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10円値上げガリガリ君、おわびCMが話題 潔すぎる?製造元に聞く
ガリガリ君の赤城乳業が流した値上げおわびの全国CM。「潔すぎる」と話題になっています
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ガリガリ君の赤城乳業が流した値上げおわびの全国CM。「潔すぎる」と話題になっています
希望小売価格60円(税抜き)を70円に値上げしたガリガリ君。製造元の赤城乳業(埼玉県深谷市)が今月1日と2日に流した全国CMが「潔すぎる」と話題になっています。会長をはじめとして役員や社員が100人以上並んで、一斉に頭を下げる内容です。どんな狙いでこのCMを制作したのか? 赤城乳業の担当者に話を聞きました。
赤城乳業は3月11日、「ガリガリ君」シリーズなどのアイス商品を4月1日出荷分から値上げすると発表しました。ガリガリ君は1981年に発売されたロングセラー商品。当初50円だったのが、1991年に10円値上げして60円に。今回は25年ぶり2度目の値上げで70円になります。
値上げの理由について、マーケティング部の担当者はこう話します。「原材料費や人件費の高騰、物流費の上昇、東日本大震災後の電気料金の上昇など、さまざまな要因があります。これまでコスト削減などで25年間据え置いてきましたが、限界に達しました」
値上げ発表から5日後、「ガリガリ君値上げ篇CM」が撮影されました。背景に流れている曲は、高田渡さんの「値上げ」。「値上げは全然考えぬ」というフレーズから始まり、政治家の答弁のように徐々に文言が変化し、最後には「値上げに踏み切ろう」となります。
その間、画面は井上秀樹会長のアップから始まり、徐々にカメラが引いていきます。役員や社員100人以上が映し出され、「25年間踏んばりましたが、」「60→70」と文字が出た後、全員が一斉に頭を下げる内容です。このCMは今月1日と2日に全国ネットで放送されました。頭を下げた同じ画像は、新聞に出した全面広告にも使われています。
10円の値上げに対して、ユーモアを盛り込みながらも、コストをかけてひたすら頭を下げたCMや広告。ネット上では「なんだか許せる」「どうか頭をお上げください」「ここまでする会社他に見たことない気がする」といった声が上がっています。
赤城乳業は、どんな狙いでこのCMを作ったのか? マーケティング部の担当者に聞きました。
――なぜCMを制作したのでしょうか
「91年の値上げの際にも、ガリガリ君が頭を下げておわびする新聞広告を出しています。25年間、プライドとして60円を守ってきたことが限界に達したことについて、申し訳ありませんというのが私たちの気持ちです」
――CMに込めた思いは
「申し訳ありませんという気持ちと、『今まで良く耐えてくれた』というお客さまからの声に対する感謝の気持ちを込めました。値上げ発表後の批判は覚悟していたのですが、ネットや直接のお電話で、思った以上に励ましの声などをいただきました」
――なぜ曲を「値上げ」に
「頭を下げることは我々として考えていたことなのですが、曲については広告会社からの提案を受けたものです。聞いた瞬間に『うちの気持ちを表現している』と感じ、使わせていただくことになりました」
――4月1日のエイプリルフールは意識したのでしょうか
「4月1日出荷分から値上げしたので、その日と翌日にCMを流しました。でも2%くらいはエイプリルフールを意識しています。曲もそうですが、私たちの会社は『遊び心』を大切にしています。おいしさと楽しさと豊かさを提供するドリームメーカーとして、どんなときも遊び心を忘れないようにしているからです」
――ファンに対してメッセージを
「これからは70円を守っていくことが我々の使命になります。いつの時代にも手軽に楽しんでいただけるように、努力していきますので、よろしくお願いします」
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