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グルメ

「カラスを食べる」に秘められた想いを聞いてみた

毎朝、見かけない日はないほど身近な鳥であるカラス。そんなカラスを食用にする研究に励んでいらっしゃる方がいます。あなたは、カラスを食べると聞いて、どんな気持ちになりますか?おそらく、多くの方が食材としてはあまり良い印象を持たないのではないかと思います。そんなあなたにこそ、ぜひ読んでほしくて書きました。

出典: 味博士の研究所

 毎朝、見かけない日はないほど身近な鳥であるカラス。そんなカラスを食用にする研究に励んでいらっしゃる方がいます。あなたは、カラスを食べると聞いて、どんな気持ちになりますか?おそらく、多くの方が食材としてはあまり良い印象を持たないのではないかと思います。

 そんなあなたにこそ、ぜひ読んでほしくて書きました。
 今日は、カラスの食用化のアツい舞台裏をお伝えいたします!

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カラス研究者・塚原直樹さんにインタビュー!

 今日、お話を聞かせてくれるのは、総合研究大学院大学でカラスの食用化の研究をされている塚原直樹さん。(以下、塚原)

出典:味博士の研究所

 ◎塚原直樹さん。総合研究大学院大学・学融合推進センターにて助教を務める。学部4年生の頃よりカラスの生態や体の機能についての研究に邁進。現在のテーマはカラスの食用化と、カラスの音声コミュニケーションを逆手に取ったカラス追い払い装置やカラスと対話するドローンの開発。

 さっそく研究についてお伺いしてみます!

カラスの命を無駄にしないための食用化

○塚原さんは13年間カラスの研究をしているとお聞きしました!

塚原「はい。私のカラス研究は、大学4年の頃に研究室の教授から「これでカラスが何を話してるか分かるようにして」と、マイクとレコーダーと音声解析装置を渡されたところから始まりました。」

○それは唐突ですね!結局カラスの言葉は分かるようになったのですか?

塚原「音響学的に特徴の異なる鳴き声が41種類以上あることを発見しましたが、それぞれがどのような意味を持った鳴き声であるかを客観的に証明することはできませんでした。ただ、10種類くらいですが、主観では何を言っているかわかるようになってきました。」

○そこからカラスの食用化に進まれたきっかけは?

塚原「元々構想はあって、2年前にやっと始められました。カラスは有害鳥獣として、東京都だけでも年間1万羽以上処分されています。人間にとって有害だとしても、殺生を少しでも有益な形に還元したいなと考えたときに、食べたら良いのではないかと思ったんです。」

※塚原さんには、以前の記事でカラス肉の味覚分析にもご協力いただいております!→古典フレンチの高級食材「カラス肉」の味覚は、普通の鶏肉よりも○○だった!

さまざまなハードルを乗り越えた

○大学の研究としては珍しいテーマですね!

塚原「そうですね、最初にカラスの肉を食べるというテーマで助成金を申請したときは、酷評でした。おそらく「ふざけている」と思われたのでしょう(笑)。こっちは大真面目なんですが。」

○食用化にあたっては様々なハードルがありそうですが・・・

塚原「研究資金を確保するのも大変ですが、もう一つ大きいのは食肉処理施設の問題です。通常の牛や豚などのお肉は、食肉処理施設で解体されてからレストランやスーパーに行きますし、鹿やイノシシなどのジビエ類なんかも、専用の食肉処理施設で処理しないと流通にあたり保健所の許可が下りません。なので、食肉処理施設にカラスの処理をお願いしにいくんですが、やはりイメージがあまり良くないせいか、断られます。」

○なるほど、食用化するのも簡単じゃないのですね…!

カラス肉を美味しくする工夫

出典:味博士の研究所

○都会でゴミを食べているカラスは不味いでしょうか?笑

塚原「いえ、逆だと思います。ゴミに含まれているものは基本は私たちが食べているものなので栄養価も高いですし、都会のカラスの方が美味しいかもしれませんよ。」

○料理するときに美味しくする工夫はありますか?

塚原「カラス肉は独特のくさみをもつので、それを抑えるためにハーブや味噌や塩麹などを使うと良いですね。あとは鉄分が多いお肉は高温で調理するとすごく硬くなってくさみも出てきますので、低温でじっくり時間をかけて調理すると、柔らかくくさみも控えめになります。」

○濃いめの味付けが良いのですね!

塚原「今のところはそうですね。ただ、下処理の時点での工夫もあると思います。処理の段階でうまく血抜きができているかとか、調理するまでどうやって保管していたかによっても味は変わってくると思いますので、その辺りも今後研究を進めていきたいです。」

カラス肉はおうちで食べられるか?

○私たちがスーパーでカラス肉を買える日は来るのでしょうか?

塚原「安定な供給が可能なほどたくさんお肉があるわけではないので、まだそこまでは難しいと思います。カラスを大型トラップで捕獲して、処理してスーパーに並べるまでには結構コストがかかっちゃうんですよね。」

○もしスーパーで売られるとしたら、いくらぐらいになりますか?笑

塚原「1羽で約100gぐらい取れますが、100gで4000〜5000円くらいですかね・・・笑」

○それはかなりの高級食材!今後はどのように研究を進めていきたいですか?

塚原「カラス肉の市場を切り開くというよりは、元々イメージの悪いカラスが食材として受けいられる間で起こる、人々の意識の変化に注目して研究を進めていきたいと思っています。カラスの食用化に成功できたら、他のイメージの悪いものの食用化にも応用できると考えています。」

○塚原さん、貴重なお話ありがとうございました!!

【味博士の研究所上で記事を読む】

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