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地元

真っ赤な長髪、浮き出た血管 千葉のヒーロー、JAGUARさんの正体は?

マツコ・デラックスさんも注目。

千葉県市川市を拠点に注目を集めるロックシンガーのジャガーさん=早坂元興撮影
千葉県市川市を拠点に注目を集めるロックシンガーのジャガーさん=早坂元興撮影

目次

 「千葉県民なら誰でも知っている」と言われるロックシンガー、JAGUAR(ジャガー)さんが注目を集めている。地元放送局で自作の番組を流しているが、最近、全国放送でも見かけるようになった。ビジュアルは……、なかなか神秘的だ。どんな人なのか、会いに行ってきました。(朝日新聞千葉総局記者・戸田政考)

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「宇宙船」の奥から現れた

 千葉県市川市のJR本八幡駅から歩いて数分のビルの一室。ミラーボールや怪しげなアイテムが置かれた薄暗い「宇宙船」の奥から、ジャガーさんは現れた。

 やや乱れ気味な真っ赤な長髪に、銀色の星模様がちりばめられた赤い服。体のラインは細く、ほんのりと血管が浮き出た手をしており、指は長い。腕や腰には刺さったら痛そうなトゲが付いたレザーのアクセサリーをまとっている。

パソコンには精通している=千葉県市川市、早坂元興撮影
パソコンには精通している=千葉県市川市、早坂元興撮影

目尻から伸びるしわ

 「出身はジャガー星です。30年くらい前、ジャガー号という宇宙船で千葉にある鋸山(のこぎりやま)の山頂に着陸しました」。そういう設定らしい。

 ――年齢は?。
 「ジャガー星には年齢という概念はありません」。

 ――メイク、格好良いですね。
 「皮膚の一部です」。

 ――ジャガー星ってどこにあるんですか?。
 「宇宙のかなたです」。

 目尻から伸びる何本かのしわで、なんとなくの年齢を想像した。

笑顔でインタビューに応じるロックシンガーのジャガーさん=千葉県市川市、早坂元興撮影
笑顔でインタビューに応じるロックシンガーのジャガーさん=千葉県市川市、早坂元興撮影

曲調はフォークっぽい

 ジャガーさんは洋裁の専門学校を出た後、美容室やライブハウス、レストランや看板製造業などを手広く経営していた。現在は千葉、東京、神奈川で複数の洋裁店を経営している。だが、それは「仮の姿」。本業はロックシンガーだ。歌だけでなく、ギターやベース、ハーモニカも操る。

 代表作の一つが千葉を応援する「ファイト! ファイト! ちば!」。ヘビメタチックな外見とは裏腹に、曲調は昭和テイストのにじむフォーク? ポップス? 富津(ふっつ)での潮干狩り、館山(たてやま)での海水浴など、千葉の魅力を盛り込んだ歌詞を、ギターを弾きながらハスキーな声で歌い上げる。

 他にも「ファイト!いちかわ!」、「だまってJAGUARについて来い!」などがある。

ギターやパソコンに囲まれてスタジオで作業する=千葉県市川市、早坂元興撮影
ギターやパソコンに囲まれてスタジオで作業する=千葉県市川市、早坂元興撮影

「月曜から夜ふかし」で全国区に

 千葉県民に広く知られるようになったのは、1985~94年、地元局の放送枠を買い、「HELLO JAGUAR」という5分間の番組を放送したのがきっかけだ。その後も番組は2005~06年、10年と3期にわたり放送され、今年は5~6月にかけて復活した。枠を買い取って、自作の番組を流している。

 そんなジャガーさんを全国区にしたのは同じ千葉出身のタレント、マツコ・デラックスさんだ。昨秋、マツコさんらが司会を務める日本テレビの深夜番組「月曜から夜ふかし」に出演すると、その奇抜な見た目や受け答えで、再び脚光を浴びるようになった。

千葉出身のタレント、マツコ・デラックスさんの番組に出たことで一躍、全国区になったジャガーさん
千葉出身のタレント、マツコ・デラックスさんの番組に出たことで一躍、全国区になったジャガーさん 出典: 朝日新聞

得意料理は「ジャガーカレー」

 ジャガーさんの日常生活は規則正しい。朝7時に起き、昼間はイベント出演や番組制作にあて、夜8時には仕事を切り上げる。自炊したご飯を食べ、11時には就寝する。外食はせず、アルコールも飲まない。駅では基本的に階段を使う。「1段ずつ上がる習慣はない」らしく、1段飛ばしで駆け上がる。

 得意料理は「ジャガーカレー」。「スパイスが効いていて、あとは食べてみないとわからない味」。ちなみに買い物もこの姿で行くため、驚かれることもある。ダイビングもする。「モルディブ、サイパン、パラオあたりはいいですね」。リゾート好きなのだろう。

 アーティストとして影響を受けたのはボブ・ディランさん。「個性やあくの強さ」がいいというが、ジャガーさんも負けていない。

ジャガーさんが影響を受けたアーティスト、ボブ・ディランさん=ロイター
ジャガーさんが影響を受けたアーティスト、ボブ・ディランさん=ロイター

「自分に合わない仕事はお断りしています」

 初めての番組出演から30年以上経つが、ジャガーさんの活動はぶれない。「自分に合わない仕事はお断りしています。ジャガーのイメージがあるんで」。その思いは本業の音楽に注ぐ。「とにかく良い曲を作る」。番組の編集は「宇宙船」にあるモニターを駆使し、1人で行う。

 そんな職人気質な一面もあるが、ファンサービスも欠かさない。街頭で一緒に写真撮影を依頼されると、「全員どうぞって感じです」。懐は深い。


「千葉のヒーローであり続けるからね」

 現在、力を入れているのは新作アルバム「お母さん!」の制作だ。ジャガー星から千葉に来ていたお母さんは2年前に亡くなった。おんぶしてもらって出かけた思い出や、また温泉に行きたい、という歌詞は「泣けちゃうような曲」だという。ファンキーさの中に垣間見えた真面目さが、より神秘さを引き立てる。

 ――ファンにメッセージを。
 「他県にはジャガーのようなヒーローがいないわけですよ。それはね、他県の人からうらやましがられる。だからこそ、ジャガーは千葉にいるし、千葉のヒーローであり続けるからね」

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