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グルメ

近大ナマズ「ぷりぷり、あっさり」市販品の実力 次は牛丼チェーン?

7月30日は土用の丑の日。近畿大学発の「ウナギ味のナマズ」がついに食卓に並びます。まずはイオンが売り出すほか、イトーヨーカドーや百貨店でも限定販売します。昨年より脂質が増し、よりウナギ味に近づいたとか。さらに先日、大手牛丼チェーンからも商談が舞い込んだといいます。ナマズのくせに、人気はうなぎ上り!?

手前がウナギ味のナマズ、奥が本物のウナギ。昨年5月の試食販売でも「即完売」の人気だった
手前がウナギ味のナマズ、奥が本物のウナギ。昨年5月の試食販売でも「即完売」の人気だった 出典: 2015年5月8日、朝日新聞夕刊1面「ウナギ味のナマズ」

目次

 7月30日はいよいよ、土用の丑の日。この夏、近畿大学発の「ウナギ味のナマズ」が、ついに食卓に並びます。イオンが今月23日から全国で初めて売り出し、イトーヨーカドーや一部の百貨店も販売予定です。

 さらに先日は大手牛丼チェーンからも商談が舞い込んだといい、ナマズなのに世間の関心はうなぎ上りです。今年は昨年より脂質がアップし、よりウナギ味に近づいたとか!?

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イオンで初の市販が始まった「近大発なまずの蒲焼」。半身で税別価格1480円
イオンで初の市販が始まった「近大発なまずの蒲焼」。半身で税別価格1480円

ついに市販!ネットもざわつく

 あのウナギ味のナマズがイオンで販売へーー。今月12日、ニュースが報じられると、たちまちツイッターでも話題になりました。

「これは一度食べてみたい!」
「早く量産してくれ」
「『う』のつく食い物もへったくれもないな」
「イオナズンかと思った」

水槽の中を泳ぐ「ウナギ味のナマズ」
水槽の中を泳ぐ「ウナギ味のナマズ」 出典: 朝日新聞

 「ウナギ味のナマズ」は絶滅危機にあるウナギの代用食材として、近大の有路昌彦教授らが6年がかりで開発し、昨年5月にデビューしました。ナマズは卵からの完全養殖ができ、きれいな水で育てれば泥臭さがないことに注目。エサの配合を工夫して通常より脂をのせ、ウナギそっくりな風味に近づけました。

 試験販売のアンケートでは、「言われなければウナギ」「やや淡白だけどおいしい」と、8割の消費者に好評でした。ただ、昨年は生産体制が整っておらず、多くの人が口にできませんでした。それだけに初の市販への期待は大きいようです。

イオン、ヨーカドー、百貨店「次は牛丼店だ」

全国で初めて「ウナギ味のナマズ」を売り出したイオン
全国で初めて「ウナギ味のナマズ」を売り出したイオン

 イオンは7月23日から、全国121店舗で「近大発なまずの蒲焼」の販売を始めました。土用の丑の目玉として23、24、30日の3日間のみ、約5千枚の数量限定です。

 有路教授によると、イオンは昨年8月に「ぜひ商品化したい」といち早く名乗り出て、ナマズ専従の担当者をつけたそうです。蒲焼き後にあぶり工程を加えたり、オリーブオイルを添加したりして皮をやわらかく焼き上げたのが特徴といいます。

初日に買って食べてみた

 販売初日、記者もさっそく購入して、ナマズ丼で食べてみました。価格は半身で1598円(税別1480円)です。尾の辺り、ぷるぷるした皮の食感は確かにウナギっぽい。タレのこってり感と香ばしさもあっておいしいです。

 ただ身の部分は白身魚感が強く、あっさり味です。かなり肉厚なので食べ応えは十分で、夏のスタミナはつきそうです。もう少しウナギより安くなれば、これでいいかもしれません。

イオンで販売初日に購入、自宅でナマズ丼にした。見た目はあまりウナギに似ていない=7月23日、西村悠輔撮影
イオンで販売初日に購入、自宅でナマズ丼にした。見た目はあまりウナギに似ていない=7月23日、西村悠輔撮影

 このほか「近大発ナマズ」はイトーヨーカドーのほか、一部百貨店のデパ地下でも販売予定といいます。供給量が十数トンと少ないため、こちらも土用の丑ごろの特別販売で、店舗数も限られそうです。

 じつはつい先日、全国展開する大手牛丼チェーンからも商品化の打診があったといいます。有路教授は「第1段階として昨年の料理店、第2段階で今夏のスーパーマーケット、ついに3段階として有名牛丼店という『大本命』が来てくれました。ワンコインでナマズを食べられる時代はそんなに遠くないかも」と意気込みます。

去年より本物志向?脂質アップ

一般財団法人 日本冷凍食品検査協会の調査結果(100グラムあたり)
一般財団法人 日本冷凍食品検査協会の調査結果(100グラムあたり) 出典: 近畿大学

 この近大発ナマズ、昨年より「本物志向」に進化しています。専門機関で成分を調べたところ、脂質は一般的なナマズの3倍あり、脂の乗りが昨年の12%から15%に増えたことで、国産の養殖ウナギ(19%)の味に一歩近づいたといいます。

 それでいてウナギより約40キロカロリー少なく、ヘルシーだそうです。「脂がふえて皮の食感がだいぶ軟らかくなり、味わいも良くなりました」と有路教授も納得の仕上がりです。

供給量「まだまだ足りない」

昨年11月に設立した「日本なまず生産」の牧原博文社長(中央)と近畿大学・有路昌彦教授(右)ら
昨年11月に設立した「日本なまず生産」の牧原博文社長(中央)と近畿大学・有路昌彦教授(右)ら 出典: 朝日新聞

 一方で課題もあります。昨年11月に立ち上げた鹿児島県の生産会社では、年間100トンを目標にしていますが、「種苗(稚魚)が取り合いのような状況で、まだまだ量が足りない」と有路教授。岡山や大分など全国の数社と提携を進めているといい、これから養殖場を増やしていく方針です。

 「ナマズはまだ『究極に合理化された』ウナギ並みに養殖・加工・流通体制が整っていません。もっと流通量が増えて合理化が進めば、自然に価格は下がるでしょう」とのこと。将来的には、ニホンウナギの半額程度をめざしています。

近大の直営店でも限定提供

近畿大学水産研究所のランチで提供される「近大発ナマズ重」
近畿大学水産研究所のランチで提供される「近大発ナマズ重」 出典: 近畿大学
ピーチは機内食に「ウナギ味のナマズ」を採用した=5月、関西空港
ピーチは機内食に「ウナギ味のナマズ」を採用した=5月、関西空港 出典: 朝日新聞

 ちなみに、ウナギ味のナマズは昨年同様、近大の直営料理店「近畿大学水産研究所」でも1日限定で提供されます。土用の丑の今月30日、東京・銀座と大阪・梅田の各店舗で先着100食(ランチ・ディナー各50食)です。価格はランチのナマズ重が2200円、ディナーのナマズ蒲焼が2000円(ともに税込み)。

 最近では航空会社ピーチの機内食に採用されたり、近大の学食で提供されたりと、何かと注目されるウナギ味のナマズ。今回の市販について、有路教授は「この機会にぜひ多くの方に食べてほしい。『普段はウナギじゃなくて、これでええんちゃう?』と思ってもらえたら、まさに狙い通りです」と話しています。

近畿大学水産研究所のウェブサイト。詳しい店舗案内はこちら。

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