからだという。それらは、通常の説明会やインターネット上からは得られない情報だ。

 インターンはそもそも、仕事に触れることを通じて学生が社会や仕事の理解を深めるものだ。リクナビを運営するリクルートが企業にインターンの実施目的をたずねた調査によると、最も多かった目的は「学生の理解促進」(85.5%)だった。

 ただ、ここ5年の変化を見ると
 「採用を意識し学生のスキルを見極める」(12年:20.8%→16年:36.4%)
 「従来の採用とは異なるタイプを見いだす」(12年:4.6%→16年:10.3%)
 といった採用にからんだ目的が増えてきている一方、
 「学生に就業体験の機会を提供することで、社会貢献する」(12年:75.8%→16年:58.4%)
 が大きく減少。企業がより「実」を求めるようになってきている。

 16年度にインターンを実施する予定の企業は61.1%。5年間で約22.1ポイントも増えている。学生にとっては、企業を見定めるうえでも、内定につなげるうえでも、気の抜けない夏になりそうだ。

【写真でわかる】受かる就活生の姿、その考え方
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