• 「聖地」には、花見超える人出
• 0歳児抱えた主婦「危険分かってるけど、やめられない」
• 「止まって操作」も事故の懸念広がる

　ポケモンＧＯが日本で配信されて、最初の週末が過ぎました。人気モンスターが出現する公園などはプレイヤーの「聖地」となり、人が殺到。一方、配信前から問題となっていた歩きスマホのほかにも、ツイッターではさらに、自転車をこぎながらプレイする「自転車スマホ」への懸念が増えています。「聖地」の一つ、東京・錦糸町の錦糸公園で自転車スマホをしていた人たちに話を聞くと、「危ないと分かってはいるけど、やめられない」などといった答えが返ってきました。

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ポケモンGOをプレイするため、多くの人が集まった錦糸公園（モザイク処理をしています）＝24日、東京都墨田区

「聖地」には、花見超える人出

　錦糸公園に着いたのは、24日の午後6時ごろ。日曜日の夕方でしたが、5万6千平方mの敷地に足を踏み入れるとそこには人・人・人……。

　錦糸公園は、フシギダネなどの有名モンスターが手に入るので、新宿御苑や世田谷公園などと並び人気スポットになっています。一緒に訪れた錦糸町在住のブロガー・トバログさん（@defreech）によると、普段の週末の5倍ほど、花見の時期よりも人が多いそうです。

トバログさんのブログ「【ポケモンGO】ガチでプレーするために準備したいガジェットモノ6つ」

ポケモンGOをプレイするため、多くの人が集まった錦糸公園（モザイク処理をしています）＝24日、東京都墨田区

錦糸公園には、ポケモンを引き寄せるアイテム「ルアーモジュール」を使った場所がたくさん

群がる人々、その中に自転車スマホ

　ポケモンを引き寄せるアイテムが使われると、そこに人々が群がりスマホをかざします。公園は自転車の乗り入れが禁止されていますが、その間をすり抜けて行く自転車が少なくありません。その中で、スマホを操作し、ハンドルは片手で運転する人が。最初に遭遇したのは、部活動帰りの男子中学生でした。

公園の掲示板にも自転車の乗り入れは禁止と書かれている

男子中学生「自転車でも捕まえたい」

　公園を出て、信号で止まったところで話を聞くと、少し気まずそうに「新しいポケモンが出てきたら、すぐ捕まえたくなるので自転車に乗っててもやってしまう」。都内の小中学校では、終業式後に配信が始まったからか、学校ではポケモンＧＯに関する注意はなかったそうです。まだ危ない目にはあってないということですが、「これからは周りに気をつけたい」と話しました。

ポケモンGOをプレイするため、多くの人が集まった錦糸公園（モザイク処理をしています）＝24日、東京都墨田区

0歳児抱えた主婦「危険分かってるけど、やめられない」

　公園に戻ると、今度は片手でスマホを見ながらのろのろとママチャリをこぐ若い女性を発見。胸に赤ちゃんを抱きながらの自転車スマホです。木陰で止まったところで声をかけました。

　女性は23歳の主婦ミカさん（仮名）。赤ちゃんの年齢を聞くとまだ0歳8カ月でした。自転車スマホの理由を聞くと、「ポケモンを歩いて探すのが面倒」と即答でした。

　友達数人とポケモンの進み具合を報告し合っており、「負けたくない」と話すミカさん。一方で、自分が普通に歩いているときには、自転車スマホは危ないと感じるそうです。「危ないとは分かっているんですけど、やめられない。自分のことは棚に上げてしまいます」。それでも、話を聞き終えると、ミカさんはスマホをバッグに入れてママチャリをこぎ出しました。

0歳児の子どもを抱えながらポケモンGOをする主婦＝24日、東京都墨田区

「止まって操作」も事故の懸念広がる

　公園の同じ場所に1時間いましたが、話を聞いた10人ほどが、スマホのポケモンＧＯを気にしながら自転車を運転していました。13歳の息子と自転車でポケモンを探していた40歳の会社員男性は、片手がふさがる対策として、車のカーナビ用の台座を自転車に設置。「もちろん操作は止まってから。私の方で画面を表示しているので、息子には移動中にさせていない」と話しました。

片手がふさがるのを防ぐために、自転車にスマホを置く台座をつけた人もいた＝24日、東京都墨田区

　ほとんどの人は、この男性のように「操作は止まってから」と話しました。それでも、ツイッター上では「スマホチャリ、マジで危険」「自転車でポケモンGOはやめて」など、自転車運転中のポケモンGOへの懸念が広がっています。

　ポケモンGOの公式サイトでは、「スマートフォンを操作するときは、周囲の安全を確認した上で、立ち止まって操作してください」「移動するときは顔を上げ、周りの人や物など、周囲の状況をよく確認してから移動してください」などと注意を呼びかけています。

安全な利用を呼びかけるポケモンGOの公式サイト

専門家「急ブレーキが危ない」

　ポケモンGOによる自転車スマホの拡大は、専門家も問題点を指摘しています。

　自転車のマナーや活用を考える「自転車の安全利用促進委員会」（東京）の自転車ジャーナリスト・遠藤まさ子さんは「法律違反や事故が増えるのでは」と警鐘を鳴らします。

　例えば、東京都は道路交通規則で「自転車を運転するときは、携帯電話用装置を手で保持して通話し、又は画像表示用装置に表示された画像を注視しないこと」と定めており、ポケモンGOの画面を見ながら運転すれば、操作をしていなくても交通違反で検挙される可能性は高まると話します。

　また操作をするために止まる場合にも、「モンスターを通り過ぎないために急ブレーキをかける可能性がある」と遠藤さん。別の自転車が後方にいた場合は、追突事故につながり危険だと指摘します。

　自転車でのポケモンGOを巡っては、すでに各地でトラブルが出ています。遠藤さんは「加害者・被害者にならないためにも、運転中はアプリを閉じて」と話しています。

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