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お金と仕事

ドラマ「99.9」や都知事調査で注目「ヤメ検」が政治家に雇われる理由

佐々木善三弁護士が同席する会見の冒頭、頭を下げる舛添要一・東京都知事=2016年6月6日、都庁、関田航撮影
佐々木善三弁護士が同席する会見の冒頭、頭を下げる舛添要一・東京都知事=2016年6月6日、都庁、関田航撮影 出典: 朝日新聞

目次

 TBSのドラマ「99.9」は刑事専門の弁護士が力を合わせて難事件を解決するストーリーが人気を博しています。主演の松本潤さんの上司として弁護活動をする香川照之さんは「ヤメ検」という設定。舛添要一東京都知事の政治資金の調査で注目を浴びた「ヤメ検」とはどんな人たちなのでしょうか。(朝日新聞社会部記者・三橋麻子)

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一生有効の「法曹資格」

 弁護士・裁判官・検事になるには、司法試験に合格した後、現場で実務などを体験する司法修習を経験し、「法曹資格」を得る必要があります。「法曹資格」は一生有効で、検事や裁判官になった人が、退職後に、弁護士になることもできます。検事を辞めて弁護士になった人の俗称が「ヤメ検」です。

 一言で「ヤメ検」といっても、多種多様。検察のトップ検事総長を退官した後に弁護士になる人もいれば、在籍数年で20代のうちに検事を辞め、弁護士に転身する人もいます。

最難関の資格試験と言われる司法試験。法曹資格は一生有効
最難関の資格試験と言われる司法試験。法曹資格は一生有効 出典:https://pixta.jp/

現役検事にとって「強敵」

 「ヤメ検」弁護士の強みは、もちろん刑事事件に詳しいこと。ドラマ「99.9」でもタイトルになっているように、日本の刑事事件の裁判有罪率は99%を超えます。ひとたび起訴されれば、被告人が無罪主張しても、疑いを晴らすのは簡単ではありません。弁護人は検察側が提出した証拠のわずかな隙をつくことになります。

 「ヤメ検」は、検察庁在籍中に自分が手がけた事件に直接関わることはできません。それでも、検事として取り調べをしたり法廷に立ったりした経験があるため、検察側の「法廷戦術」について詳しく知っているというメリットがあります。現役検事にしてみれば、大先輩や元同僚は「強敵」であることに間違いありません。


リクルート事件捜査の経歴

 ヤメ検弁護士の活躍の場は、法廷ばかりではありません。検察幹部や特捜部の経験者を中心に、大企業の顧問や第三者委員会のメンバーになり、コンプライアンスに携わる人もいます。

 舛添さんの政治資金問題の調査で「第三者」として調査をした佐々木善三弁護士もその一人。かつては東京地検特捜部の検事として、リクルート事件などの捜査にあたりました。

 その「キャリア」を生かし、猪瀬直樹前東京都知事が徳洲会側から5000万円の資金提供を受けた事件では弁護人に。秘書が逮捕された小渕優子代議士の政治資金の調査もとりまとめました。

リクルートコスモス本社に入る東京地検の検事ら=1988年10月19日
リクルートコスモス本社に入る東京地検の検事ら=1988年10月19日 出典: 朝日新聞

 佐々木弁護士は舛添さんにも「政治資金に詳しい弁護士」として調査を依頼されました。

 佐々木弁護士は舛添さんの政治資金を「違法とは言えない」と結論づけましたが、都民の納得は得られず、舛添さんへの追及は止まりませんでした。舛添さんの疑惑は、佐々木弁護士がかつて在籍した東京地検に刑事告発されており、捜査の行方も注目されます。

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